借地権を相続する場合の名義変更や必要書類を解説
今回の内容はvol.253「借地権を相続する場合の名義変更や必要書類を解説」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続した家が借地に立っている場合、相続手続きはどのように行えばいいのでしょうか?
借地権とは
借地権とは、建物所有目的で他人の土地を借りる権利のことです。家を建てたいと思ったとき、新たに土地を購入する方法もありますが、他人の土地に建築するという方法もあります。その際、他人の土地に勝手に家を建てることはできないので、土地を借りる必要があります。この時に設定する権利が「借地権」です。このように借地権とは、建物を所有する目的で土地を借りる権利のことを指します。建物を所有するためでなければ借地権とは言いません。
借地権の種類
借地権にはいくつかの種類があります。
① 普通借地権
普通借地権とは、契約の更新ができる借地権です。一般的に借地権と呼ばれる場合は、この普通借地権のことを指します。存続期間を契約で定めた場合はその期間まで、定めていない場合は30年が存続期間です。この時、30年よりも短い期間を定めても無効になるので注意しましょう。契約の更新後は、最初は20年、それ以降は10年とされていて、正当な理由がない限りは更新されます。
② 旧借地権
今の借地借家法は平成4年8月1日から施行されているので、それ以前に設定された借地権が旧借地権です。現在でも旧借地権の効力は存続していますが、現行法とは建物による存続期間に違いがあります。(旧借地権では堅固建物は30年以上、非堅固建物は20年以上です。)正当な理由がない限り更新されることは普通借地権と同じです。
③ 一般定期借地権
一般定期借地権とは、定められた存続期間の経過によって契約が終了する借地権です。普通借地権との違いは、契約の更新ができないというところで、契約が満了したら土地を地主に明け渡す必要があります。契約の存続期間は50年以上です。
借地権の相続
通常は、借地に建てられている建物の名義を変更し、相続によって借地権を取得したことを地主に連絡しておけば大丈夫です。ただし、借地権が登記されている場合は借地権の名義変更も行う必要があります。
名義変更の流れと必要書類
名義変更の前にまず不動産全部事項証明書を取得するなどして、対象となる不動産を確認します。また、地主へ相続が発生したことを連絡しましょう。相続人が複数いる場合、誰が当該不動産の借地権を相続するかを決めて遺産分割協議書を作成しましょう。この時、遺言によって相続人が決まっていた場合は遺産分割協議書は必要ありません。書類が全て揃ったら、法務局で名義変更の申請を行います。
必要書類
● 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
● 相続人全員の現在の戸籍謄本
● 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
● 相続人の住民票もしくは戸籍の附票
● 遺産分割協議書もしくは遺言書
● 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書を作成する場合)
● 固定資産税評価証明書
地主とのやり取りの注意点
法定相続人への相続の場合
地主の承諾、土地の賃貸借契約書の名義変更の必要はありません。地主に対しては借地権を相続によって取得したことを伝えておけば大丈夫です。名義変更はしないので譲渡承諾料も不要です。
法定相続人以外の人への遺贈の場合
地主の承諾と譲渡承諾料が必要です。譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%ほどですが、借地の事情は個々で大きく異なるので、この金額を目安にしつつ個々に決定されます。地主の承諾が得られなかった場合は家庭裁判所に許可を求める申し立てを行います。
相続した建物を売却する場合
売却は可能ですが、地主の承諾が必要です。地主の承諾を得ずに売却してしまうと契約違反になる恐れがあります。承諾を得て売却する場合でも、通常、承諾料(相場は借地権価格の10%)を支払います。
相続後に建替えを行う場合
当事者間の合意によって増改築(建替えを含む)を制限する条項がある場合は地主の許可が必要です。許可を得られない場合は、裁判所に許可を求める申立てをすることができます。許可を得ないまま建替えを行ってしまうと契約解除されてしまう恐れがあります。通常は地主に承諾料(相場は借地権価格の3~5%)を支払います。
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最後に
名義変更の手続きは書類集めなど複雑なことが多くあります。名義変更に関しては司法書士に相談するといいでしょう。また、土地に関しては相続トラブルも起こりやすいため、相続専門の税理士に相談することもオススメします。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。