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不動産の相続について

人が亡くなった場合、その人(「被相続人」といいます)の財産は、相続によって法律が定める一定の近親者(「相続人」といいます。)に承継されます。

この場合、現金や預金などは、その金額(評価額)も明確ですし、これを複数の相続人間で分ける場合も特に問題はありません。

しかし、相続財産の中に不動産がある場合には、現金などとは異なる考慮が必要となります。
そこで、本稿では、相続財産に不動産がある場合にどのような取り扱いになるのかについて見ていきたいと思います。

目次
不動産のデメリット
不動産のメリット
不動産の相続税評価額の計算について
評価額の修正
共有名義の土地が相続財産にある場合の問題点
まとめ

不動産のデメリット

相続財産に不動産があった場合の代表的な問題点としては、次の3つが挙げられます。
・分割がしにくい
・その評価額の算出が難しい
・相続税の納付は一般的に現金で行う
順に見ていきましょう。

分割がしにくい

人が亡くなった場合に誰が相続人となるかは、民法第887条から第890条に定められています。それによると、被相続人に配偶者がいる場合には、配偶者は常に相続人となります。その他に、被相続人に子供がいる場合には子供が第1順位の相続人になります。

被相続人に子供がいない場合には、被相続人の両親が第2順位の相続人になります。被相続人に子供も両親もいない場合には被相続人の兄弟姉妹が第3順位の相続人になります。

そして、同順位の相続人が複数いる場合(たとえば子供が2人いる場合など)には、その相続財産をその人数で分けることになります(民法第900条)。

このように、相続人が複数いる場合には、相続財産を相続人間で話し合いにより分割することになります。これを遺産分割といいます。

ところで、不動産の場合、広大な土地であれば分割(これを「分筆」といいます。)して、それを各相続人間が取得することも可能ですが、土地が狭い場合には分筆することは困難です。ましてや、建物の場合にはその建物を分割すること自体物理的に不可能です。
このように、相続財産に不動産が含まれている場合には、その遺産分割において問題が生じることになりかねません。

評価が難しい

現金や預金などの場合には、その価値がいくらかは金額的に明確です。

しかし、不動産の場合には、その評価額の算出が困難な場合があります。例えば、その不動産の場所や形状、権利関係や利用状況などによっても大きく評価額が変わってくるため。一般の方が正確に不動産の価値を算出するのは、実際上、困難といわざるを得ません。

その結果、その評価額を巡って、相続人間でトラブルとなったり、また、相続税の申告等に際しても、事後的にその評価が不適正であったとして税務署から指摘を受けるといった事態も少なからず見られます。

相続税の納付は一般的に現金で行う

遺産の大半が不動産であった場合、相続する現金で相続税が納付できないという場合があります。以前に比べ、物納(不動産等で相続税を支払うこと)が認められにくくなっていること、また一般的な売却代金に比べ安く評価されることから、近年では物納制度を利用することは少なくなってきています。

不動産のメリット

一方で、相続財産に不動産があることによって、以下の様なメリットも考えられます。

節税対策となる場合がある

相続税は、相続財産の評価額から、所定の方法で計算した基礎控除額を控除した残額に対して課税されます。しかも、その税率は、超過累進課税方式をとっており、相続財産の額が多ければ多いほど、税率は高くなっています。

従って、相続税を節税するためには、財産の評価額を減少させることが有効ということになります。
不動産の場合には、その利用状況によって、大幅に評価額を減少させることができる場合があります。例えば、自身が使用している土地の場合と比べて、その土地を他人に賃貸している場合や、その土地上に自ら建物を建築してこれを他人に賃貸している場合などでは、その土地の評価額が減額されることになります。

「アパート経営が相続税対策になる」といった宣伝文句を見ることがあるかもしれませんが、これはこの土地の活用方法による節税のことをいっていると考えられます。その他にも、不動産を相続する場合には、数多くの控除や特例による軽減措置が設けられており、これらを活用することで相続税を軽減できる場合があります。

相続税の原資となる現金収入を得ることができる

不動産を賃貸等すると賃料収入を得ることができます。実はこの現金収入は相続に関して非常に重要な要素となる場合があります。相続税の納付は、現金による一括納付が原則とされています。

しかし、相続財産の中に現金が余りない場合には、この相続税の納付が困難となってしまい、相続財産の一部を売却するなどしなければならないといった事態も生じかねません。

そのような場合に、相続財産の中に賃貸している不動産などがある場合には、その賃料等による現金収入をもって相続税納付の原資に充てることが可能となり得るのです。

このように、相続財産の中に、不動産がある場合、それを有効活用することによって、有効な節税、相続税納付の原資の準備等も含めた相続税対策が可能となります。

不動産の相続税評価額の計算について

ここでは、不動産の評価額の計算の基本的な部分を確認しておきましょう。

土地の評価額の基本

土地の評価額の算定方法は、主に「路線価方式」と「倍率方式」という二つの方法があります。

路線価方式

路線価とは、主に市街地などについて、国税庁が定めている、道路に面した標準的な土地の1㎡たりの評価額のことをいいます。路線価を示した路線価図は国税庁が毎年公表しており、国税庁のホームページでも見ることができます国税庁HP

路線価方式とは、この路線価を元にして、土地の評価額を算出する方法です。

具体的には路線価は「400E」という形で、数字とローマ字の組み合わせで表示されています。
この数字が、当該道路に面した土地の1㎡当たりの金額(千円単位)を示しています。数字の後ろのローマ字が借地権割合を示しています。この借地権割合については、後ほど説明します。

路線価方式による土地の評価額は、基本的に、この路線価にその土地の面積をかける形で計算します。

例えば、先ほどの「400E」という路線価の道路に面した80平方メートルの土地の評価額は「40万円×80平方メートル=3,200万円」となります。

倍率方式

路線価は全ての道路について設定されているわけではありません。路線価が設定されているのは、主に市街地に限られます。そこで、路線価が設定されていない土地については、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて、その評価額を算出することになります。

倍率表についても、路線価と同様に毎年公表されており、国税庁のホームページで見ることができます国税庁HP

倍率表では、市区町村および市街化地域や市街化調整区域などの別に応じて、その倍率が土地の種類毎に表示されています。

そこで、倍率表による評価額の計算は、該当する土地の市区町村、適用地域、地目からその土地の倍率を調べ、その倍率を固定資産税評価額に乗じて計算することになります。
例えば、以下の様な倍率が定められている宅地の固定資産税評価額が800万円の宅地の場合

その評価額は、「800万円×1.1(宅地の倍率)=880万円」となります。

路線価方式における調整の必要

土地の評価額の基本的な計算方法は上記の通りですが、路線価方式による計算の場合は、上記によって計算した金額から、更に調整をする必要があります。路線価は、その土地が平坦かつ標準的な四角形の土地であることを前提としています。

しかし、実際の土地は必ずしもそのような形ばかりとは限りません。間口が狭くて奥行きが非常に長い土地とか、逆に間口は広いが奥行が極端に狭い土地とか、更には旗竿地のような不整形な土地や、崖になっている土地など、いろいろな形状、立地条件の土地があります。

これらに応じて、補正率を掛ける等して、調整する必要があります。

建物の評価額

建物の評価は、土地に比べると簡単で、自分で利用している場合は固定資産税評価額がその評価額とされます。他人に賃貸している場合は固定資産税評価額から借家権割合(30%)を控除して評価されます。
ちなみに、固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に記載されています。もしそれが見当たらない場合には、市役所等に固定資産税評価証明書の交付を申請して取得することで確認することができます。

評価額の修正

上記の通り算出された不動産の評価額ですが、それがそのまま不動産の評価額となるとは限りません。各種の控除や特例等が定められており、それらによる修正をしたうえで、最終的な評価額が決定されることになります。以下では、その代表的なものについて見ていきます。

土地に借地権がついている場合

相続財産に含まれている土地が、他人に賃貸している土地である場合には、その土地の評価額から路線価図、または、倍率表に定められた「借地権割合」が減額されることになります。路線価において数字の後ろに定められていたローマ字は、その借地権割合を示したものです、

Aが90%、Bが80%、Cが70%、Dが60%、Eが50%、Fが40%、Gが30%
となっています。

先の例であげた路線価「400E」の80平方メートルの土地について見てみると、この場合の借地権割合は「E」とっているため50%となります。

その結果、この土地が他人に賃貸している土地である場合には、その評価額は
「3,200万円(本来の評価額)×(1−50%)=1,600万円」
となります。

このように、借地権を設定している土地の場合には、大幅にその評価額が減額されることになります。

土地上の建物を賃貸している場合

土地自体を賃貸しているのではなく、土地上に建物を所有していて、その建物を賃貸している場合も、その土地の利用が制限されていることから、評価額が減額されます。

この場合は、その土地の評価額から、借地権割合とともに借家権割合(これは一律30%とされています)を考慮した金額が減額評価されます。

具体的な計算式は
「本来の評価額×(1−借地権割合×借家権割合)」となります。
先ほどの土地について、土地自体を賃貸しているのではなく、土地上の建物を賃貸しているとした場合の評価額は、
「3,200万円×(1−50%×30%)=2,720万円」となります。

賃貸している建物の評価額

相続財産にある建物が賃貸中である場合、その建物自体も評価が減額されます。既に述べたとおり、建物の借家権割合は一律30%とされていますので、賃貸中の建物の評価額は、本来の評価額である固定資産税評価額から30%を減じた額となります。

例えば、建物の本来の評価額(固定資産税評価額)が500万円とした場合、それが賃貸中とすると、その評価額は
「500万円×(1−30%)=350万円」
となります。

小規模宅地等の特例

相続財産の中に、被相続人が居住用に使用していた宅地、または、事業に使用していた宅地がある場合には、一定の条件の下で、その評価額が最大80%減額されるという制度があります。
これを「小規模宅地等の特例」といいます。

居住用宅地の場合

被相続人が居住用に使用していた宅地を、その配偶者が相続した場合、または、被相続人と同居していた親族が相続して引き続きその宅地上に居住している場合などには、その宅地面積が330平方メートルまでの範囲で、評価額が80%減額評価されます。

事業用宅地の場合

被相続人が事業に使用していた土地を、その事業を引き継ぐ親族が相続した場合については、400平方メートルの範囲で、80%減額評価されます。

不動産貸付用宅地の場合

被相続人が宅地を他人に賃貸していた場合で、相続によってその宅地を相続した親族が賃貸事業を引き継いだ時は、200平方メートルの範囲で、評価額が50%減額評価されます。

この小規模宅地等の特例の適用については、更に細かい要件が定められていますが、ここではそのような制度があるという説明だけに留めておきます。詳細については、国税庁のホームページなどでご確認ください。国税庁HP

共有名義の土地が相続財産にある場合の問題点

所有権については、単独の所有者が所有しているのが一般的な形ですが、中には複数の者が一つの物を共同で所有しているという場合もあります。これを「共有」といいます。

不動産については、例えば、夫婦が居住用建物を共有しているといった場合が代表的と思われますが、それ以外でも、相続財産を分割しないで相続人の共有名義のままとしているといった場合もあるかもしれません。

相続財産の中に、既に被相続人が他人と共有していた不動産がある場合、その被相続人の共有持分を更に相続人が相続することとなります。

その結果、当初からの共有者と、被相続人の相続人との共有となり、相続人が複数いる場合には、どんどんその共有者が増えるといったことにもなりかねません。

共有者が増えると、当然、その財産の管理や処分等についても意見の相違が出てくる可能性があり、ますます、権利関係が複雑化したり、処分しようにも処分できないといった自体にもなりかねません。

従いまして、相続財産の中に共有不動産がある場合には、できるだけ速やかに、他の共有者と連絡をとり、可能な限り共有関係を解消するよう努めるべきでしょう。

まとめ

以上、相続財産に不動産が含まれている場合にどのような取り扱いになるのか、その概要について見てきました。
相続財産の中に不動産がある場合、その価値が大きいだけに、その遺産分割や、相続税の取り扱いに際しても、問題となることが少なくありません。その為、相続税対策として不動産の活用を行うだけでなく、実際に相続が起きた場合にその不動産をどうするのか、という点も含めて検討しておく必要があると言えるでしょう。

最後に

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私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
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