名古屋市の税理士法人、相続税申告なら相続税のクロスティ「相続の寄与分とは?時効や相場、請求方法をわかりやすく解説」ページ

ブログ・お知らせ
Blog

ブログ

相続の寄与分とは?時効や相場、請求方法をわかりやすく解説

相続トラブルのなかでも最も多いのが、親の介護と相続の問題です。生前、親の介護をひとりで献身的にしてきたにもかかわらず、「遺産は法定相続分通りに相続する」と言われ、納得できないと感じる方も少なくありません。しかし、分配される相続財産は、ひとりの相続人が献身的に介護してくれたからこそ、介護施設などに入ることなく残されたものであるという場合もあります。そのため、亡くなった方の財産を守り増やすことに貢献した相続人が、その貢献に見合うだけの相続分を得る「寄与分」が存在します。本記事では、相続における寄与分について、相続専門の税理士が分かりやすく解説します。寄与分の主張を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次
相続の寄与分とは
寄与分の時効は10年
寄与分が成立する2つの要件
寄与行為の代表的な5つの型
寄与分の相場
寄与分がある場合の相続分の算出方法
相続における寄与分の請求方法
まとめ

相続の寄与分とは

寄与分とは、法律における想定以上の貢献によって、亡くなった方の財産維持または増加させた相続人が、貢献に見合う分だけ他の相続人よりも多く受け取れる遺産を指します。通常、相続が発生すると、特に遺言などがなければ法定相続分によって遺産分割が行われます。しかし、亡くなった方に対して通常の範疇を超える貢献を提供した相続人が、他の法定相続人と同じ相続分では不公平が生じます。公平性の観点より、介護などに対する貢献を金銭的に評価し、相続分に反映させることが可能です。しかし、寄与分は、基本的に相続人同士が話し合って決めます。時には、家族や法的な争いが絡むこともあり、納得させることが難しい状況も考えられます。ハードルの高さを理解した上で、要件が満たされているかなど、慎重に判断することが重要です。

寄与分の主張は相続人以外できない

寄与分の主張は、法定相続人にしか認められていません。法定相続人とは、法律に基づいて遺産を受け継ぐ権利を持つ人を指します。遺言などによって他の人が遺産を受け取る権利を持たない場合、遺産は法定相続人に分配されます。しかし、相続人以外の親族が、亡くなった方の介護など、財産を守り増やすのに貢献するケースも少なくありません。相続人以外で、法律における想定以上の貢献をした人はその貢献が考慮され、相続人に対して請求できる制度が特別寄与料です。

特別寄与料について詳しく知りたい方は、こちらの記事「特別寄与料とは?相続税はかかるのか〜請求方法について税理士が解説〜」もぜひ参考にしてください。

寄与分の時効は10年

2023年4月1日に改正された民法により、寄与分の請求は、相続発生から10年以内と時効が設けられています。仮に、被相続人が民法改正以前に亡くなっていた場合でも、適用されるので注意しましょう。

上表からも分かるとおり、被相続人が亡くなってから10年が経過すると、法定相続分を基準とした遺産分割しか行えなくなります。また、相続に関する手続きの多くは期限が定められています。申告漏れや手続きの遅延などがないよう、手続き内容を把握し、スムーズな相続手続きを目指しましょう。

相続手続きに関する各種期限について詳しく知りたい方は、こちらの記事「税理士に依頼した場合の申告までの流れ~期間目安を解説~」もぜひ参考にしてください。

寄与分が成立する2つの要件

寄与分を成立させるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

法律における想定以上の貢献であること
無償または無償に近い行為を提供していること

しかし、寄与分が成立するかは具体的な事例によって異なります。寄与分に関する詳細な判断やアドバイスが必要な場合は、税理士など相続の専門家に相談することをおすすめします。

寄与分におけるトラブル事例について詳しく知りたい方は、こちらの記事「相続トラブルと特別寄与料|相続人と配偶者が引き起こす事例を紹介」もぜひご覧ください。

法律における想定以上の貢献であること

寄与行為は、亡くなった方との関係性から期待される範囲を超える特別な貢献として評価される必要があります。そのため、家族間における通常の協力や扶養義務を果たす行為では、寄与分成立における要件として認められません。同様に、財産に直接的な影響を与えない精神的なサポートなどの寄与行為は、金銭的な価値を定量的に評価することが難しいため、対象外となります。他にも、考慮すべきポイントとして、寄与行為が一過性ではなく、一定の期間にわたって継続されているかが挙げられます。例えば、1日だけ1週間だけの介護ではなく、長期間にわたり一貫して行われた場合に想定以上の貢献として認められます。期間には厳密な定めがなく、個別のケースにより異なりますが、一般的には3年以上にわたる寄与があれば、継続性が認められるでしょう。

無償または無償に近い行為を提供していること

寄与行為は、原則として無償またはそれに近い形で提供されている必要があります。例えば、通常なら報酬が発生する仕事を、長期間にわたり無償または低賃金で行っていた場合、その労働が事業の維持や拡大に寄与していると考えられます。そのため、給与や生活費などの対価を受け取っている場合は、単に労務を提供しただけに過ぎないと判断されるでしょう。しかし、一切報酬を貰わず従事するケースは滅多にありません。亡くなった方が第三者を雇用した場合に支払う報酬と比較して、無償に近い範囲の行為であるかを判断する必要があります。

寄与行為の代表的な5つの型

寄与行為には、大きく5つの型に分けられます。

扶養型
療養看護型
事業従事型
金銭等出資型
財産管理型

それぞれを順番に見ていきましょう。

扶養型

生前、亡くなった方が相続人によって経済的に支えられ、本来負担すべき出費を軽減できた際に主張する寄与分が扶養型です。具体的には、以下の状況が挙げられます。

定期的な仕送りを行っていた
亡くなった方の生活費を負担していた

しかし、夫婦は互いに協力扶助義務があり、直系血族においても、互いに扶養する義務があります。そのため、義務の範囲内と判断されれば、寄与分の主張は認められないでしょう。扶養型の主張が認められるかどうかは、扶養義務者が数人いるにもかかわらず一人で扶養したなど、相続人間の公平の観点から、分担義務の範疇を超える特別な寄与であったかがポイントです。

療養看護型

療養看護型は、亡くなった方が長期的な病気やケガなどでサポートが必要な状態にある際に、相続人が療養ケアを提供したことによる寄与分を指します。具体的には通常、介護人を雇う必要がある状況で、相続人が自らの仕事を一時的または長期的に休業し、亡くなった方の療養ケアを自ら行った結果、看護にかかる費用を節約できたケースなどが該当します。しかし、扶養型と同様、扶助義務や扶養義務を前提として、寄与分判定されます。法律における想定以上の療養ケアしか、認められないと覚えておきましょう。

事業従事型

事業従事型は、亡くなった方が事業を営んできた場合に、相続人が長期間にわたってその事業に従事したことから生じる寄与分の主張です。具体的には、夫が農業を営んでいて、妻や子が手伝いをしているような状況が挙げられます。寄与分が認められるか否かは、以下の項目を確認しましょう。

家業に従事した期間
労働対価の有無 など

事業従事型も、親族間の協力義務の範囲を超えるものかどうかを判断する必要があるでしょう。

金銭等出資型

金銭等出資型の寄与分が認められる条件として、提供した財産が通常の身分関係から期待される範囲を超える内容や価額であることが求められます。具体的には、以下の状況が挙げられます。

亡くなった方の自宅購入資金やリフォーム資金のために、多額の金銭を贈与した
自己所有の不動産を長年無償で使用させた など

仮に、自己所有の不動産を無償で貸し出していた場合、亡くなった方は賃料を支払う必要がありません。本来支払うべき賃料分が、財産の維持に寄与したと認められる可能性が高いでしょう。

財産管理型

相続人が亡くなった方の財産管理を行い、管理費用の支出を免れさせることによる寄与分の主張が財産管理型です。具体的には、以下の状況が挙げられます。

亡くなった方所有の賃貸不動産の管理をした場合
亡くなった方所有の土地を売却するにあたり、売買契約の締結や占有者の立退き交渉をした場合
亡くなった方が所有する不動産の公租公課を負担した場合 など

財産管理型で認められるのは主に賃貸不動産であり、金融資産などの管理は対象外となります。

寄与分の相場

寄与分には、明確な相場は存在しません。なぜなら、相続においては寄与分の金額が高額であっても、相続人間の同意が得られていれば問題はないからです。しかし、高額な寄与分を主張すると、寄与分のない相続人の取り分を減らすことになります。遺留分侵害では、裁判所においても寄与分が認められない可能性が高くなります。公平な分配とするには、他の相続人の遺留分を考慮する必要があるでしょう。

寄与分がある場合の相続分の算出方法

寄与分が存在する場合の相続分の算出方法は、以下のとおりです。

1. 遺産総額から寄与分を差し引く
2. みなし財産をもとに遺産分割
3. 寄与分を加算

具体的な計算式は、以下のとおりです。

寄与分がある相続人の相続分:(遺産総額 - 寄与分)× 法定相続分 + 寄与分
寄与分がない相続人の相続分:(遺産総額 - 寄与分)× 法定相続分

なお、寄与分は、遺産総額を上限として計算されます。いかに貢献が大きかろうとも、遺産総額を超える部分に対する寄与分は認められないので注意しましょう。

相続における寄与分の請求方法

寄与分の請求方法は、以下の2つです。

遺産分割協議で寄与分を主張する
合意が得られなければ調停や審判を申し立てる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

遺産分割協議で寄与分を主張する

寄与分は、主張しなくとも勝手に認められるわけではなく、遺産分割の合意が成立する前に、自ら主張しなくてはいけせん。まず、遺産分割の際に他の相続人へ寄与分を主張する意向を伝えましょう。寄与分を主張する際は、介護や貢献に関する具体的な事実や証拠を示し、なぜ寄与分が適用されるべきかを示すことが重要です。遺産分割協議で他の相続人の合意が得られれば、寄与分を考慮した遺産分割が行われるでしょう。

遺産分割協議の内容を記録した文書について詳しく知りたい方は、こちらの記事「遺産分割協議書作成できる人とは?自分で作成する5つの手順を解説」もぜひご覧ください。

合意が得られなければ調停や審判を申し立てる

寄与分について他の相続人の合意が得られなければ、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てる必要があります。仮に、遺産分割調停でも合意が得られない場合、遺産分割の手続きは審判へと進みます。この場合、審判官が最終的な決定を下し、寄与分を含む遺産分割方法を指定します。

寄与分は、相続人間のトラブルにも発展しやすく、認められる要件や計算も複雑です。寄与分について他の相続人の合意が得られない可能性がある場合は、トラブルが起こる前に、税理士など相続税に精通した専門家に相談することをおすすめします。

誰に相談していいのか分からないと悩んでいる方は、こちらの記事「相続税は税理士に相談すべき?司法書士・弁護士などの特徴を解説」もぜひ参考にしてください。

まとめ

寄与分の主張は、家業や介護をなどに貢献した証明や価格の算定が難しく、主張が認められにくいのが現状です。しかし、遺言などがある場合を除き、相続人同士が納得するのであれば、寄与分の要件を満たさなくても、多く遺産を貰えるケースもあります。世話してくれた方へ、感謝の気持ちを込めて財産を分配したい場合は、生前から相続税対策を実施しましょう。生前に、遺言書の作成や生前贈与などの相続税対策を実施することで、亡くなった方の意向が尊重され、親族間のトラブルも未然に防げるでしょう。万が一、寄与料に関する問題が生じた場合は、税理士や弁護士などの相続の専門家に早めに相談することが重要です。専門家のアドバイスを得ることで、手続きや交渉において効果的な対応が可能となり、問題解決が円滑に進むでしょう。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

初回の無料相談は「ご来社による相談」「オンラインツールを使った相談」が可能です。名古屋に限らず日本全国の相続のご相談に対応いたします。
ご来社いただく場合、本社(名古屋市中区栄)または池下駅前本部(名古屋市千種区池下)のいずれかにてご対応させていただきます。
電話でのお問い合わせは24時間受け付けております。ぜひお気軽にご相談ください。

「個別説明会」開催のご案内 相続のことは実績と経験が豊富な相続税専門の税理士にご相談を。

運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)





Contact us お問い合わせ

お電話・メールフォームからのお問い合わせは
24時間365日受け付けております。