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相続マメ知識

遺産分割協議書で相続放棄を行う方法とは?

今回の内容はvol.265「遺産分割協議書で相続放棄を行う方法とは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。


相続には、相続人が被相続人(亡くなった方)の財産や負債を受け取ることを放棄する「相続放棄」というものがあります。相続放棄を行うためには、家庭裁判所に相続放棄の申し立てなど法的な手続きが必要になります。しかし「相続放棄をしたくない」という場合には、遺産分割協議書により事実上は相続放棄と同じような効果を得ることができます。

遺産を相続しない方法

遺産を相続しないようにするためには2つ方法があります。一つ目が「家庭裁判所への申し立てによる相続放棄」、二つ目は「遺産分割協議書による事実上の相続放棄」です。どちらも「相続しないための手続き」という点では同じですが、法的な意味合いは大きく変わります。

相続放棄の意味

家庭裁判所への申し立てによる相続放棄は、被相続人が持っているすべての財産(借金や未払い金などの負債も含む)を相続する権利を放棄することです。相続放棄を行うと、最初から相続人ではなかったものとみなされるため、他の相続人へ影響を与えることになります。

遺産分割協議書による事実上の相続放棄の意味

遺産分割協議書による事実上の相続放棄とは、相続する権利は放棄せず遺産分割協議書で「財産を相続しないこと」を他の相続人と合意することです。事実上の相続放棄と記載していますが、「相続分の放棄」と考えていただくとわかりやすいと思います。事実上の相続放棄は、遺産分割協議で相続人全員に「財産を相続しない」ことを伝えて了承してもらい、その後、遺産分割協議書を作成すれば成立する手続きです。ただし、借金などの債務がある場合は注意が必要です。

遺産分割協議による事実上の相続放棄をするメリットとデメリット

遺産分割協議による事実上の相続放棄には、どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。家庭裁判所への申し立てによる相続放棄を「相続放棄」、遺産分割協議による事実上の相続放棄を「事実上の相続放棄」として以下に比較して解説します。

メリット

① 家庭裁判所での手続きが必要ない
事実上の相続放棄は相続人の間での合意によって成立する手続きのため、基本的には家庭裁判所での手続きは必要ありません。ただし、遺産分割協議ではなく、遺産分割調停などの家庭裁判所の手続き上で「相続分の放棄」を行う場合は相続分放棄書を家庭裁判所に提出します。また、相続放棄を行う場合は、司法書士などの専門家に依頼しなければならないケースがほとんどですので、事実上の相続放棄は費用面でもメリットになるでしょう。

② 期限の定めがない
相続放棄には「原則、相続人であることを知ってから3ヶ月以内」に家庭裁判所に申し立てを行わなければならないという期限がありますが、事実上の相続放棄には期限の定めがありません。ただし、相続税の申告が必要な場合は相続開始から10ヶ月以内という期限があります。

③ 相続人の順位が変わらない
相続放棄は「初めから相続人ではなかった」ことになるので、相続人の順位が変動する場合があります。たとえば、第一順位である子が相続放棄をすると、第二順位の父母が相続人となります。そのため、相続放棄をする場合は次順位の相続人に伝えておかなくてはなりません。一方、事実上の相続放棄は相続人の順位が変わらないため、次順位の人への報告は不要です。

④ 生命保険・死亡退職金の非課税が適用できる
生命保険や死亡退職金の受取人は、相続放棄または事実上の相続放棄を行うケースで取り扱いが異なります。相続放棄を行った人が生命保険金または死亡保険金を受け取った場合、非課税枠の適用がなくそのまま相続税の課税対象になりますが、事実上の相続放棄では非課税枠を利用することができます。

⑤ 相次相続控除が適用できる
相次相続控除を適用するには「被相続人の相続人であること」が要件となっています。相続放棄してしまうと相続人ではなくなるため、相次相続控除の適用を受けることができません。一方、事実上の相続放棄では相続人であることに変わりはないので相次相続控除の適用を受けることが可能です。

デメリット

① 債権者に対抗できない
事実上の相続放棄の一番のデメリットは「債権者に対抗できない」ことです。亡くなった方に借金などの負債がある場合、遺産分割協議書で「負債は引き継がない」としていても、債権者に対しての効力はありません。遺産分割協議書はあくまでも相続人同士の合意なので債権者には無関係です。事実上の相続放棄を行っても負債は引き継ぐことになってしまいますので注意しましょう。

② 相続人全員での話し合いが必要
事実上の相続放棄は、遺産分割協議を行って相続人全員の合意を得る必要があるため、相続人全員での話し合いが必要です。一人でも合意を得られなければ事実上の相続放棄を行うことはできません。

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最後に

事実上の相続放棄は、遺産分割協議書により「相続人であることは認めるが遺産を相続しない」ということを示すことになります。このことは、「相続の単純承認」に該当するため、それ以降、法的な相続放棄はできなくなってしまいます。相続財産に借金がなく、家庭裁判所への申し立ても手間だという理由で事実上の相続放棄を行い、その後多額の借金が見つかった場合には大変なことになります。事実上の相続放棄を行う場合はしっかりと相続財産を調査し、慎重に検討しましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。

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