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相続マメ知識

遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税

今回の内容はvol.209「遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。


遺言は、故人の最後の意思表示であり、最大限尊重されるべきものとされています。ですが、遺言書の通りに遺産分割を行うと、相続人に不利益が出てしまう場合があります。このような場合、必ずしも遺言書通りではなく異なる遺産分割をすることもできます。

遺言書と異なる遺産分割

遺言書と異なる遺産分割を行うには、以下の条件を満たしている必要があります。

① 遺言で遺産分割が禁止されていない

遺言では遺産分割の方法を指定するだけではなく、死亡から5年を超えない期間を定めて遺産分割を禁止することができます。これが指定されていると遺産分割が行えないので、遺言と異なる遺産分割をするためには、遺言で遺産分割が禁止されていないということが前提となります。

② 相続人全員の合意が必要

遺言に遺産分割を禁止する内容の記載がなければ、遺産分割協議によって相続人全員が合意することで遺言と異なる遺産分割が可能になります。

③ 遺言執行者がいる場合、同意が必要

遺言では遺言執行者を定めることが可能です。遺言執行者とは、遺言書の内容に従い、故人の遺志を実現する役目を担います。遺言執行者が相続人でない場合は、遺言執行者の同意を得る必要があります。

④ 相続人でない受遺者がいれば同意が必要

遺言で相続人以外の人に遺産を渡すよう指定されている場合は、その受遺者の同意を得る必要があります。受遺者の同意を得た後の手続きは、包括遺贈の場合と特定遺贈の場合とで異なります。

包括遺贈の場合

遺言で割合のみを決める包括遺贈であれば、受遺者に遺贈の放棄をしてもらうことになります。包括遺贈の放棄は、相続放棄と同じで家庭裁判所に申し立てる必要があります。

特定遺贈の場合

遺言で遺産を指定する特定遺贈であれば、受遺者に遺贈を放棄する旨の意思表示をしてもらう必要があります。特定遺贈を放棄する意思表示は当事者間で行えばよく、家庭裁判所への申し立ては不要です。

遺産分割協議書の書き方

遺言と異なる遺産分割をする場合は、相続人全員が遺言の内容を確認して、それとは異なる遺産分割をすることに同意している旨を記載する必要があります。

登記の方法

遺言と異なる遺産分割をした不動産の場合、名義変更の登記に注意が必要です。特定遺贈があって、それとは異なる遺産分割を行った場合、原則まず遺言に沿った相続登記を行います。その次に贈与または交換による移転登記を行います。

例:遺言では長男に自宅を相続するとしていたが、実際は次男が自宅を相続する場合

まず、相続を原因とする所有権移転登記を行います。(この段階では長男が自宅を相続したことになっています。)次に長男が相続した自宅を、贈与(交換)を原因とする所有権移転登記を行い次男に贈与(交換)します。

このように2段階の移転登記をする必要があります。ですが、実務においては上記のような移転登記をせず、直接遺産分割協議による相続登記をする運用がされることもあります。

相続税の考え方

上記のように2段階の移転登記を行ったら相続税だけでなく、贈与(交換)による贈与税もかかってしまうのではないか?という疑問が生まれると思います。しかし、相続税の計算では、初めから遺言と異なる遺産分割をしたことにします。ですので、相続人の間で財産の贈与や交換があっても、贈与税はかかりません。ただし、遺言で相続人以外の受遺者に特定遺贈があったときに相続人と受遺者で財産を取り換えて遺言と異なる遺産分割をする場合は例外です。この場合は遺贈された財産に相続税、その後財産を交換した譲渡益に所得税が課税される可能性があります。

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最後に

遺産分割において、遺言書は最大限尊重されるべきものです。ですが、相続人全員の合意や遺言執行者、受遺者の同意があれば遺言書とは違う内容の遺産分割を行うことも可能です。もともと遺言があると「もともとの遺言書にはこう書かれていた」などもめてしまう原因になってしまう場合も多々ありますので、なるべく早めに専門家に相談をしましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。

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