相続発生後でもできる!節税対策のポイント解説
今回の内容はvol.256「相続発生後でもできる!節税対策のポイント解説」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続税は生前の準備次第で大きく節税できる可能性があります。ですが、特に節税対策を行っておらず、いざ相続が発生すると高額な相続税に驚いたり、相続税申告が必要であることが判明したりするケースも少なくありません。被相続人が亡くなった後からでもできる節税対策はあるのでしょうか?
配偶者控除で節税
配偶者控除とは、名前の通り配偶者にのみ適用される控除です。相続財産が基礎控除額 3,000万円 + ( 600万円 × 相続人の数 )を超えたとしても、配偶者の受け取った額が「配偶者の法定相続分」または「1億6,000万円まで」は相続税がかからないようになっています。ただし、配偶者控除を活用するには注意しなければいけない点があります。それは、「相続人である配偶者が亡くなった場合」です。被相続人から配偶者が受け取った財産は、再び相続財産として次の相続の対象となります。最初の相続を「一次相続」、次の相続を「二次相続」といいますが、二次相続では以下の理由により相続税の金額が高くなります。
● 配偶者は亡くなっているため、配偶者控除が使えない
● 法定相続人が1人減るので、基礎控除額が下がる
一次相続で配偶者控除が使えるからといって配偶者が多く財産を受け取れるようにしても、二次相続まで考えると相続税の総額が高くなってしまう場合がありますので、二次相続もしっかり考慮する必要があります。
二次相続対策をして節税
上記のように、二次相続までしっかりと考えて遺産分割を行わなくてはいけません。遺産分割の方法ひとつで、どれくらい納める相続税が変わるのかを例をあげて紹介します。以下の例のように、たとえ一次相続で節税できても、二次相続で大きな相続税が発生してしまう可能性があるのです。
条件:
被相続人(夫)の財産総額:2億円
相続人:配偶者(妻)、長男、次男
① 法定相続割合で分割した場合
法定相続割合で分けた場合、配偶者は遺産の1/2、子は残りの1/2を二人で分けるので、一人1/4となります。
● 一次相続
妻:相続財産額 1億円、相続税額 0円
長男:相続財産額 5,000万円、相続税額 675万円
次男:相続財産額 5,000万円、相続税額 675万円
● 二次相続
長男:相続財産額 5,000万円、相続税額 385万円
次男:相続財産額 5,000万円、相続税額 385万円
● 相続税の合計額:2,120万円
② 配偶者控除を限界まで使って遺産分割した場合
一次相続の際の配偶者控除を最大限使うと、この場合、配偶者である妻の相続税を1億6,000万円まで控除することができます。
● 一次相続
妻:相続財産額 1億6,000万円、相続税額 0円
長男:相続財産額 2,000万円、相続税額 270万円
次男:相続財産額 2,000万円、相続税額 270万円
● 二次相続
長男:相続財産額 8,000万円、相続税額 1,070万円
次男:相続財産額 8,000万円、相続税額 1,070万円
● 相続税の合計額:2,680万円
③ 全員ほぼ均等に遺産分割する場合
● 一次相続
妻:相続財産額 6,600万円、相続税額 0円
長男:相続財産額 6,700万円、相続税額 904.5万円
次男:相続財産額 6,700万円、相続税額 904.5万円
● 二次相続
長男:相続財産額 3,300万円、相続税額 130万円
次男:相続財産額 3,300万円、相続税額 130万円
● 相続税の合計額:2,069万円
④ 妻が基礎控除額のみを相続した場合
二次相続の基礎控除額内で妻が相続し、残りを子二人で均等に分けます。
● 一次相続
妻:相続財産額 4,200万円、相続税額 0円
長男:相続財産額 7,900万円、相続税額 1,066.5万円
次男:相続財産額 7,900万円、相続税額 1,066.5万円
● 二次相続
長男:相続財産額 2,100万円、相続税額 0円
次男:相続財産額 2,100万円、相続税額 0円
● 相続税の合計額:2,133万円
小規模宅地等の特例を使って節税
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や、被相続人が事業を営んでいた土地を相続した際にその土地の評価額を最大80%減らすことができる特例です。土地を相続する場合は、この特例を適用できるかどうか検討しましょう。
以下のような場合は小規模宅地等の特例の適用外です。
✓ 二世帯住宅で親子が区分登記をしている場合の、子の居住分
✓ 二世帯住宅に住んでいた子世帯が、転勤などの理由により転居していた
✓ 遺産分割協議が相続税申告期限までに終わっていない(申告期限後3年以内の分割見込書を提出すれば後日返還を受けることができます)
土地の評価額を下げる特例を使って節税
土地の評価とは、相続税を計算するうえで「土地をいくらの金額にするか」ということです。土地の評価が高ければ税金も高くなり、逆に評価が低ければ税金も安くなります。土地の評価をいかに下げるかで相続税額を節税することができます。土地の評価額が下がる理由にはいろいろなものがあります。
✓ 不整形な土地
✓ 傾斜のある土地
✓ 私道のある土地
✓ 面している道路の幅が4m以下の土地
✓ 騒音や振動のある土地
✓ 日があたらない土地
など
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最後に
相続税の申告には期限があります。すでに相続が始まっている場合は、スピーディーに対応しなくてはいけません。預金など金額のはっきりしているものの相続財産の評価を変えることはできませんが、土地は評価方法次第で大きく相続税額を下げられる可能性があります。早めに相続税に強い税理士に相談することをオススメします。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
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