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相続における配偶者控除をわかりやすく解説!

相続に関する税金について調べていると、税金が安くなる制度として「配偶者控除」という制度の情報を目にする機会が多いと思います。相続が発生した場合の相続税や、相続対策として贈与した場合の贈与税において「配偶者控除」という制度があります。適用するにあたり、どういった注意が必要なのでしょうか。今回は「配偶者控除」について詳しくお伝えします。

目次
配偶者とは
相続税の配偶者控除(税額軽減)
贈与税における配偶者控除
まとめ

配偶者とは

配偶者とは、法律婚をした夫または妻のことをいいます。結婚をすると、夫から見れば妻が配偶者になり、妻から見ると夫が配偶者となります。この結婚は民法の規定にある結婚をいうため、戸籍法上の届出が必要です。そのため、いわゆる事実婚である場合には、配偶者ではなく、そもそも相続人にもなりません。

配偶者控除の制度の概要

配偶者については、相続税・贈与税ともに「配偶者控除」という形で税制面で優遇しています。相続税や贈与税は、富の再分配という機能を有していますが、これによって配偶者が露頭に迷うようなことがあってはいけません。そこで、富の再分配をしつつ、配偶者の生活を守るという観点から、相続税や贈与税の課税において、配偶者に有利な措置をしようとしたのが「配偶者控除」です。

所得税の配偶者控除とは異なる

配偶者控除というと、配偶者の年収や所得が関係すると勘違いする方も多いのではないでしょうか。配偶者の年収や所得が関係する配偶者控除は「所得税の配偶者控除」で、配偶者の所得によって一定の控除が認められています。この控除はあくまで所得税に関する控除の制度です。「相続税の配偶者控除」は相続財産にかかる相続税に関するものです。両者は異なると考えておきましょう。

相続税の配偶者控除(税額軽減)

まずは相続税の配偶者控除について具体的に見てみましょう。

相続税の配偶者控除とは

相続税の配偶者控除とは、相続税の申告・納税が必要な場合に、法定相続分以内または相続する財産が1億6千万円までである場合には、相続税がかからないとする制度です。相続税法では「配偶者に対する相続税額の軽減」、国税庁のホームページでは「配偶者の税額の軽減」と表記されていますが、実務上、「配偶者控除」と呼ぶことも多く、このページでは「相続税の配偶者控除」とします。

相続税の配偶者控除は、配偶者の生活を守るという目的で規定されています。この制度を利用することによって、配偶者の相続税を支払う必要がなくなるケースが多いです。

相続税の配偶者控除の内容

相続税の配偶者控除は、相続が発生し配偶者として相続人となる場合で、相続税の申告・納付をする必要がある場合に利用できる制度です。

相続税の申告義務はどのような場合に発生するのか?

相続税の申告義務は、被相続人の相続財産が基礎控除額を超える場合に発生します。
相続税の基礎控除額は以下の算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 ✕ (法定相続人の数)

【例】相続人が配偶者と子2名である場合
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 ✕ 3 = 4,800万円
被相続人の相続財産が4,800万円以上であれば相続税の申告が必要です。

被相続人に基礎控除額以上の相続財産がない場合には、相続税申告は必要ないので、相続税の配偶者控除は関係なくなります。

相続税の配偶者控除で相続税がかからないとされる額

では、相続税の配偶者控除が適用されると相続税がかからないとされる額はいくらなのでしょうか。相続する財産が次のいずれかの額の多い方の金額までは配偶者に相続税がかからなくなります。

● 1億6,000万円
● 法定相続分の範囲内

つまり、遺産分割等でどのような分け方をしても、配偶者が相続した相続財産が1億6,000万円までであれば相続税はかかりません。また、配偶者が相続した相続財産が1億6,000万円を超える場合でも、相続した財産が法定相続分の範囲内であれば、相続税はかかりません。なお、法定相続分は、共同相続人が誰になるかによって下表のようになっています。

相続税の配偶者控除の計算例

では実際に、相続税の配偶者控除の計算をしてみましょう。

被相続人:夫
相続人:妻・子2人
相続財産:8,000万円

配偶者控除:下記いずれかの多い方
● 1億6,000万円
● 配偶者の相続分1/2(4,000万円)

この場合、1億6,000万円の方が多いので、相続財産1億6,000万円まで相続税はかかりません。つまり、この相続では配偶者控除を利用すれば、妻の相続税はかかりません。

相続税の配偶者控除を使うための要件

次に相続税の配偶者控除を使うための要件について確認しましょう。

戸籍上の配偶者であること

まず、戸籍上の配偶者であることです。前述の通り、事実婚の関係にしかない場合や、離婚により配偶者ではなくなった人は、遺贈を受けて相続税の申告義務者となっている場合でも、相続税の配偶者控除を使えません。なお、後述する贈与税の配偶者控除には、婚姻期間の要件がありますが、相続税の配偶者控除に関しては婚姻期間の要件はありません。

遺産分割が完了していること

次に、遺産分割が完了している必要があります。遺言がない場合や、遺言があっても包括遺贈(財産内容を指定せずに行う遺贈)とされている場合、または、遺言があっても遺言書に記載のない財産がある場合には、遺産分割をする必要があります。相続税の配偶者控除を利用するためには、この遺産分割が完了している必要があります。これは、相続税の配偶者控除の上限額の計算に、法定相続分を超えているかどうかの判断が必要なためです。遺産分割を完了している必要があるのですが、遺産分割がどのような形で完了しているかは問いません。通常は当事者間の話し合いで行われる遺産分割協議ですが、遺産分割調停・遺産分割審判によって遺産分割をする場合もあります。ただ、遺産分割調停・遺産分割審判を行う場合には、相続税の申告期限である「相続開始を知った日から10ヶ月以内」に完了することが事実上困難です。しかし、遺産分割が10ヶ月以内に完了していない場合でも、相続税の配偶者控除は利用することができます(後述します)。

相続税の申告書を期限までに提出すること

最後に、相続税の配偶者控除を受けるためには、相続税の申告書を期限までに提出することが必要です。相続税の配偶者控除は、制度があるからといって自動的に適用されるわけではなく、相続税の申告書をを期限までに提出することによってはじめて適用されることになります。もし期限までに相続税の申告を行わない場合には、相続税の配偶者控除の制度の利用ができないばかりか、延滞税などのペナルティの原因にもなることに注意が必要です。

相続税の配偶者控除の利用の注意点

この相続税の配偶者控除ですが、利用にあたっては次のような注意が必要です。

遺産分割協議で揉めないように注意

まずは、遺産分割協議で揉めないようにすることです。上述した通り、相続税の配偶者控除は遺産分割が完了していることが大前提になります。そのため、遺産分割協議で揉めてしまって、調停・審判と進むと、相続税の申告期限である10ヶ月の期限を超えてしまうことが多いです。配偶者が揉めなくても子同士の仲が悪く遺産分割協議が調わない場合もあるでしょう。遺産分割協議が難しい事情があるのであれば、生前に遺言書を作成しておき、遺産分割が必要ないようにしておくことが望ましいでしょう。

更正の請求によって相続税を還付してもらう

万が一、遺産分割協議がうまくいかず、相続税の申告期限内に遺産分割ができない場合には、とりあえず法定相続分で相続したと仮定し、相続税の配偶者控除を利用せずに相続税の申告を行います。その後、遺産分割が調った段階で、相続税の配偶者控除を適用した申告をしなおすため、更正の請求を行い、相続税を還付してもらうことができます。このときに、最初の相続税申告をするときに、「申告期限後3年以内の分割見込書」というものを提出する必要があります。

二次相続まで考えると常に有利なものであるとはいえないこともある

相続税の配偶者控除を利用すると、多くのケースで相続税がかからずに相続することができます。しかし、夫婦の年齢が近い場合には、一方が亡くなってからあまり期間をおかずに、もう一方が亡くなることも想定できます。その際は、配偶者になる人がいないケースが多いため、相続税の配偶者控除は利用できません。たとえば、夫が亡くなって相続税の配偶者控除を利用して妻に相続財産を集めてしまった結果、妻が亡くなったときに、夫から相続した相続財産と妻がもとから持っていた財産が合わさり、より相続税が高額になることがあります。二次相続まで考えて相続税の配偶者控除の利用を検討しましょう。

贈与税における配偶者控除

年間110万円以上の贈与を行うと、贈与税の課税対象となります。この贈与税の課税対象となる場合で、次の要件を満たす夫婦間の贈与については税制上の優遇措置が認められています。

✓ 婚姻期間が20年以上ある場合
✓ 居住用財産か居住用財産を取得するための資金の贈与であること
✓ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で、取得した居住用不動産に贈与を受けた配偶者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

以上の要件を満たす場合には110万円のみならず2,000万円までの贈与が課税されないことになります。これが「おしどり贈与」とも呼ばれる制度です。この制度も相続税の基礎控除と同じく、二次相続までを考えると税金が多くかかってしまうということもありえます。

まとめ

今回は相続における配偶者控除についてお伝えしました。配偶者控除は相続税の申告・贈与税の申告それぞれに設けられています。利用のための要件を満たしているか、利用に適している状況かを正しく判断しなくてはなりません。いろいろな制度がある中の選択肢の一つとして、心配であれば税理士など専門家に相談して利用を検討することをオススメします。

最後に

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