生前贈与で現金を手渡ししてもいいの?
今回の内容はvol.200「生前贈与で現金を手渡ししてもいいの?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
1年間で110万円を超える金額を贈与してしまうと、贈与を受けた人は贈与税を支払わなくてはいけません。現金で手渡せば税務署の把握も困難だから贈与税を支払はなくてもいいのでは?という考えはとても危険です。税務署の調査でその事実が発覚してしまうと、場合によっては脱税と捉えられ、ペナルティーが科せられてしまいます。
現金手渡しをオススメしない理由
現金手渡しをオススメしない理由は2つあります。
① 税務署に隠し通すのは難しい
現金を手渡しすれば履歴など記録に残ることなく、ばれないと考える方もいるかもしれませんが、税務署の職員には調査権限があり、生前贈与の事実を把握することが可能です。現金を贈与するにしても、贈与の前に贈与者が口座から現金を引き出すことが考えられます。また、受贈者がその現金を口座に入金した場合にも記録が残ってしまいます。不自然な口座の動きを確認し、様々な調査を行い、最終的に現金での生前贈与の事実を把握します。
② 暦年贈与が認められず、課税される可能性がある
1年間の贈与金額が110万円以下なら贈与税がかからないし、現金手渡しでも問題はないかといえば、そうではありません。場合によっては暦年贈与が認められない可能性があります。例えば贈与税対策のために毎年100万円ずつ、合計500万円贈与したいとします。確かに1年間の贈与金額は110万円を超えていないので、一見大丈夫なように思えますが、毎年100万円を5年にわたって贈与する行為があらかじめ贈与者と約束していたケースなど、「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(一定のまとまった金額を何年もにわたって贈与すること)」であると税務署に判断されてしまった場合は贈与税を払わなくてはいけません。
生前贈与を現金手渡しで行う場合の注意点
上記のようなトラブルを避けるためにはどのように対応すればいいのでしょうか。
「贈与契約書」を作成する
現金手渡しであっても贈与を行う場合には「贈与契約書」を作成することをオススメします。贈与契約書を作成することで、税務署に生前贈与があったことの説明や証明がしやすくなります。贈与契約書には以下の項目を記載しておきましょう。
・ 誰から誰への贈与か
・ 贈与した日付
・ 贈与した金額
・ 贈与の条件は何か
・ 贈与の方法は何か
・ 住所、氏名
・ 押印
など
手渡しで現金を贈与する場合には、領収書を作成し、受け取った現金を口座に全額入金するなどして記録に残るようにしておくとよいでしょう。そうすることで、もし税務調査があったとしても贈与の説明や証明がしやすくなります。また、贈与契約書は贈与がある度に毎年作成するようにしましょう。毎年作成することによって税務署に「定期金給付契約」であると判断されないようにします。ただし、毎年贈与契約書を作成していても、上記にもある通り「5年間にわたり毎年100万円を贈与する」といった契約だった場合は、暦年贈与とはみなされません。「100万円の贈与を5年間連続でした」とは税務署は判断せず、「合計500万円の贈与を5年間にわたって行ってきた」と判断される可能性があります。そうなってしまうと贈与税を支払う必要がありますので、贈与契約書は毎年、贈与の毎に作成するようにしましょう。
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最後に
贈与者の死亡からさかのぼって3年以内にあった贈与に関しては、贈与ではなく相続であるとみなされ相続税の課税対象になります。ですので贈与税の基礎控除は受けられないので注意が必要です。相続税対策として贈与を行う場合は、早いうちから専門家などに相談をし、計画的に行いましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。相続発生後だけではなく、生前のご相談や贈与に関しても、ぜひお気軽にお問合せください。
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