子にかかる相続税の負担とは?税率や未成年が相続する流れ、節税方法を解説

「自分の子どもが財産を相続する時、どれくらいの税金がかかるのか」不安に思ったことはありませんか?相続税は、遺産の価値に応じて計算され、一定額を超えると申告義務が生じます。相続税の計算方法や負担を軽減する方法を知らなければ、後々予想外の税金が発生してしまうケースも少なくありません。特に、子が未成年であれば、なおさら税負担を抑えたいものです。
本記事では、相続税の基本をはじめ、子が相続する際の税負担と計算方法、相続する流れを分かりやすく解説します。相続税負担を軽減する5つの方法もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
・子にかかる相続税はいくらまで無税?
・相続税の基礎知識
・【早見表】子が負担する相続税額(配偶者なし)
・子だけの相続の流れ
・子にかかる相続税負担を軽減する5つの方法
・まとめ
子にかかる相続税はいくらまで無税?
相続税が課されるかどうかは、遺産総額が「基礎控除額」を超えるかどうかで決まります。基礎控除額を超えなければ、相続税は課されず、申告も不要です。しかし、遺産総額が基礎控除額を超えた場合は、未成年の子であっても相続税の申告が必要になります。
子にかかる相続税の負担
相続税の税率は、相続する財産の金額に応じて一律で適用されます。下表のように子が相続する場合でも、特別な税率が適用されるわけではありません。
なお、相続税は各相続人が取得した財産の額に応じて個別に負担する仕組みです。例えば、兄弟姉妹で財産を分けた場合、それぞれが取得した額に基づき相続税を計算し、納付する必要があります。
画像引用:国税庁|相続税の税率(外部リンク)
相続税の基礎知識
相続税は、相続や遺贈によって財産を受け取った人に課される国税です。単に財産に対して課税するだけでなく、以下のような社会的意義を持っています。
● 富の再分配
● 所得税の補完機能 など
税収は生活保護や公的年金といった社会保障に活用され、貧富の差による不公平を減らす役割を果たします。「基礎控除」によって、一定以下の遺産は非課税となり、財産が少ない家庭への配慮もされています。
相続税申告が必要なケースについては、以下の記事をご確認ください。
【関連記事】相続税はいくらから申告する?無税となる金額は?
相続税の基礎控除とは
基礎控除とは、以下の計算式で求められる「相続税の非課税枠」です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人が多いほど、相続税が非課税となる財産額が増える仕組みです。仮に、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は 4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人) となります。そのため、基礎控除額を超えなければ、相続税の課税対象にはなりません。ただし、申告を怠ると延滞税や加算税などのペナルティが課されます。基礎控除額や特例制度を正しく理解し、早めに対応することが大切です。
課税遺産総額とは
課税遺産総額とは、相続税が課される遺産の金額を指します。課税遺産総額が相続税を計算するための基礎となり、この金額に相続税率をかけて相続税額を求めます。
課税遺産総額の求め方は、以下の通りです。
1. 遺産総額を計算する
2. 債務や非課税財産を差し引く
3. 相続開始前7年以内の贈与財産を加える
4. 基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求める
課税遺産総額を把握することで、相続税対策を事前に講じることが可能です。そのため、相続税対策を検討している方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
相続税の相談先については、以下の記事をぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続税は税理士に相談すべき?司法書士・弁護士などの特徴を解説
【早見表】子が負担する相続税額(配偶者なし)
下表は、遺産の総額(基礎控除前)と相続する子の人数に応じた相続税額をまとめたものです。
相続税は、相続する遺産額や相続人の人数によって大きく変動します。計算は複雑で、正確な金額を算出することは困難です。あくまでも、目安としてご活用ください。
相続税|子1人のケース
子が1人だけの場合、差し引ける「基礎控除額」は3,600万円です。配偶者がいない場合は、基礎控除額が少なく、配偶者控除も適用されません。そのため、相続財産が多い場合、子が支払う税額が非常に大きくなる可能性があります。生前贈与などを活用して、計画的に節税対策を進めることが重要です。
相続税|子2人のケース
子が2人いる場合、相続税の基礎控除額は4,200万円となります。人数によって控除額も増えるため、相続税の負担は軽減されます。ただし、子が多ければ多いほど、1人あたりが相続する財産額は少なくなります。相続税だけでなく、相続人間で不公平感が生じないように、どの財産を誰が受け取るかをしっかりと話し合うことが大切です。
子だけの相続の流れ
子だけが相続する場合でも、下記のように基本的に、亡くなった方の配偶者が生存している場合と同じです。
1. 法定相続人の確定
2. 財産や負債の調査
3. 相続人の承認手続き
4. 亡くなった方の所得税の準確定申告
5. 遺言書の確認
6. 相続財産の評価
7. 遺産分割協議
8. 相続税申告
9. 相続税の納付
なお、相続では、故人の意思が尊重されます。そのため、財産の分配には、まず「遺言書」を確認することが基本です。遺言書の作成を検討している方は、子全員の気持ちを考慮し、公平な分配を心掛けましょう。
相続税申告までの流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】税理士に依頼した場合の申告までの流れ~期間目安を解説~
未成年の子が相続する場合の流れ
未成年者が相続人となる場合、通常の相続手続きとは異なり、特別な配慮が必要です。なぜなら、未成年者は法律行為を行えないからです。相続の際、遺産分割協議は法的行為に該当するため、未成年者が関わる場合には、法定代理人の同意が求められます。
一般的に、未成年者の親が法定代理人となり、遺産分割協議を進めます。しかし、親も相続人である場合、利益相反の問題が発生します。例えば、父親が亡くなり、母親が相続人であれば未成年者の代理人にはなれません。この場合、家庭裁判所で特別代理人を選任し、未成年者の権利を守りながら遺産分割を進めていく必要があります。
一方、親が相続人でなければ、そのまま法定代理人となれます。例えば、未成年者が父方の祖父の相続を受ける場合です。父親や祖母がすでに亡くなっていれば、母親が法定代理人となって手続きを進められます。
未成年者が関わる相続は通常の手続きよりも時間がかかるケースが多いため、早めに対応することが重要です。
子にかかる相続税負担を軽減する5つの方法
子にかかる相続税負担を軽減する方法は、以下の5つです。
● 生命保険を活用する
● 控除を活用する
● 特例を活用する
● 生前贈与を検討する
● 税理士に相談する
子にかかる相続税を減らすには、早めに計画を立てることが大切です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
生命保険を活用する
生命保険は、子にかかる相続税の負担を軽減する有効な手段の一つです。生命保険金には「法定相続人1人につき500万円」の非課税枠が設けられています。例えば、子が2人の場合、「500万円×2人=1,000万円」までの保険金が非課税となります。非課税枠は、亡くなった方が複数の生命保険に加入していても、受け取る生命保険金の総額が範囲内であれば適用されます。預貯金に余裕があれば生命保険を活用することで、課税財産を効果的に減らせるでしょう。
また、保険金の受取人を子に指定することで、非課税枠を最大限活用できる点もポイントです。配偶者を受取人に指定すると、配偶者控除が適用される一方で生命保険の非課税枠を活かせないケースも少なくありません。子を受取人に設定すれば、非課税枠を最大限利用しながら、現金として受け取れるため、相続税の納税資金としても役立ちます。
控除を活用する
以下の控除を活用すれば、相続税の負担を軽減できるだけでなく、子の生活基盤を守ることにもつながります。
✓ 未成年者控除
✓ 相次相続控除
✓ 障害者控除 など
未成年者控除は、18歳未満の相続人に適用される、親を早くに亡くした子の生活を支える目的で設けられた制度です。例えば、10歳の子が相続する場合、「(18歳 - 10歳) × 10万円 = 80万円」が相続税から差し引けます。また、控除額が相続税額を上回っても、扶養義務者(親など)の相続税から差し引くことも可能です。若い相続人ほど負担軽減の効果が高まるでしょう。
未成年者控除の詳しい要件については、以下の記事もあわせてチェックしてください。
【関連記事】未成年者控除とは?適用要件と計算方法を解説
小規模宅地の特例を活用する
土地が含まれる相続では、評価額が高額になりやすいため、特例の適用有無を早めに確認することが重要です。例えば、親が住んでいた自宅を子が相続する場合、特例を利用すれば、相続税の負担を大きく軽減できます。また、親が所有していた賃貸住宅に対しても「貸家建付地」として借地権割合に応じた評価減が認められる場合があります。自宅や賃貸物件など、家族の生活基盤や収益源となる不動産を守るためにも、特例を積極的に活用しましょう。
特例適用の条件を詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】小規模宅地の特例とは
生前贈与を検討する
生前贈与とは、親が元気なうちに子へ計画的に財産を譲渡する行為を指します。「暦年贈与」を利用すれば、毎年一人あたり110万円までを非課税で贈与することが可能です。数年続ければ、かなりの財産を課税対象外で子に渡せるでしょう。他にも以下の特例を活用して、特定の目的に応じた贈与を行うことで、より大きな非課税枠を活用することも可能です。
✓ 住宅取得資金贈与の特例
✓ 教育資金一括贈与の特例
✓ 結婚・子育て資金の一括贈与の特例 など
ただし、贈与には「相続開始前7年以内の贈与財産は相続財産に加算される」というルールがあるため、タイミングには注意が必要です。また、不動産の贈与などは手続きや費用が複雑な場合もあるため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
生前贈与の要件について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】暦年贈与とは|新ルールから使い方、相続税対策における3つの注意点
税理士に相談する
子にかかる相続税負担を軽減したい方は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。相続税には、多くの特例や控除があり、どれを適用するかが税額に大きな影響を与えます。税理士に相談することで、細かな規定を踏まえた上で、最も有利な方法で手続きを進められるでしょう。相続税のクロスティは相続税専門の税理士法人として、相続に関するあらゆる質問や悩みに対応しています。子のために財産を有効活用したい方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
相続税は法定相続人全員に同じ税率が適用されるため、子が相続人でも税率が低くなりません。そのため、子にかかる相続税負担を軽減するには、利用できる特例や控除を理解し、計画的に活用することが大切です。しかし、税制には複雑な規定があり、適用を誤ると余分な税金を支払うことになりかねません。また、子が唯一の相続人で、遺産が高額な場合、基礎控除額が少ないため、相続税の負担が重くなる可能性もあります。大切な子の生活を守るためにも、相続が発生する前に適切な準備を進めましょう。
最後に
相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください
私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。
相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。
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