家族を同時に複数人亡くした場合の相続はどうなるのか

今回の内容はvol.281「家族を同時に複数人亡くした場合の相続はどうなるのか」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続は、亡くなられた順序によって法定相続人や相続割合が大きく変わります。車の事故や火災、天災、災害といった不慮の事故に巻き込まれて家族が同時に亡くなってしまった場合で、どちらが先に亡くなったのかわからない場合、どのように相続を進めていけばいいのでしょうか?
死亡の順序がわからない場合
死亡の順序がわからない場合は、「同時死亡」と推定します。同時死亡とは、複数の人が亡くなられ、どちらが先に亡くなったのかわからない場合に、同時に死亡したものと推定する民法の制度です。誰が相続人になるのかというのは民法で定められています。配偶者は常に法定相続人となり、子、父母、兄弟姉妹の順番で相続財産を引き継ぎます。この時、先に亡くなったのが誰かによって、法定相続人や相続財産を引き継ぐ割合(法定相続分)が決まります。
相続における同時死亡の具体例
家族が複数亡くなられた場合で、同時死亡と推定されたときの法定相続人と相続する割合はどうなるのでしょうか?具体例をあげて解説していきます。(ここでは子は1人とします)
① 父と子が同時に死亡し、孫がいない場合
父と子(長男)が亡くなり、どちらが先に亡くなったかわからない場合は同時死亡と推定され、父子の間では相続が発生しないと考えます。父が亡くなったときの相続人は配偶者である母のみが相続人となり、父の財産をすべて相続します。長男が亡くなったときの相続人は母と長男の配偶者となり、長男の相続財産は母が1/3、配偶者が2/3を相続することになります。
② 父と子が同時に死亡し、孫がいる場合
父と子(長男)が同時死亡し、孫(長男の子)がいる場合は、長男が本来相続するはずだった財産を孫が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。父が亡くなったときの相続人は母と孫になり、父の財産を母が1/2、孫が1/2相続します。長男が亡くなったときの相続人は長男の配偶者と長男の子になり、配偶者が1/2、長男の子が1/2相続します。
③ 父と母が同時に死亡し、子がいる場合
父と母が同時死亡した場合、夫婦間では相続は発生しません。子がいる場合、法定相続人は子だけとなり、子がすべての財産を引き継ぎます。
④ 父と母が同時に死亡し、子がいない場合
父と母が同時死亡し、子がいない場合、夫の財産は夫の両親が、妻の財産は妻の両親が引き継ぐこととなります。もし両親がすでに亡くなっている場合は、夫の財産は夫の兄弟姉妹に、妻の財産は妻の兄弟姉妹にというように、親族間で順位が移ります。もし夫の両親が亡くなっていて妻の両親が健在でも、夫の財産は妻の両親には渡らないので注意しましょう。
同時死亡と推定していたが先後を示す証拠が出てきた場合
同時死亡というのは推定なので、後々にどちらが先に亡くなったのかが示されている証拠等が出てきた場合はその推定を覆すことが可能です。この場合は遺産分割をやり直すことになりますので、相続分が少ない方や、覆されたことで新たに相続人となる方は、多く財産を取得していた相続人に対して相続財産の返還を求めることができます。これを「相続回復請求」といいます。
【例】 交通事故が発生し、夫婦が同時死亡と推定されていたが、後に夫は即死で、妻は病院へ搬送中に亡くなったことが分かった場合(夫婦の両親は健在、夫婦に子はなし。財産は夫600万円、妻300万円とします。)
同時死亡の相続割合
夫の財産は同時死亡の妻には相続せず、夫の両親300万円ずつ相続します。妻の財産は妻の両親が150万円ずつ相続します。
同時死亡が覆った場合
夫の財産600万円は妻が2/3で400万円、夫の両親が1/3を等分して100万円ずつ相続します。次いで亡くなった妻の財産(300万円+400万円)は妻の両親が350万円ずつ相続します。妻の両親は夫の両親にそれぞれ不足分の200万円を請求する(相続回復請求)ことができます。
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最後に
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・プロフェッショナルな会計ファームに授与される「Best Professional Firm」を3年連続で受賞
・書籍「相続に強い頼れる士業・専門家50選」に選出
・南山大学の非常勤講師