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特別寄与料とは?相続税はかかるのか~請求方法について税理士が解説~

相続する際に、他の相続人と比較して父や母の介護に貢献していた場合、遺産の分け方にどのように影響があるのか気になる方もいるでしょう。相続には「特別寄与料」という制度があります。特別寄与料とは、法定相続人ではない一定の親族が被相続人の療養看護などに貢献していた場合に支払われる報酬です。介護に貢献していたにも関らず、金銭的に報われない不公平さをなくすために作られた制度です。今回は特別寄与料とはどのような制度なのか、また特別寄与料に相続税はかかるのかなどを詳しく解説していきます。名古屋で相続税について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次
特別寄与料とは?
特別寄与料を請求する3つの要件
特別寄与料の計算方法
特別寄与料の請求方法
特別寄与料は相続税の課税対象となる?
特別寄与料を請求する際の注意点
まとめ

特別寄与料とは?

特別寄与料は2019年7月1日に相続法の改正によって導入された制度です。相続権のない親族が亡くなった方の療養看護を無償で行っていた場合、相続権を持つ相続人に対して金銭を請求できます。この制度ができる以前はどれだけ介護などに貢献しても、法定相続人ではない親族からの金銭の請求は難しいものでした。たとえば、相続人の配偶者が、義理の両親の介護に貢献しているケースも少なくありません。しかし、相続人の配偶者は法定相続人ではないため、どれだけ一生懸命介護しても、遺言書などがなければ、亡くなった方の財産に対して一切請求できないのです。療養介護を行っていた親族と、そうでない相続人の取り分が同じという点が不平等だと考えられたことから特別寄与料という制度が創設されました。

特別寄与料を請求する3つの要件

ここでは、特別寄与料を請求するために満たさなければならない3つの要件について紹介します。

✓ 相続権のない被相続人の親族である
✓ 無償で療養看護などに貢献した
✓ 財産の維持または増加について特別の寄与をした

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続権のない被相続人の親族である

相続人に特別寄与料として請求できるのは、被相続人の親族でなければなりません。この場合の親族とは以下のような者を指します。

● 兄弟姉妹(2親等の血族)
● 甥・姪(3親等の血族)
● 子の配偶者(1親等の姻族)
● 配偶者の兄弟姉妹(2親等の姻族)

また、親族であっても相続人である場合や下記に当てはまる方は、特別寄与料を請求できません。

✓ 相続欠格
✓ 相続廃除の理由に当たる人
✓ 相続放棄をした人

また、中には亡くなった方の親族関係にない場合で介護していた方もいるでしょう。内縁の妻や事実婚などの関係にあたる方、ヘルパーや家政婦なども特別寄与料を請求できません。

無償で療養看護などをした

特別寄与料の請求要件として「労務の提供」に限定されており、無償で療養看護などをしていた事実が必要です。そのため、介護した時点で被相続人から金銭を受け取っていた場合は、特別寄与料を請求できなくなります。

財産の維持または増加について特別の寄与をした

特別寄与料は療養看護以外の行為でも請求が可能です。そのため、亡くなった方の財産の維持や増加についての行為をした場合、請求が認められるケースがあります。しかし、介護費用を支払い財産の維持をした場合でも、実際に労務の提供を行わなければ特別寄与料の請求はできません。

特別寄与料の計算方法

特別寄与料の計算方法は、大きく2つのケースに分けられます。

✓ 被相続人の看護をしていたケース
✓ 被相続人の家事をしていたケース

家庭裁判所が特別寄与料を定める場合、寄与の方法や程度、時期や相続財産の額などを考慮して決定されます。

被相続人の看護をしていたケース(療養看護型)

介護をした場合の寄与料の計算方法は、以下のとおりです。

寄与料 = 介護日数 × 介護報酬相当額 × 裁量割合

介護日数には介護サービスを受けた期間や入院期間は入りません。また、介護保険制度で定められている介護報酬基準額によって決まります。そのため、1日5,000円~8,000円程度となる場合が多いです。裁量割合は50%~90%となります。親族にはもともと扶養義務があり、介護の専門家ではないので、裁量割合が100%となることはないでしょう。

介護日数が100日で介護報酬相当額が1日5,000円、裁量割合が70%だった場合、寄与料は以下のようになります。
100日 × 5,000円 × 70% = 35万円

被相続人の家事をしていたケース(家業従事型)

家事をした場合の寄与料の計算方法は、以下のとおりです。

特別寄与者が通常得られたであろう給与額 ×(1 - 生活費控除割合)× 寄与期間

「特別寄与者が通常得られたであろう給与額」とは、家事に従事していなければ働いて得ることはできたであろう給与の額です。「生活費控除割合」とは、家事に対する報酬が生活費として支出されている場合にこれを控除する割合です。介護した場合や家事をした場合の特別寄与料は、当事者間の協議で決められます。しかし、目安となる相場がないため話し合いがこじれる可能性も少なくありません。報酬決定するのが難しい場合は、上記のような計算式を用いて算出するケースが一般的です。また、当事者間の話し合いでお互い同意できれば、上記の計算式にこだわらず金額を決定することも可能です。しかし「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額(民法1050条4項)」を超えることはできません。そのため、遺産額を超えない範囲であれば、当事者間の合意で請求が可能です。特別寄与料は遺産分割の話し合いとは異なる部類の話し合いとなります。特別寄与料を請求する「特別寄与者」は、相続人ではないため遺産分割協議に参加する必要はありません。特別寄与料はそれぞれの相続人に対して報酬請求しましょう。

特別寄与料の請求方法

特別寄与料の請求方法は、以下の2つです。

✓ 相続人と直接交渉する
✓ 家庭裁判所に調停を申し立てる

上述の通り、特別寄与料は当事者同士の話し合いで決められるため、相続人と直接交渉して金額を決めることが可能です。しかし、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立て、特別寄与料を請求します。家庭裁判所に調停を申し立てた場合、調停員が相続人と特別寄与料を請求する人の間に入って話し合いを行います。調停でも話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所による審判を受けることになるでしょう。特別寄与料を家庭裁判所に申し立てる際は期限が定められています。特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月、または相続の開始から1年を経過するまでに申し立てなければなりません。特別寄与料を請求する際はトラブルが発生しやすいため、調停を申し立てる場合は専門家に相談するなどして早めに準備しておきましょう。相続人と直接交渉する場合は特に期限の定めはありません。

特別寄与料は相続税の課税対象となる?

ここでは「特別寄与料をもらった人」と「特別寄与料を支払った相続人」に分けて具体的に解説していきます。

特別寄与料をもらった人

特別寄与料は、亡くなった方から遺贈を受けたとみなされるため相続税の課税対象となります。しかし、相続税には「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という基礎控除額があります。特別寄与料が基礎控除額以下の場合は相続税の申告は必要ありません。しかし、基礎控除額を上回っていた場合は相続税の申告・納税の義務が発生します。相続税の申告期限は「特別寄与料の金額が定まったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。また、特別寄与料は2割加算の対象となります。被相続人の1親等の血族・配偶者以外の人については相続税額が2割加算となるのでその点についても注意しましょう。

相続税の申告漏れについて気になる方は、相続コラム「相続税の申告漏れ!ペナルティとミスがバレる原因とは」を参考にしてください。

特別寄与料を支払った相続人

療養看護した人からの請求に応じて特別寄与料を支払った場合、課税対象となる遺産の中から特別寄与料を控除できます。しかし、相続税を申告し納付した後に特別寄与料を支払ったケースもあるでしょう。当初申告した相続税額よりも多く納付してしまった場合は更正の請求することで、過大に支払った税金分の還付を受けられます。しかし、更生の請求は相続税法により期限が定められています。特別寄与料の金額が定まったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、更生の請求することを忘れないようにしましょう。

特別寄与料を請求する際の注意点

特別寄与料が認められる条件は非常に難しく、実際に特別寄与料をもらうことは簡単ではありません。特別寄与料が認められにくい要因は、以下の2つです。

✓ 条件や期限が厳しい
✓ 金額の根拠が必要である

そのため、特別寄与料を請求したいと考えるのであれば、療養看護の内容や日数、費用をしっかりとメモとして残しておくことが重要です。領収書もしっかりと管理しておきましょう。仮に、現時点で療養介護している場合は、事前に遺言書を残しておいてもらうのも一つの方法です。特別寄与料は非常に請求が難しくなるため、遺言書として残しておくとスムーズに財産を遺贈できます。

トラブルが発生する前に専門家に頼ることが大切

特別寄与料は、亡くなった方の介護に貢献した親族が、相続人でなくても相続財産の一部を受け取れる制度です。しかし、相続人がこの寄与料の支払いに応じないケースや金額で意見が対立するケースも少なくありません。また、特別寄与料は相続人1人1人に請求する必要があるため、相続人の数が多い場合は手間がかかるケースも多く、手続きなども複雑です。そのため、特別寄与者が直接相続人と交渉するのは非常にハードルが高いでしょう。相続に関する問題は複雑かつ、個々の状況によって適した対応は異なります。税理士など相続の専門家に相談することで、調停を申し立てる際もスムーズに進められ、かつ精神的負担が軽減されるでしょう。また、専門家は相続税や適切な特別寄与料の算出はもちろん、法律や相続手続きに精通しています。トラブルを未然に防ぎたいと悩んでいる方は、生前にできる相続税対策などのアドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ

今回は特別寄与料について解説しました。特別寄与料は亡くなった方の療養看護などをしていた場合に請求できる制度です。しかし、特別寄与料が認められる条件は非常に厳しいものとなります。個人で請求するとなると、金額の算定方法に戸惑ったり、相続人間のトラブルを心配される方も少なくありません。そのため、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに特別寄与料を請求したい場合は、相続に強い専門家に相談しましょう。相続税のクロスティ(名古屋総合税理士法人)では、専門知識が豊富な税理士が、特別寄与料などの複雑な手続きにも、各専門家と連携を取りサポートします。「特別寄与料を請求したいけどどうしたらいいのか分からない」などの悩みがある方は、ぜひご相談ください。

最後に

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私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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