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相続マメ知識

相続放棄をしたいが財産をすでに一部使ってしまった場合、相続放棄はできるのか?

今回の内容はvol.290「相続放棄をしたいが財産をすでに一部使ってしまった場合、相続放棄はできるのか?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。


相続放棄をするつもりだったのに、葬儀費用の支払いなどで遺産を一部使ってしまった!この場合、相続放棄することはもうできないのでしょうか?

財産を受け取り使ってしまったら?

相続放棄とは、「財産を何も引き継がない」ということなので、少しでも引き継いだことを認める行為をしてしまうと、相続放棄はできません。また、承認された相続放棄が無効になってしまう可能性もあります。たとえば、どうしてもお金が入用で、亡くなった方のお金を相続人が引き出し使ってしまった場合、その時点で「相続することを承認した」とみなされます。よくあるケースとして、葬儀費用を支払うために引き出して使ってしまう場合がありますが、相続放棄ができなくなる可能性があります。もしすでに相続財産を受け取っているが相続放棄をしたいと考えているのであれば、受け取った財産は使わないようにしましょう。保管しているだけであれば、相続を承認したことにはなりません。一方で、相続財産にあたらない財産であれば、使ってしまっても相続放棄ができます。受け取った財産が相続財産にあたるのかどうかを確認しましょう。

相続放棄をしても受け取れる財産

相続財産にあたらない財産とは、亡くなった方が所有していた財産(所有するべき財産)ではなく、相続によって家族に支払われる財産、もしくは、受取人が指定されている財産のことです。

① 死亡保険金

生命保険の受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に指定されている方の「固有の財産」とみなされるので、相続放棄をしても受け取ることができます。ただし、受取人が亡くなった方に指定されている場合は、亡くなった方の財産になりますので、相続放棄をしたら受け取ることはできません。

② 香典・ご霊前

香典は亡くなった方ではなく、喪主の方に贈られたものとして扱われるので、相続財産ではありません。

③ 仏壇・お墓

仏壇やお墓などは、分割対象となる相続財産には該当せず、承継者に選ばれた方が引き継ぐものとみなされています。仏壇やお墓は相続財産にはあたらないので、仏壇やお墓を継承しても相続放棄はできます。

④ 葬祭費・埋葬料

葬祭費・埋葬料は亡くなった方の相続財産ではありません。葬祭費・埋葬料は亡くなったことにより支給される給付金なので、受け取っていても相続放棄はできます。

⑤ 家族が受取人の死亡退職金

死亡退職金が相続財産にあたるのかどうかは、勤務先の就業規則や、退職金規定を確認する必要があります。規則で死亡退職金の受取人が亡くなった方以外と定められている場合、受取人固有の財産とみなされるので受け取っても相続放棄することができます。

⑥ 遺族年金・未支給年金

遺族年金や未支給年金の受給権は、残された家族に対する「固有の権利」であり、相続財産には含まれません。
ですので、受け取っても相続放棄はできます。

相続放棄をしたら受け取れない財産

相続財産にあたるものは、相続放棄をしたら受け取れません。もし相続放棄をしたのに受け取って使ってしまったら、相続放棄が無効になってしまいますので注意しましょう。

① 亡くなった方の預貯金や不動産など

亡くなった方が所有していた現金、預貯金、不動産、有価証券などの財産は相続財産であるため、相続放棄をすると受け取ることができません。

② 医療保険の給付金

「入院給付金」や「通院給付金」などの医療保険の給付金は、受取人が原則、被保険者と定められていますので、亡くなった方の財産とみなされます。受け取ってしまうと相続放棄はできません。

③ 高額療養費の還付金(亡くなった方が世帯主または被保険者のとき)

亡くなった方が世帯主、もしくは被保険者であった場合、高額療養費の還付金は亡くなった方の財産となります。受け取ってしまうと相続放棄はできません。

④ 払いすぎた税金・健康保険などの還付金

払いすぎた税金や保険料の還付金は、納税した方(亡くなった方)が受け取るべきお金と考えられているので、受け取ってしまうと相続放棄ができなくなります。

⑤ 未払いの給与

受取人の指定がない未払いの給与は、亡くなった方の財産とみなされます。勤務先の就業規則を確認しましょう。

相続放棄したいのに相続財産を受け取ってしまった場合

相続財産を受け取って使ってしまったら相続放棄はできません。もしすでに使ってしまっていた場合、使ってしまった分を戻すことが可能であれば戻しましょう。また、相続放棄をしたにもかかわらず、相続財産を受け取ってしまった場合は絶対に使わず、銀行口座で適切に保管しましょう。使わずに保管しておけば相続を承認したとはみなされません。

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最後に

相続放棄をしたい場合、受け取ってしまった現金など相続財産は使わずに保管しておきましょう。相続放棄しても受け取れる遺産もありますので、どのような遺産があるかあらかじめ確認しておくと安心です。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。

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