相続税申告の土地評価で使われる路線価とは?
今回の内容はvol.254「相続税申告の土地評価で使われる路線価とは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続税申告の際に多く登場する財産は「土地」です。土地の相続税評価額を出すとき、まず最初に「路線価」を確認します。では、「路線価」とはいったいどんなものなのでしょうか?
路線価とは
路線価とは、全国の市街地の道路に設定されている1㎡あたりの土地の時価のことです。相続税や贈与税で土地を評価する場合は、この路線価を使用します。路線価は国税庁のホームページで確認でき、毎年7月上旬に公表されます。過去7年分までの路線価を国税庁のホームページで確認することができます。それより前の情報は国会図書館等で確認できます。
一物四価とは
土地は「一物四価」ともいわれます。すなわち、一つの土地に対して4つの価格が存在するということです。以下で具体的に説明します。
公示地価
土地を売買するうえで参考にする指標。毎年3月下旬に公表されます。
実勢価格
実際に土地を売買するうえでの価格。
相続税路線価
上記で解説した路線価のこと。公示価格の8割程度と言われています。
固定資産税評価額
固定資産税を計上するうえで使用される路線価。公示価格の7割程度と言われています。
路線価はどのように設定されるのか?
宅地の価値がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している道路に設定される
路線価は、価値がおおむね等しい道路ごとに設定されています。例えば同じ道路でも価値が違えば違う路線価が設定されます。同じ道路なのに路線価が違う場合は様々な理由があります。一番大きな理由は「道路の幅や建築基準法上の道路の種別」です。他にも「駅からの距離や日当たり」なども路線価に反映される場合もあります。
不特定多数の人が通行する道路に設定される
路線価は不特定多数の人が通行する道路のみに設定されます。したがって、行き止まりの道や私道等の特定の人しか通行しないような道路には、路線価は設定されません。
路線価設定の前提となる4つの条件とは
路線価は、下記の4つの条件を前提として設定されています。
1. その路線のほぼ中央部にあること
2. その一連の宅地に共通している地勢にあること
3. その路線だけに接していること
4. その路線に面している宅地の標準的な間口距離および奥行き距離を有する形または正方形のものであること
簡単に言うと、道路の中央にあって、角地ではなく、適度に四角い土地ということになります。このような土地でなければ、路線価 × 地積から減額したり増額したり補正しなければなりません。増額の補正の場合、角地等のいくつかの道路に面しているという補正が主であり、減額の補正を行うことがほとんどです。この減額の補正をどれだけ加味できるかが重要となるため、土地の相続がある場合は、相続に強い税理士に依頼をしましょう。
路線価の補正率とは
土地が大きすぎたり形が悪かったりすると、単に「路線価 × 地積」の評価額では、実際の利用価値に見合わない場合があります。その場合は以下のような補正を加えて計算する必要があります。
① 奥行価格補正
路線価から奥行き距離が短い場合や長い場合に減額できる補正です。距離や地区区分に応じて補正率が決められています。
② 間口狭小補正
対象地の間口(路線価に面している長さ)が短い場合に適用できる減額補正です。間口の長さや地区区分に応じて補正率が決められています。
③ 奥行長大補正
奥行き距離 / 間口距離 の数字により減額補正が用意されています。数字が大きくなればなるほど使い勝手が悪くなるということで、減額割合も大きくなります。
④ 不整形地補正
形が悪い土地に用意されています。地積の大きさや不整形の割合等に応じて補正率が決められています。
⑤ 規模格差補正
地積が大きすぎることによって評価が下げられる補正です。
⑥ 土砂災害特別警戒区域補正(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)
相続税の対象となる土地が土砂災害特別警戒区域にある場合は一定の減額が可能です。この制度は平成30年に新設されました。対象となる土地は今後増えていく見込みで、注目度の高い制度です。
⑦ 側方路線影響加算
宅地の正面と側方が路線に面しているときに、評価額を加算して計算することを言います。相続税の土地評価はほとんどが減額補正の規定ですが、中には側方路線影響加算のように加算される規定もあります。
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最後に
相続財産に土地がある場合、相続税申告において、まず、土地の相続税評価をしなければならなりません。土地の評価をしなければならないということは、路線価を知っておく必要があります。ですが、土地の状況によって補正などもあり、正確に判断することはとても難しいことです。相続税申告を専門的に行っている税理士に相談することをおススメします。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。
また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。
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