名義保険とは?相続における取扱いについて
今回の内容はvol.199「名義保険とは?相続における取扱いについて」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続税は、名義に関係なく実質財産の所有者に対して相続税が課税されます。よくあるものが、夫が妻名義の口座に預金したり、子ども名義の口座に預金する「名義預金」がありますが、実質財産の所有者が夫であれば、夫の相続財産として相続税が課税されます。生命保険にも同じように「名義保険」と呼ばれるものがあります。
名義保険とは?
名義保険とは、「契約者」と「保険料負担者」が異なる保険契約のことをいいます。例を挙げるとすると、子ども名義の生命保険を親が払っているという場合などです。保険の契約上は、子ども名義の生命保険は子ども自身に保険料支払い義務が生じます。しかし、現実的には親が保険料を負担しているという場合は「名義保険」になります。
相続の場合での名義保険
相続における代表的な名義保険のパターンは以下の通りです。
パターン①
保険料負担者:被相続人
契約者(受取人):相続人
被保険者:被相続人
パターン②
保険料負担者:被相続人
契約者(受取人):相続人
被保険者:相続人
このように保険契約者(受取人)と保険料負担者が異なる場合に「名義保険」の扱いとなります。
相続税上の取扱い
名義保険の相続税の取扱いは、名義預金のケースと同じです。誰が保険料を負担しているかで課税関係が決定されるので、契約名義に関わらず、実質保険料を負担している者の財産として相続税が課税されます。
贈与税の非課税枠内での贈与
そもそも名義保険は本来契約者が支払わなければいけないものを、契約者ではない方が支払っているので、「生前贈与」になります。贈与税には非課税枠があり、年間110万円内であれば税金はかかりません。では、非課税内であれば名義保険であっても相続税・贈与税はかからないのでしょうか。
例えば、妻が支払う保険料部分につき、夫から年間110万円の非課税枠内で贈与を行っていた場合、相続税は課税されません。この場合は、贈与を受けた資金で妻が実質保険料を負担していると考えられるからです。
生前贈与を主張するためのポイント
① 贈与契約書の作成
② 贈与税申告書の提出
③ 預金口座を通して贈与を行い、受贈者名義の通帳から保険を支払う
④ 契約の管理は受贈者が行う
⑤ 所得税上の生命保険料控除は名義人が行う
税務調査
税務署は名義保険を厳しくチェックしています。保険の名義人まではわからないだろうと甘く見ているとばれてしまう危険があります。税務署は法律で被相続人やその親族の預金通帳を閲覧できる権限を持っています。そのため金融機関等の過去10年間の動きを把握することができるのです。なので、不自然な資金の動きが少しでもあれば名義保険の存在が税務署にばれてしまいます。また、生命保険が支払われたり、保険契約者が変わった場合、保険会社から税務署宛に支払調書が提出されます。この支払調書でも名義保険の存在がばれてしまうケースがあります。
相続税課税関係が生じない場合
以下の場合、夫が亡くなった際は相続税課税関係が生じません。
保険料負担者:相続人(妻)
契約者(受取人):被相続人(夫)
被保険者:相続人(妻)
この場合は妻が保険料を負担していますので、夫が保有する生命保険契約の権利に財産価値はありません。
最後に
名義保険は死亡保険金ではないので非課税の対象外となります。生前贈与として扱うのであれば年間110万円は非課税ですが、それ以上であれば税金がかかります。名義保険が相続財産になると知らなかったり、忘れてしまって相続税の計算から漏れてしまうと税務署に指摘を受けてしまう可能性があります。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。相続税の試算や、保有している保険が名義保険に該当するかわからないなどでお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。
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