孫の相続放棄が必要なケースと必要ないケース
今回の内容はvol.311「孫の相続放棄が必要なケースと必要ないケース」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
亡くなった方に多額の借金があった場合、まず考えることは「相続放棄をすること」だと思います。ですが、相続放棄をしたからといって借金がなくなるわけではありません。自身は相続放棄をすれば借金から逃れられるかもしれませんが、もしかすると孫が代わりに借金の返済を迫られることになるのでは?と気になる方もいるでしょう。自分が親の相続を放棄をすることで、他の相続人(孫の立場である子)にどう影響してしまうのか?その影響範囲や手続きについて解説いたします。
孫の相続放棄は必要ないケース
親の相続を放棄した場合、孫である自身の子には相続権は移りません。相続放棄は、財産の一切を引き継がないだけでなく、最初から相続人ではなかったとみなされます。相続人ではない方の子が相続人になることはありません。
孫の相続放棄が必要なケース
孫の立場からみて祖父母の相続が発生したときに、本来相続人になるはずだった親(亡くなった方の子)がすでに亡くなっていた場合、孫は代襲相続人となります。そのため、孫には相続権が生じることになります。このように代襲相続が生じるのは、以下の要件に当てはまった場合です。
✓ 亡くなった方の子が相続発生前に亡くなっている
✓ 亡くなった方の子が相続の欠格または廃除により相続権を失っている
代襲相続によって孫が相続権を引き継ぐケースでは、借金などの負債があってそれらを引き継がないようにするためには、孫の相続放棄の手続きが必要です。
相続放棄の期限
相続放棄の期限は相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内です。申し立ては、管轄の家庭裁判所で行います。万が一、相続財産の内容や負債の全容を把握することができず、判断に迷うなどのやむを得ない理由で期限に間に合わない場合は、「相続放棄期間伸長の申立て」を行います。相続放棄と同じで3ヶ月以内に申し立てを行えば、さらに3ヶ月の手続き期限の猶予がもらえます。何もせずに期限が過ぎてしまうと、負債なども含め全ての財産を引き継がなければいけなくなりますので注意しましょう。
相続放棄をする場合の必要書類
代襲相続で孫が相続放棄する際に必要になる書類は以下の通りです。
● 相続放棄の申述書
● 亡くなった方の生まれから逝去までがつながった戸籍謄本(除籍)一式
● 相続放棄する方の現在の戸籍謄本
● 亡くなった方の住民票除票または戸籍附票
● 亡くなった方の子(被代襲者)が以前死亡で代襲相続になったことがわかる戸籍謄本一式
代襲相続による相続を放棄をする孫が未成年の場合
相続放棄の手続きは未成年者であっても必要です。しかし、未成年者は原則、自らが法律行為を行うことができませんので、相続に関係ない親族や未成年後見人の方が法定代理人として相続放棄の手続きを行います。法定代理人として認められるのは、今回の相続において、孫と利益を相反する関係ではない方に限られます。
自身の親の相続を放棄した孫は、祖父母の相続ができるのか
被代襲者(孫の親)の相続の際に相続放棄したとしても祖父母の相続に影響はしません。相続放棄の効力はその相続だけのものなので、孫は祖父母の財産を代襲して相続することが可能です。
相続放棄が必要な範囲
相続放棄をすると、財産を引き継ぐ権利は第2順位、第3順位へと順番に移動していきます。上述の通り、子が既に亡くなっている場合は代襲相続人である孫の相続放棄が必要です。特に借金がある場合、相続人のうちだれか一人が相続放棄をしても順番に相続する権利が移動してしまうので、借金は次順位の相続人の方が背負うことになってしまい借金がなくなるわけではありません。順番で権利を引き継いだ相続人全員が相続放棄しなければ、放棄しなかった相続人だけが借金をすべて背負うことになってしまいますので注意しましょう。
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最後に
相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったとみなされます。ですので、親に借金がたくさんあったとしても孫に迷惑をかけることはありません。しかし、代襲相続が発生してしまう場合は相続放棄の手続きが必ず必要になってきます。相続放棄の期限は短いので、忘れずに期限内に行いましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
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