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遺産分割でもめるのはなぜ?相続トラブルの原因と解決策

相続では、「感情」と「お金」というデリケートな問題が複雑に絡み合います。生前には表に出なかった不満や疑念が、遺産分割の場面で一気に表面化し、「まさか自分の家でこんなトラブルになるとは思わなかった」と驚かれる方も少なくありません。特に親の逝去後、兄弟姉妹の関係が悪化し、話し合いでは収まらず裁判にまで発展するケースも多く見られます。

本記事では、遺産分割でもめる理由と、生前にできる具体的な対策について解説します。相続を見据えて、今から備えておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次
遺産分割でもめるのは富裕層だけではない
遺産分割でもめやすい家族に共通する5つの特徴
遺産分割がまとまらないときの流れ
遺産分割でもめないためにできる生前対策
まとめ

遺産分割でもめるのは富裕層だけではない

相続トラブルは、資産の多い家庭だけの問題ではありません。実際には、ごく一般的な家庭ほど、遺産分割でもめるリスクが高いのです。

令和5年の最高裁判所事務総局「司法統計年報」によると、家庭裁判所で扱われた遺産分割の調停・審判件数は全国で13,872件に上ります。中でも、相続財産が5,000万円以下のケースが全体の7割以上を占めており、最も多かったのは「1,000万〜5,000万円以下」(3,166件)、次いで「1,000万円以下」(2,448件)でした。

名古屋家庭裁判所だけでも1,353件の遺産分割事案が発生し、そのうち301件は審判にまで発展しています。つまり、多くの家庭で話し合いだけでは解決できなかったという現実があるのです。相続税の課税対象ではないから「関係ない」と安心せず、早めに相続の備えをしておくことが、トラブル回避のポイントとなるでしょう。

参照:令和5年最高裁判所事務総局|司法統計年報

遺産分割でもめやすい家族に共通する5つの特徴

遺産分割でもめる家族によく見られる特徴は、以下の5つです。

兄弟姉妹の仲が悪い・疎遠である
特定の相続人への負担や利益の偏り
不動産など分割しにくい財産が多い
遺言書の内容が不公平・不明確である
家族関係が複雑である

それぞれを詳しく見ていきましょう。

兄弟姉妹の仲が悪い・疎遠である

兄弟姉妹の関係がこじれていると、遺産分割協議はたちまち行き詰まります。

もともと仲が悪かったり、長年連絡を取っていなかったりする相続人同士が、親の死後すぐに協力して遺産を分け合うのは、現実的には難しいものです。過去のわだかまりや不信感が再燃しやすく、相手の言い分に耳を傾ける姿勢すら持てないまま、感情的な対立に発展するケースもあります。さらに、疎遠だった相続人は、亡くなった方の財産状況や介護の実態を知らないケースも少なくありません。そのため、他の相続人の言動を疑ってしまい、遺産分割の話し合いがこじれる原因となるのです。

特定の相続人への負担や利益の偏り

遺産分割で不満が生まれやすいのは、一部の相続人だけが特別に利益を得たり、負担を強いられたりする場合です。

例えば、長男が10年間にわたり両親の介護を担ってきたケースでは、「これだけ尽くしたのだから、他の兄弟より多く相続して当然だ」と主張しがちです。しかし、他の兄弟姉妹にしてみれば「介護は感謝するが、それと相続は別の問題」と考え、意見が対立する原因となります。

また、次男が生前に親からまとまった金額の贈与を受けていた場合、本人は「贈与はすでに完了しており、相続とは関係がない」と考えるかもしれません。これに対して、他の相続人は「すでに多く受け取っているのだから、その分を差し引くべきだ」と主張し、不満を抱く可能性があります。

介護や生前贈与などをめぐって相続人間で利益や負担に差があると感じられる状況では、「寄与分」や「特別受益」といった制度の適用を巡って対立が起こりやすくなります。法律上は調整の仕組みが用意されていても、関係者全員が納得しなければ、話し合いは円滑に進みません。公平に見える分け方でも、受け取る側の心情によっては不公平に映るため、相続人それぞれの思いや背景にも配慮した対応が求められるでしょう。

寄与分の主張を検討している方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続の寄与分とは?時効や相場、請求方法をわかりやすく解説

不動産など分割しにくい財産が多い

相続財産の大半を不動産が占めていると、遺産をどう分けるかで対立が起こりやすくなります。

例えば、相続人が3人いても、不動産は1軒の家しかなければ、「誰が住むのか」「どうやって公平に分けるのか」という問題に直面します。不動産は現金のように等分しにくく、特定の相続人が家を相続すれば、他の相続人は「損をしている」と感じやすくなります。

仮に、代償金を支払って公平を図ろうとしても、家を相続した相続人に十分な資力がなければ、補えずに不満が残ります。また、不動産を売却して現金化(換価分割)する案もありますが、「家を残したい人」と「現金化したい人」で意見が食い違うケースも珍しくありません。

さらに、不動産の評価には「固定資産税評価」「路線価」「時価」など複数の基準があり、「この家はいくらの価値があるのか」の判断さえも相続人間で合意できないケースもあります。共有状態で不動産を持ち合う選択肢もありますが、誰も手をつけずに空き家化するリスクもあるため、分けにくい財産が多い場合は早めの整理と対策が重要です。

不動産相続の流れを詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】不動産の相続でかかる税金とは|相続時、所有時、売却時の税金を解説

遺言書の内容が不公平・不明確である

遺言書は本来、相続トラブルを防ぐためのものです。しかし、特定の相続人にだけ財産を集中させたり、内容が曖昧だったりすると、かえって相続人同士の不信や対立を招く原因になります。

例えば、「長男に全財産を相続させる」とだけ書かれている遺言があった場合、他の兄弟はどう感じるでしょうか。「なぜ自分には何もないのか」など、疑念や不満が噴き出す可能性は高くなります。中には、「本当に本人が書いたのか」と、遺言の有効性そのものが争点になるかもしれません。

また、たとえ形式的に有効な遺言でも、他の相続人の遺留分を侵害していれば、「遺留分侵害額請求」や「遺言無効確認調停」をされる可能性もあります。その結果、遺言通りに遺産が分割されないケースも少なくありません。

家族関係が複雑である

複雑な人間関係や立場の違いが絡むと、「財産をどう分けるか」以前に、「誰とどのように話し合うか」といった調整そのものが大きな壁になります。

例えば、前妻の子と後妻の子、認知された子などが相続人に含まれる場合、関係がぎくしゃくしていたり、これまで交流がなかったりするケースも珍しくありません。また、相続人がすでに亡くなり、代襲相続によって孫世代まで話が及ぶケースでは、話し合う人数や立場が多様化し、利害調整はさらに困難になります。

遺産分割がまとまらないときの流れ

相続人同士で話がまとまらない場合、最終的には家庭裁判所を通じて法的な手続きに移ります。ただし、いきなり裁判になるわけではなく、以下のように段階を踏んで解決の道を探っていきます。

1. 遺産分割協議
2. 遺産分割調停
3. 遺産分割審判

調停では、中立の立場である調停委員が、相続人や受遺者の間に入り、合意の道を探ります。裁判官から提案された内容に当事者全員が同意すれば、調停成立となり、その内容に従って遺産分割が実施されます。

しかし、誰か一人でも納得できなければ、調停は不成立となり、「審判」に進みます。審判では、裁判所が各相続人の意見や事情を踏まえて、最終的な判断を下します。

遺産分割の流れについて振り返りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】遺産分割とは?知っておきたい分配の基本とスムーズな進め方のコツ

遺産分割でもめないためにできる生前対策

遺産分割でのトラブルを防ぐ方法は、以下の4つです。

財産の分け方について話し合う
家族信託を利用する
遺言書を作成する
専門家のサポートを受ける

相続は「財産を引き継ぐ」だけでなく、「家族の絆を未来につなぐ」大切な機会です。将来のもめごとを防ぐためにも、今できることから一つひとつ着実に備えていきましょう。

財産の分け方について話し合う

相続トラブルの多くは「話し合い不足」から始まります。「亡くなった後の話はしづらい」と感じる方も多いですが、何も話さずにいると、相続人同士で意見が食い違い、トラブルに発展する恐れがあります。誰がどの財産をどれだけ受け取るのか、家族の間で事前に共有しておくだけで、相続開始後の感情的な対立を減らせるでしょう。

家族構成に応じた分割割合の考え方を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】遺産分割の割合は自由に決められる?法定相続分とケース別の目安を解説

家族信託を利用する

家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理や処分を任せる方法です。財産の名義をあらかじめ受託者に移しておけるため、相続時の争いを防ぎやすい点が大きなメリットです。

具体的には、財産の所有者(委託者)が、管理を任せたい家族(受託者)と契約を交わし、土地や預貯金の管理・処分を委ねます。そこで得られた利益は、あらかじめ決められた受益者が受け取る仕組みです。認知症や相続トラブルによって財産が凍結されてしまうリスクを避ける手段として、注目されています。ただし、家族信託は比較的新しく導入された制度であるため、実務に詳しい専門家がまだ限られているのが現状です。さらに、自由性が高い分、設計が難しいなどのデメリットも存在します。そのため、家族信託を検討する際は、実務に精通している税理士法人や専門家に相談することをおすすめします。

相続税のクロスティでは、在籍する司法書士をはじめ、弁護士や不動産管理会社とも緊密に連携し、民事信託をサポートできる体制を整えています。信託終了後のご家族の将来まで見据えた設計を希望される方は、民事信託ページをぜひご覧ください。

遺言書を作成する

揉める原因ともなる遺言書ですが、内容を適切に整えれば、相続トラブルの予防に大きく役立ちます。

遺言があれば、誰にどの財産をどのように分けるかを明確に伝えられるため、相続人同士の無用な話し合いを避けられます。また、遺言書の中に「付言事項(読み方:ふげんじこう)」として、財産の分け方に込めた想いや経緯を書き添えることで、相続人の理解を得やすくなります。単なる分配の指示ではなく、家族へのメッセージとして心情を伝えることで、感情面の対立をやわらげる効果も期待できるでしょう。ただし、遺留分を侵害する内容は、新たな争いを招く恐れもあります。遺言書の作成にあたっては、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることをおすすめします。

相続税のクロスティでは、総財産の洗い出しから遺言書の作成・保管まで、相続税を見据えた遺言書作成をトータルでサポートしています。将来に備えて適切な遺言を残したい方は、ぜひ「遺言作成サポートページ」をご覧ください。

専門家のサポートを受ける

遺産分割のトラブルを防ぎ、円滑に相続手続きを進めるためには、専門家の支援が欠かせません。遺産分割のもめごとは、家族の絆を揺るがしかねない大きな問題です。しかし、事前の準備と専門家の適切なサポートによって、多くのトラブルは回避可能です。

相続税のクロスティでは、生前の相続対策から相続税の申告役所や金融機関への各種手続きまで、相続に関わるあらゆる過程を一貫してサポートしております。相続に関して不安や疑問がある場合は、お気軽にご相談ください

まとめ

遺産分割でトラブルになる背景には、単なる「わがまま」ではなく、人間関係の積み重ねや感情の行き違いなど、さまざまな事情が複雑に絡んでいるケースがほとんどです。特に、不動産や事業承継が絡むケースでは財産の価値が大きくなり、当事者の感情も一層こじれやすくなります。しかし、遺産分割協議の目的は、感情の精算ではなく、公平な遺産の分け方を決めることにあります。お互いに譲り合いながら話し合うことで、相続は「争続」ではなく、「想続」として家族にとって前向きな一歩となるでしょう。

相続税のクロスティでは、これまでの税務・相続を中心としたセミナーのテーマを拡大し、「暮らし」や「未来」といった幅広い内容で皆様に寄り添うサポートを目指しています。安心して納得できる人生設計を実現したい方は、お気軽にセミナーにご参加ください。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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