【最新版】遺産相続の平均額はいくら?愛知県の相続事情と全国平均を解説

相続は、誰にとっても避けて通れない大きな節目です。しかし、いざその時を迎えると、「他の人はどれくらいの財産を受け取っているのか」「相続税はどのくらい必要か」など、疑問を持つ方も少なくありません。ところが、遺産額など相続に関する具体的な数字は、プライバシーの問題もあり、詳しい情報を知る機会は意外に限られています。しかし、相続をスムーズに進めるには、全体像を知ることが大切です。
本記事では、愛知県と全国の相続に関するデータをもとに、遺産の平均や相続人の年齢分布といった基本情報に加え、相続財産の内訳を詳しく解説します。相続の準備や対策を進めるヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
目次
・令和5年度|日本における相続税の実態
・愛知県における相続の平均額
・相続税がかかるかどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかで決まる
・まとめ
令和5年度|日本における相続税の実態
令和6年12月に発表されたデータによると、相続税の税務調査は厳格化し、納める税金の額も増えています。令和5年に亡くなった人は約158万人ですが、そのうち相続税の申告を行い納税した人は約16万人、課税割合(相続税が課される相続の割合)は9.9%に達しました。この割合は、平成27年に基礎控除額が引き下げられて以降ほぼ横ばいでしたが、令和5年には過去最高となりました。
また、亡くなった方一人あたりの課税価格は約1億3,900万円、納税額は約1,900万円と高額になっています。相続財産の内訳を見ると、土地・家屋の割合は減少傾向にある一方、現金・預貯金の割合は増加しています。かし、依然として土地や建物は相続財産全体の約52.2%を占めています。売却が難しい不動産をどのように扱うかが、相続税を支払うための大きな課題となってくるでしょう。
参照:国税庁|令和5年分相続税の申告実績の概要(外部リンク)
世界の相続税制度と比較し、日本の特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】日本の相続税は本当に高いのか?世界と日本の相続税の違いと特徴
愛知県は全国より相続税の負担が大きい?データで見る相続の違い
下表は、愛知県と全国における相続税のデータを比較したものです。
愛知県の相続税額は前年比119.9%と、全国平均の107.4%を大きく上回っています。課税割合も全国より高く、相続税の申告が必要になるケースが多いことがわかります。
愛知県における相続の平均額
愛知県では、親(亡くなった方)が持っていた財産の平均額が7,159万円と全国トップ5に入っています。これは、全国の財産平均額6,140万円や中部地方の5,550万円よりも高く、不動産の評価額が資産額を押し上げていることが要因の一つと考えられます。
参照:MUFG資産形成研究所|退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査全国47都道府県レポート【愛知県の特徴】(外部リンク)
親から相続した財産の平均額
愛知県で親から受け継ぐ財産の平均額は3,575万円(中央値2,500万円)と、全国平均の3,273万円(中央値1,600万円)を上回っています。なお、中央値とは、財産額の多い人から少ない人までを並べたときに、ちょうど真ん中にくる値を指します。例えば、10人の相続人がいる場合、5番目の人が受け継ぐ財産額が中央値です。一方、平均額はすべての相続財産を合計し、相続人数で割った数値です。
愛知県の場合、平均額は3,575万円ですが、中央値は2,500万円です。差があるのは、高額な相続を受け取った人がいるため、平均額が引き上げられているからです。
親が亡くなった時の遺産相続の傾向と性別による違い
親が亡くなった際に遺産を相続した人の割合は、以下の通りです。
✓ 父親死亡時に遺産を相続した人の割合:27.7%
✓ 母親死亡時に遺産を相続した人の割合:23.2%
性別別に見ると、父親の遺産は男性の30.7%が相続しており、母親の遺産は女性の26.7%が相続しています。一方、母親の遺産を相続した割合は女性が26.7%、男性が18.5%で、母親の場合は女性の方が多く相続していることがわかります。親が父親か母親か、また相続する人が男性か女性かによって相続の傾向に違いがあることが見て取れます。
参照:第一生命|中高年者の遺産相続に関する調査(外部リンク)
相続財産の内訳
愛知県では、下記のように、親から相続した財産額の約55%を不動産が占めているのが特徴です。
✓ 不動産(土地・建物)の評価額:1,971万円(55.1%)
✓ 現金・預貯金(死亡保険金含む):1,269万円(35.5%)
✓ 保険を除く有価証券(株式・再建・投資信託)などの金融商品の評価額:355万円(10.0%)
✓ その他資産の評価額:107万円(3.0%)
✓ 借入金:130万円(-3.6%)
愛知県の住宅数は年々増加しており、令和5年度には366万4,700戸に達しました。不動産の割合が非常に高いため、相続税の支払い時に現金が不足することが考えられます。特に、不動産を相続する場合、評価額の算定が複雑であるため、適正な申告を行わないと税務調査の対象となるリスクも高まります。思わぬ税負担を避けるためにも、相続税に精通した税理士に相談し、早めの対策を講じることが重要です。
なお、相続税の申告は専門性が高いため、税理士の選び方によって税額や手続きのスムーズさが大きく変わります。「相続税に強い税理士をどう選べばいいのか?」とお悩みの方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続税申告は税理士の選び方が重要!依頼先を決める際の9つのポイントとは
参照:愛知県県民文化局統計課人口統計グループ|令和5年住宅・土地統計調査(外部リンク)
相続人の平均年齢
相続人の年齢はあくまで目安であり、個々の事情により大きく異なります。データによると、親が亡くなった場合、子が相続を経験する年齢は、50代になると約7割が片親または両親の相続を経験しています。60代に入ると、その割合はさらに高まり、9割の人が相続を経験していることに。また、相続手続きに関しては、50代以上の世代において、4割以上の人が相続人の代表者として手続きを行っています。
なお、近年では、晩婚化や寿命の延びにより、相続人が相続を迎える年齢も上昇しています。厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命は以下の通りです。
✓ 男性: 81.09歳
✓ 女性: 87.14歳
相続手続きにおける経験や役割が年齢と共に増加するため、事前に相続に関する知識や準備をしておくことが重要です。
参照:
MUFG相続研究所|現代日本人の相続観〜相続に関する意識調査より(外部リンク)
厚生労働省|令和5年簡易生命表の概況(外部リンク)
法定相続人の平均人数
相続が発生しても、必ずしも相続税の申告が必要なわけではありません。令和5年に相続税申告の提出に係る亡くなった方は155,740人、相続税を納税した相続人は339,098人です。
339,098人 ÷ 155,740人 = 約2.18人
上記の計算で分かる通り、亡くなった方1人に対して、平均約2.18人の法定相続人がいることが分かります。どのくらいの人数が相続人として関わるかを考慮することで、分割方法や税負担を効率的に準備できるでしょう。
参照:国税庁|令和5年分相続税の申告実績の概要(外部リンク)
相続人の続柄
相続人として「子」が最も多く、全体の82.0%を占めています。次に多いのは「配偶者」で32.6%、そして「兄弟姉妹」はわずか8.6%という結果です。子が相続人である場合、相続税の支払いにおいて重要な点は、相続財産が多くなるほど税負担が増すことです。相続の際に一定のメリットとデメリットを伴うため、事前にしっかりとした相続計画を立て、万が一の争いを避けるための対策が重要となります。
参照:いい相続|第2回相続手続きに関する実態調査(2024年)(外部リンク)
一人っ子の相続平均
相続において、一人っ子は他の兄弟姉妹よりも多くの遺産を受け取る傾向があります。特に母親の遺産では、以下のように大きな差が見られます。
✓ 一人っ子:1,300万円
✓ 長子:555万円
✓ 次子以降:575万円
一方、父親からの遺産額に関しては、一人っ子と長子の間に大きな違いはないものの、次子以降は相続額が少なくなる傾向があります。
✓ 一人っ子:886万円
✓ 長子:850万円
✓ 次子以降:728万円
また、一人っ子は相続人が一人のため、遺産分割のトラブルが発生しにくく、手続きがスムーズに進みやすいというメリットがあります。しかし、その分、相続税の負担が大きくなる可能性があるため、生前からの相続対策が重要になるでしょう。
親ができる一人っ子への相続税対策法について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】一人っ子の相続は大変?知っておくべきデメリットと相続税対策を解説
相続発生のタイミング
一般的な相続の流れでは、両親の一方が亡くなると最初の相続(一次相続)が発生します。この際、配偶者(残された親)がほとんどの財産を相続するため、子たちが実際に相続を受けるのは両親が二人とも亡くなった後となります。そのため、50代から60代で相続を迎える傾向にあるでしょう。
二次相続について振り返りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
【関連記事】二次相続対策をしよう!一次相続との違いや相続税の節税対策
相続税がかかるかどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかで決まる
相続税は、亡くなった方の遺産総額が基礎控除額を超えた場合にのみ発生します。基礎控除額は、以下のように相続人の人数によって異なります。
● 相続人1人:3,600万円
● 相続人2人:4,200万円
● 相続人3人:4,800万円
実際には、多くの家庭で遺産総額が基礎控除額以下に収まり、相続税がかからないケースも多く存在します。ただし、土地や不動産が多い場合、評価額によっては、現金が少なくても相続税が発生する可能性があります。そのため、相続税がかかるかどうかは、遺産内容や評価額も考慮しながら判断する必要があります。
税額の具体的な計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続税はいくらから申告する?無税となる金額は?
まとめ
相続は法律や手続きが複雑なうえ、感情的な問題も絡むため、事前の準備がとても重要です。例えば、遺産の平均額を知っておくと、自分の相続計画をより現実的に立てやすくなります。また、相続人の年齢を把握することで、相続対策をいつ始めるべきかの目安がつけやすくなります。情報を基に、早めに準備を進めることで、スムーズに相続手続きを行えるでしょう。また、相続税は事前に対策を講じることで、負担を大幅に抑えられる可能性があります。「相続税がどのくらいかかるのか」「節税対策は何ができるのか」といった疑問を解決するためにも、早めに税理士などの専門家へ相談し、対策を進めることをおすすめします。
最後に
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