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相続における共有財産とは|手続きの難しさやメリット・デメリットを解説

相続時に共有名義の不動産を持つことは、一見すると公平で便利に見えるかもしれません。しかし、売却や賃貸など将来的に変更するのが難しくなるだけでなく、ほかの共有者との間でトラブルが生じる可能性もあります。そのため、共有財産を扱う際には慎重に対処する必要があります。本記事では、相続における共有財産とは何か、メリット・デメリットやトラブルを回避するポイントについて解説します。

目次
共有財産とは
共有財産で不動産を相続した持分例
共有財産で不動産を相続するメリット
共有財産で不動産を相続するデメリット
共有相続を解消する5つの方法
共有相続のトラブルを未然に避ける3つの方法
まとめ

共有財産とは

共有財産とは、複数の相続人が遺産を共有している状態を指します。例えば、親が亡くなり実家などの不動産を相続する場合に、子2人で共有されるケースも少なくありません。この場合、不動産は共有財産となり、複数の相続人がそれぞれの持分に応じて所有権を持ちます。なお、共有状態は遺産分割協議によって適切に分割されるまで続きます。

正しい相続手続き方法を知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】不動産の相続手続き~正しい方法とかかる費用について

遺産分割方法について振り返りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】遺産の相続方法(共有分割、現物分割、代償分割、換価分割など)

共有財産で不動産を相続した持分例

共有財産を相続した場合、複数の相続人がそれぞれの持分を所有します。下表のように、法定相続分に基づいて持分が変化します。

なお、共有持分は、相続人間で協議によって自由に持分の割合を決められます。

共有持分の状態ごとにできること

各相続人が不動産を共有している場合、それぞれの共有持分に応じて権利や行動の範囲が異なります。

ただし、自己持分であれば、他の相続人の同意を得なくても自由に売買が可能です。なぜなら不動産そのものは共有者全員のものですが、共有持分は個人の権利と見なされるからです。なお、共有者の所在が不明な場合は、裁判所を介して、他の共有者の同意だけでも変更行為ができます。

共有財産で不動産を相続するメリット

不動産を共有財産とするメリットは以下の2つです。

相続人間の不公平感がなくなる
節税効果が期待できる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

相続人間の不公平感がなくなる

通常、不動産の相続は遺産分割によって引き継ぐ人を決定します。そのため、将来的な不動産価値などを考慮して、他の相続人が不公平だと感じるケースも少なくありません。しかし、共有相続では不動産が複数の相続人で共有されるため、所有権は公平に分けられます。例えば、相続財産に収益不動産が含まれる場合、その収益も遺産分割の対象です。不動産の収益が平等に分配されるため、相続人間の対立や不和を防ぎ、円満な相続手続きを進められるでしょう。なお、共有財産の不動産を賃貸として収益を得る場合は、税務申告が必要です。各共有者は家賃収入の総額から必要経費を差し引いた後、持分比に応じた所得で税務申告を行います。

節税効果が期待できる

共有財産である不動産を賃貸物件として活用すると、以下の節税効果が期待できます。

住宅ローン控除の適用
経費の共有化 など

具体的には、賃貸物件で得た収益を分け合うことで、1人当たりの所得を抑えられ、所得税を節約できます。なぜなら、各相続人の個別の所得として申告され、それぞれの税率や控除額が適用されるからです。また、将来的に共有不動産を売却する場合、譲渡所得税の3,000万円控除が人数分適用され、譲渡所得税の負担を軽減できます。

共有財産で不動産を相続するデメリット

不動産を共有財産とするデメリットは以下の3つです。

処分や管理が難しい
権利関係の複雑化
トラブルのリスクがある

それぞれを詳しく見ていきましょう。

処分や管理が難しい

基本的に、共有者が単独で行えるのは、前述のとおり保存行為だけです。不動産の売却や担保設定などの変更行為や、賃貸借契約の解除や賃料の変更などの管理行為を行う場合にも、共有者の同意が必要です。そのため、異なる考え方や意見の相違から難航するケースも少なくありません。なかでも、不動産の売却行為は、全ての共有者の同意が必要です。1人でも反対があれば処分できないため、行動が遅れてしまい売り時を逃すといったリスクが高まる可能性もあるでしょう。

権利関係の複雑化

共有された不動産は通常、売却することが困難であり、そのまま共有状態が続くことが一般的です。しかし、共有名義の共有者が亡くなっても、自動的に持分は他の共有者に移転しません。そのため、1人の共有者が亡くなると、共有持分がさらに細分化してしまうのです。

例えば、3分の1の持分を持っていた共有者が亡くなり、配偶者と2人の子が法定相続分で相続すると、配偶者は6分の1、それぞれの子は12分の1の持分を得ます。他人の相続は制御できないため、意図せず共有者が増えることになるでしょう。

なお、前述したように、不動産の売却には共有者全員の同意が必要です。共有者が増え続けることで関係の薄い人が共有者となり、合意が一層困難になるでしょう。

トラブルのリスクがある

適切な管理や取り決めが行われないと以下のトラブルを引き起こします。

無断で第三者に貸す
共有財産を占領する など

共有者は、共有不動産の使用収益権を持っており、持分に関係なく利用できます。そのため、家が共有されている場合、1人の共有者が他の共有者の許可なしに住むことが可能です。仮に、他の共有者が状況に納得できず、追い出したいと考えても、追い出し(明渡請求)は困難を極めるでしょう。

共有相続を解消する5つの方法

共有相続した不動産の共有関係を解消する方法は、以下の5つです。

共有持分の買収
自己の持分の売却
土地の分筆
共有持分の買収
共有者全員での売却

なお、共有者同士で解消が難しい場合、共有物分割請求訴訟を提起します。裁判所を通じて共有の解消を行う手続きですが、自身の希望と異なる判決になる可能性も少なくありません。共有相続について不安がある方は、専門家への相談をおすすめします。

誰に相談したらいいのか分からない方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続税は税理士に相談すべき?司法書士・弁護士などの特徴を解説

なお、相続税のクロスティでは在籍する司法書士をはじめ各種専門家と連携を取り、一人ひとりのお悩みに寄り添った最適な提案が可能です。無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

共有持分の買収

共有相続した不動産を解消する最もシンプルな方法は、他の共有者の持分を買い取ることです。ただし、相手が同意しない場合はもちろん買い取ることはできません。また、共有持分を売却した場合、売却益に対して譲渡所得税が課されるケースがあります。同様に、市場価値の半額以下などの極端に低い価格で共有持分を買い取った場合も、贈与税が課税される可能性があるため注意が必要です。

自己持分の売却

共有状態から脱するために、自らの持分を他の共有者もしくは第三者に売却する方法です。不動産売却は共有者の同意が必要な行為です。ただし、自己持分のみなら自由に売却ができるため、収入を得ながら確実に共有状態から脱せられます。ただし、共有持分の売却は買い手を見つけるのが難しく、第三者への売却は困難となることが多いでしょう。

土地の分筆

土地を共有している場合、分筆を行い、それぞれの共有者が個別に所有できます。例えば、広い土地を子2人で共有すれば、それぞれの土地を分けて取得できます。ただし、土地があまり広くなかったり、分筆によって使い勝手が損なわれたりして、狭い土地になってしまう場合は適切ではありません。なぜなら、分筆によって建物が建設できないほどの狭い土地になってしまうと土地の価値が大きく下がり、活用方法も制限される可能性があるからです。また、分筆には測量や登記などの手続きが必要であり、それに伴う費用もかかります。

土地の具体的な評価方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】相続税の土地評価方法とは!活用できるWebサイト5選

共有者全員での売却

共有者全員が合意すれば、不動産をまるごと売却することも選択肢の一つです。不動産を売却した後は、共有者間での責任やリスクがなくなり、分配された売却代金を各共有者が受け取れます。しかし、共有者間で売却価格や売却条件について合意が取れない場合、売却が難航する可能性があります。

共有相続のトラブルを未然に避ける3つの方法

共有相続のトラブルを未然に防ぐ方法は、以下の3つです。

遺言書の作成
生前に不動産を売却する
家族信託の利用

共有名義の不動産を相続すると権利関係が複雑になりやすく、後々トラブルが起こる可能性が高まります。なお、これらの手続きにはそれぞれメリット・デメリットがあります。事前に相続に詳しい税理士などの専門家に相談し、適切な手続きを検討することが重要です。ご自身のケースに適した方法を行うことで、相続トラブルを未然に防げるでしょう。

遺言書の作成

遺言書は亡くなった方が、自分の財産や不動産の相続に関する希望や意思を尊重できる法的文書です。亡くなった方が生前に遺言書を作成することで、相続時の不動産の処分や分割方法を明確に定められます。具体的には、特定の相続人に対して不動産を単独で相続させるように記載することで、不動産の共有状態を回避できます。その際、公平性を保つよう、不動産を受け取らない相続人には他の財産(預金など)を相続させるよう遺言書に記載することが大切です。なお、遺言書を作成する際には、特定の書き方や内容が決められており、遺言書の内容に不備があったり、遺言書の内容を全ての相続人が認めなかったりすると、遺言が無効となる可能性があります。公平な内容でありながら、法的に有効な遺言書を作成するには、相続に精通した専門家のアドバイスを受けながら慎重に作成することが重要です。

なお、相続税のクロスティでは、総財産の洗い出しから相続診断、最適な遺言作成までトータルでサポートしております。二次相続まで見据えた遺言を作成したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

生前に不動産を売却する

生前に不動産を売却することは、相続に関連する問題を回避するための一つの方法です。遺言書を作成し、特定の相続人に不動産の権利を譲ることで、相続時の不動産の共有状態を避けられます。しかし、不動産のみが相続財産であり、他の相続人に対して相当額の金銭を支払うことが難しい場合、不動産を売却して現金化する必要があります。生前に不動産を売却することで、共有名義になることを避け、相続に関するトラブルを未然に防げるでしょう。

なお、相続税のクロスティでは「生前の相続対策」をサポートしております。相続争いを未然に防ぎたい方は、ぜひご検討ください。

家族信託の利用

共有不動産の一部の持分を家族信託の対象とし、不動産の管理や相続時の取り扱いを事前に決定することで、トラブルを未然に防げます。家族信託は、信託契約に基づいて信託財産を信託された目的に沿って管理する仕組みです。例えば、共有者の1人が認知症などを発症し判断能力を失った場合に備えて、信託契約を通じて管理処分権限を集約できます。その際、各共有者が信託の受益者として指定することで、不動産からの収入や売却による利益が各受益者に分配されます。しかし、財産管理や相続において有効な手段の家族信託ですが、手続きが複雑であり、信託契約の設計には慎重な検討が必要です。手続きをスムーズに進めるには、信託に関する情報を事前に集め、専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。

なお、相続税のクロスティでは、各種専門家との連携を取り、遺された家族にとって最適な「家族信託」のサポートを行います。遺産相続の負担を軽減したい方は、ぜひご検討ください。

まとめ

財産の共有状態が生じると、売却や運用に関する意思決定において他の共有者との調整が必要となり、時間と労力がかかります。また、時間の経過と共に、相続により共有者が増えてしまい管理が困難になるというリスクも存在します。特に相続による遺産分割では、相続人同士の話し合いが円滑に進まなくなるケースも少なくありません。トラブルを未然に防ぐためにも、相続時には共有状態を控え「現物分割」「代償分割」「換価分割」といった方法を検討することが重要です。なお、共有相続を避ける方法は多岐にわたります。相続が発生する前に、相続に関する知識や経験を持つ信頼できる専門家に相談することが重要です。潜在的なリスクや問題について適切な助言を受けることで、将来的なトラブルを未然に防げるでしょう。

最後に

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