税理士が解説!不動産の法人化メリット・デメリットとは?
今回の内容はvol.191「税理士が解説!不動産の法人化メリット・デメリットとは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
不動産賃貸業を個人で行っている場合、法人化をすることで相続税の節税ができる可能性があります。高額資産の相続には多額の相続税がかかります。法人化し、資産を移した会社の役員に子や配偶者を選任し、役員報酬という形で資産を移転させることで、高い相続税を払わずに資産を実質相続させることができます。また、仮に被相続人の資産をすべて会社に移し、被相続人が株式を100%所持していたなら、相続の対象は会社の株のみになります。非上場株式の株価は必ずしも会社が保有する資産と同等とは限らないので、評価により株価を総資産額よりも低く抑えることができれば、その分相続税を安くすることができます。
相続税対策として法人化する場合のポイント
① 資本金は1,000万円未満
課税売上高が年間1,000万円を超えなければ、法人であっても消費税の納税義務はありません。資本金1,000万円以上の法人を設立すると、課税売上高がいくらであっても初年度から消費税を納税しなくてはなりません。
② 相続人を株主にする
不動産会社を設立する大きな目的は、「財産を分散すること」なので、推定相続人になる方に出資をお願いして株式を保有してもらいましょう。
③ 相続人を役員にする
推定相続人を役員にすることで、家賃収入を役員報酬として移転できます。また、推定相続人全員を役員にすると平等に財産移転ができます。推定相続人を役員ではなく社員扱いにする場合は、勤務実態が必要になってしまいます。
④ 建物を法人所有にする
不動産賃貸で家賃収入を得ているのは主に建物部分なので、建物部分を個人から法人へ売却します。法人に売却する場合、個人へ譲渡代金を支払う必要がありますが、その価額は未償却残高などを用います。そうすることで譲渡益(譲渡価額が取得費より高い場合の利益)の発生による所得税負担を回避することができます。法人に譲渡代金分の資金がない場合は、個人からの長期借入とします。
⑤ 計画的な財産の移転
被相続人の債権の大部分が残ったままだったり、建物の譲渡価額が固定資産税評価額と比べて高額だと節税効果が半減してしまいます。また、被相続人が株式を所有したまま相続が発生してしまうと、その分相続税が増えてしまいます。ですので、綿密な計画を立てる必要があります。
法人化するメリット
相続財産が高額になればなるほど超過累進課税で税率が上がります。法人化することによって、相続の発生までに財産の一部を相続人へ分配し、相続人が相続時に受け取る財産の取得金額が下がれば、本来払う税率よりも低くなり、税金が安くなります。また、相続人へ財産を分配する役員報酬は金銭で支払われることがほとんどなので、相続税の支払いに備えた納税資金の準備にもなります。
法人化するデメリット
財産の額によっては法人からの役員報酬による資産分配により、かえって多くの税金を支払う可能性があります。相続税の計算をするにあたって、まず基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を差し引きます。正味の財産が基礎控除額を下回る場合、相続税は課税されません。ですが、法人化していて資産を役員報酬として分配した場合、役員報酬には所得税が課せられます。相続だったら税金が0円だったのに、法人化したことで所得税分損をしてしまいます。法人化をするにはしっかりとシミュレーションをしなくてはいけません。
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※「不動産の法人化節税®」は、名古屋総合税理士法人の登録商標です。
最後に
相続するものに土地が多く含まれている場合や、現在賃貸経営をされている方は、法人化することで節税できる場合があります。ですが、上記のように法人化することでかえって損をしてしまう可能性もありますので、一度、法人化シミュレーションを行い法人化すべきかどうか専門家とともに検討しましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。不動産の法人化シミュレーションも行っておりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。
運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)