事業承継税制とは?メリット・デメリットを解説!
今回の内容はvol.201「事業承継税制とは?メリット・デメリットを解説!」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
事業承継税制とは?
事業承継税制とは、事業承継を受けた後継者が、会社の事業を継続させることを条件に、本来かかる相続税や贈与税を全額免除するという制度です。例えば、会社の創業者である1代目が2代目に対して事業承継を行い、将来2代目が3代目に事業を継承することができれば、本来2代目が払うはずだった相続税もしくは贈与税を免除してもらえます。この制度は、後継者に対して生前贈与で株式を譲渡するか、相続で株式を譲渡するかを選択することができます。売却して株式を譲渡する場合には使うことができないので注意しましょう。また、後継者は親族でなくても大丈夫です。
相続税や贈与税を免除される条件
税金が免除されるのは、後継者に株式を承継させてすぐではありません。その後継者が事業を継続させ、次の後継者に事業を承継できて初めて免除になります。免除になる前までの間、税金の支払いは猶予されている状態です。
事業承継税制の要件
① 経営者が満たすべき要件
先代経営者が満たすべき要件
・ 会社の代表取締役を経験したことがあること(贈与の直前は代表取締役でなくてもOK)
・ 贈与または相続の直前に会社の筆頭株主であったこと
・ 贈与後において代表取締役でないこと(代表取締役でなければ会長や相談役等の役職があってもOK)
後継者が満たすべき要件
・ 贈与を受けるときに代表取締役になっていること
・ 贈与または相続を受けることにより、会社の筆頭株主になること
・ 贈与で事業承継税制を受ける場合は、贈与前に3年間継続してその会社の役員であること
・ 相続発生時に役員であること
② 会社が満たすべき要件
会社は中小企業者に該当する必要があります。不動産を管理するための法人(資産管理会社)に該当する場合は、この制度を受けることができません。
③ 5年間守るべき要件
この制度は、以下のルールをスタートしてから5年間守らなくてはいけません。ルールを守れなかった場合は猶予されていた税金を納める必要があります。
・ 後継者が会社の代表であり続けること
・ 後継者が会社の株式を保有し続けること
・ 会社の雇用の8割を維持すること
このルールの中で特に難しいことは「会社の雇用の8割を維持すること」です。会社の従業員が10人の会社であれば、従業員が7人になると納税猶予は打ち切られてしまいます。ですが、この条件は平成30年に「もし満たせなくても、経営状況の悪化や正当な理由があればよい」という形になりました。
④ 免除になるための要件
免除になるための最後の要件は、「後継者が次の代に事業承継すること」です。これができて初めて相続税や贈与税が免除となります。
事業承継税制のメリット
事業承継税制のメリットは、「最終的に税金を全額免除してくれる可能性がある」というところです。
事業承継税制のデメリット
① 途中でやめると利息が発生する
事業承継税制を使ったが、その後事業を続けていくことが難しくなり廃業することになってしまったら、猶予されていた税金を払わなければいけません。
② M&Aができなくなる
禁止されているというわけではありませんが、M&Aを行うと猶予されていた税金を払わなければいけません。
③ 打ち切り事由に注意しなければならない
事業承継を使った場合、代表取締役の継続、株を手放してはいけないなど、いくつかのルールがあります。それを1つでも犯してしまうと納税猶予が打ち切られてしまいます。
④ 対応できる専門家が少ない
打ち切り事由があるため、税理士の中でも非常に難しい分野ですので、多くの税理士がこの制度に消極的です。相続税のクロスティでは対応していますのでご安心ください。
⑤ 手数料が発生する場合がある
顧問税理士が相続に詳しくないものだと、別で相続に詳しい税理士に依頼しなくてはいけません。そうなると手数料がかさんでしまいます。
関連記事
一つでも当てはまる方は、事業承継対策をお勧めします
事業承継税制とは?適用条件やメリット、デメリットを解説!
相続税申告は税理士の選び方が重要!依頼先を決める際の9つのポイントとは
最後に
事業承継税制は税金を支払わなくてよくなるというとても大きなメリットがある一方で、デメリットも多々ある制度です。ですが、うまく使えば事業を何代も続けていくことができる制度です。気になる方は是非ご相談ください。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。
運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)