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2022.04.26
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結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税

結婚や出産、また子どもの進学などの際の子育て資金として、祖父母や両親から援助してもらう場合、贈与税がどのようになるのか気になる方もいるでしょう。通常、基礎控除額を超えた金額の贈与は贈与税が課税されます。しかし、祖父母や両親など直系尊属から結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合は、贈与税が非課税となる特例があります。今回は結婚、子育て資金の一括贈与の特例について、また特例の適用が認められる条件などを詳しく解説していきます。

目次
結婚や子育て資金の贈与では贈与税が課税される?
結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは
結婚・子育て資金一括贈与の非課税の手続き方法
結婚・子育て資金一括贈与の非課税の令和3年での改正ポイント
結婚・子育て資金一括贈与の非課税の注意点
まとめ

結婚や子育て資金の贈与では贈与税が課税される?

そもそも贈与税とはどのようなものに課税されるものなのでしょうか。贈与税は、個人が別の個人から財産をもらったときにかかる税金です。一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。このように1年間で贈与税を計算する課税方法を「暦年課税」といいます。暦年課税の場合、1年間でもらった財産が110万円以下であれば贈与税はかかりません。この110万円を基礎控除といいます。結婚や子育て資金の贈与も贈与税の対象となりますが、こちらも110万円以下であれば基礎控除内ですので贈与税はかかりません。また、110万円を超えても、「結婚・子育て資金一括贈与の特例」を適用した場合、贈与税が非課税となります。この「結婚・子育て資金一括贈与の特例」の適用のためには条件があり、条件に該当する場合、所定の手続きを行います。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは

「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」は、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」といい、2015年度の税制改正にて創設されました。将来の経済的不安が若年層に結婚・出産をためらわせる大きな原因であることを踏まえ、両親や祖父母の資産を早期に移転して結婚・出産・育児を支援するために作られた制度です。令和3年度税制改正により、適用期限が令和5年3月31日まで延長されました。

結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度

「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」とは、祖父母や両親などの直系尊属から、20歳以上50歳未満の子や孫などへ結婚・子育て資金を贈与した場合、受贈者一人当たり1,000万円まで(結婚資金の場合は300万円まで)の贈与に対する贈与税が非課税となる制度です。なお、この特例を適用していても暦年課税の基礎控除は使えます。(受贈者一人当たり1年間で110万円)

資金の贈与の方法としては、信託(信託受益権の取得)、銀行への預け入れ、有価証券の購入の3つの方法があります。また、特例の利用のためには、銀行などの取扱金融機関で結婚・子育て資金専用の口座を開設する必要があります。この口座は、一人の受贈者につき、ひとつの金融機関かつ、ひとつの営業所でのみ開設ができます。

贈与を受ける人の要件

受贈者となるには以下の要件を満たす必要があります。

20歳以上50歳未満
贈与者(祖父母や両親など)の直系卑属

直系卑属とは、贈与者の子、孫、ひ孫をいいます。養子縁組をしている場合も含まれますが、受贈者の配偶者の直系尊属(結婚相手の両親など)は含まれませんので注意しましょう。

非課税になる限度額

1,000万円までの金額に相当する部分の価額について、非課税制度が適用されます。結婚費用に充てる場合は、300万円までが限度額となります。取扱金融機関の営業所などを経由して、「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出必要があり、手続きを欠いた場合は特例を使うことができません。また、契約終了までに残額を使い切らなかった場合、また、契約期間中に贈与者が亡くなった場合は、贈与された資金から支出した分を引いた残額に対して、契約終了の時点で贈与があったこととされます。(亡くなった場合は相続もしくは遺贈)

結婚・子育て資金に含まれるもの

「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」を適用するためには、贈与された資金を決められた範囲の用途で使う必要があります。特例の適用が可能な使途は、以下の通りに設定されています。

結婚に関してかかる費用


受贈者の婚姻の日の1年前の日以後に支払われる婚姻に係る婚礼のために要する費用で一定のもの。例として結婚式・披露宴などの代金が挙げられます。


受贈者又はその配偶者の居住の用に供する家屋の賃貸借契約で支払われる家賃、敷金、その他一定のもの。受贈者が契約することが必要です。また、期間の指定があり、婚姻の日の1年前の日からその婚姻の日以後1年を経過する日までの期間に締結され、その契約締結の日以後3年を経過する日までの費用が対象とされています。


受贈者が、受贈者及びその配偶者の居住の用に供するための家屋に転居をするための一定の費用。こちらも、婚姻の日の1年前の日からその婚姻の日以後1年を経過する日までの期間にする転居に限るという条件があります。

妊娠、出産、又は育児に要する費用


受贈者又はその配偶者の不妊治療のために要する費用、又は妊娠中に要する費用で一定のもの。


受贈者又はその配偶者の出産の日以後1年を経過する日までに支払われるその出産に係る分娩費用、その他の費用で一定のもの。


受贈者の小学校就学前の子の医療のために要する費用で一定のもの。


幼稚園、保育所などを設置する者に支払う受贈者の子に係る保育料その他の費用で一定のもの。

結婚・子育て資金一括贈与の非課税の手続き方法

結婚・子育て資金の非課税の特例の適用を受けるためには、受贈者が一定の手続きを行う必要があります。手続きは以下のような手順となります。


取扱金融機関にて、結婚・子育て資金(非課税)専用の口座を開設する。受贈者一人につきひとつの口座となるため、複数の金融機関で口座を作ることはできません。口座開設、申し込みには贈与契約書などの必要書類の原本が必要となります。


「結婚・子育て資金非課税申告書」を作成する。


受贈者が「結婚・子育て資金非課税申告書」を取扱金融機関の営業所などを経由して、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出。信託がされる日、預金・貯金の預り入れをする日までに行わなければなりません。ただし、取扱金融機関において提出し、受理された場合、税務署長に提出されたものとみなされますので、わざわざ税務署に行く必要はありません。

結婚・子育て資金一括贈与の非課税の令和3年での改正ポイント

結婚・子育て資金一括贈与の非課税の特例は、令和3年度の税制改正により一部が改正されています。改正ポイントは以下の3つがあります。

適用は令和5年3月31日までに延長
残高は2割加算制度の対象になる
一定の基準を満たす保育料が資金の範囲に追加された

それぞれについて詳しく解説していきましょう。

適用は令和5年3月31日までに延長

令和3年度の税制改正により、非課税措置の適用期間の延長が決まり、令和5年3月31日まで利用できることとなりました。改正内容が適用されるのは、元々の期間終了予定であった令和3年3月31日以降、令和3年4月1日から令和5年3月31日になります。この期間以前に契約したものについては、改正前の制度が適用されますので注意してください。今回は期間が延長されましたが、令和5年以降にさらに延長になるかは未定となっており、廃止の可能性も否定できません。利用を考えている場合は早めの検討が必要です。

残高は2割加算制度の対象になる

贈与者が契約期間中に亡くなった場合、一括贈与された資金の残高である管理残額は相続・遺贈として、相続税が課税されます。このとき、受贈者が孫などで相続人でない場合、相続ではなく「遺贈」として扱われます。その際に、相続税額に2割加算されることとなりました。これは代襲相続で孫などが直接相続人になる場合は加算の対象とはなりません。

一定の基準を満たす保育料が資金の範囲に追加された

1日あたり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事などから一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものについて、その保育施設の保育料も資金の使途の範囲に加えられました。(令和3年4月1日より適用)

結婚・子育て資金一括贈与の非課税の注意点

特例を利用する際の注意すべき点はどのようなものがあるのでしょうか。注意点として以下の3点が挙げられます。

資金を引き出した場合は領収書の提出が必要
贈与者が死亡した場合は相続税の対象となる
結婚・子育て資金一括贈与の非課税が終了する場合

それぞれについて詳しく解説していきます。

資金を引き出した場合は領収書の提出が必要

特例の適用を受けるためには、専用の口座に預け入れした日以降の毎年1月1日から12月31日までに結婚・子育て資金として支出した領収書などの原本、及びその他必要書類を翌年1月1日から3月15日までに、口座を開設した金融機関に提出する必要があります。領収書などを紛失、又は提出期限内に提出することができなかった場合は、特例の適用を受けることができません。

贈与者が死亡した場合は相続税の対象となる

贈与者が契約期間中に亡くなった場合は、管理残額(結婚・子育て資金として一括贈与した資金の支出した分の残り)を受贈者が相続または遺贈により取得したものとみなされます。贈与者が亡くなった際の相続税の課税価格の計算は、一括贈与の管理残額を含めて行います。なお、受贈者が孫などである場合、令和3年4月1日以降に取得した資金については相続税の2割加算の対象となりますので注意が必要です。

結婚・子育て資金一括贈与の非課税が終了する場合

以下の条件に該当した場合、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税の特例適用は終了します。

◆ 受贈者が50歳に達した場合
◆ 受贈者が死亡した場合
◆ 結婚・子育て資金として一括贈与された資金の残高がゼロとなった場合に、受贈者と取扱金融機関との間で契約を終了させる合意があったとき

まとめ

今回は結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税について解説しました。結婚や子育て資金の一括贈与の贈与税が非課税となるこの特例は節税にもなります。また、後の世代を助けることができるのでぜひ利用したい制度です。しかし適用の範囲が決められており、提出書類も必要であるなど、個人で手続きを行うには手間がかかることは否定できません。そして、提出すべきものを誤ってしまうと、特例を適用できない可能性もあります。結婚や子育て資金の一括贈与を考えている場合は、一度専門家に相談し、間違いなく特例を利用できるようにしましょう。

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最後に

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