遺言信託と遺言代用信託は何が違うの?
今回の内容はvol.295「遺言信託と遺言代用信託は何が違うの?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
「遺言信託」と「遺言代用信託」は名称がとても似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか?
遺言信託と遺言代用信託の違い
「遺言信託」と「遺言代用信託」は名前の通りどちらも遺言に関係のあるサービスです。ですが、内容は大きく異なります。「遺言信託」は、遺言書を作成・保管して、信託銀行が遺言執行者となって遺言内容を実現させる仕組みです。「遺言代用信託」は遺言書の代わりとなるもので、契約された遺言内容を確実に実現する仕組みです。
詳しく図にまとめたものが以下です。
遺言信託とは
遺言信託は、信託銀行などが行う遺言書の作成、保管、執行に関するサービスです。信託銀行が作成者の意向に沿って遺言作成のサポートを行います。遺言書は、公正証書遺言書に限られます。公証役場にて遺言書の作成をした後は信託銀行が正本を保管します。このとき原本は公証役場で保管されます。相続が発生すると、信託銀行などが遺言執行者として遺言の内容を実現するために手続きを行います。
遺言代用信託とは
遺言代用信託は、生前に信託銀行と契約を行い、財産を預け、生存中は預けた財産の資産運用および管理を行ってもらい、亡くなった後はあらかじめ指定した家族に財産を引き継ぐことができるサービスです。個々の事情に合わせて、すぐに必要になる葬儀費用や当面の生活資金を一時金という形で受け取ってもらう、もしくは年金のように月々定額を信託銀行から給付してもらい、長期間にわたって残された遺族の生活を支援することも可能なサービスです。信託された財産は、遺産分割協議に関係なくスムーズに大切な家族に引き継ぐことができます。
遺言信託か?遺言代用信託か?どちらを選ぶべきかの判断基準
遺言書の作成から執行までをサポートしてほしいと思っている場合は「遺言信託」
遺言信託は上記の通り、遺言書の作成、保管、執行までをトータルでサポートしてほしいと考えている方に向いています。亡くなった後は財産の調査から手間のかかる相続手続きまで、信託銀行などが遺言執行者となり遺言の内容に沿って実現していくので、相続人同士のトラブルを防ぐことができます。また、自身の世話を献身的にしてくれた第三者に財産を引き継ぎたい、財産を寄付したいなど、相続人以外に財産を引き継ぎたい場合にも適しています。
生前の財産管理と確実な財産の承継がしたい場合は「遺言代用信託」
遺言代用信託は、亡くなった後の残された家族の生活が心配な方に適しています。あらかじめ亡くなった後の財産の受取額や受け取り方法を契約で決めておくことができるので、確実に財産を引き継ぐことが可能です。また、相続人に未成年の方がいる場合などに財産管理を目的として利用することもできますし、認知症を発症するなど判断能力が低下した時点で財産管理を「信託銀行等受託者」に移すという契約をしておけば、成年後見制度を利用せずに財産管理をすることができます。
関連記事
最後に
遺言信託と遺言代用信託について解説しました。それぞれ特徴がありますので、しっかりと理解されたうえで利用を検討してください。気になることや、利用するにあたって不安がある場合は専門家に相談することをオススメします。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)