税理士が詳しく解説!相似相続控除とはどんな制度?
今回の内容はvol.181「税理士が詳しく解説!相似相続控除とはどんな制度?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相次相続控除とは
相次相続とは、短期間に相続が重なることを言います。相次相続控除とは、10年以内に相次相続が発生した場合に、相続税の負担が増えてしまうのを軽減する特例です。短期間に続けて相続が発生してしまうと、同じ財産に二重に相続税が課税されることになるため、前回の相続時に課税された相続税の一定部分を今回の相続の相続税から控除する特例が設けられています。この控除は10年以内で経過年数に応じて減額するよう計算しますので、前回の相続から今回の相続までの期間が短いほど控除額が多くなります。
【例】祖母から財産を相続した父が、祖母の死後10年以内に亡くなってしまった。
この場合、父が祖母の相続で課税された相続税の一定部分が、子が父の相続で納付する相族税から控除されます。
相次相続控除を受けられる人
相次相続控除が受けられるのは、以下に当てはまる場合です。
① この控除の適用を受ける人が被相続人の相続人であること。
② 前回の相続開始から今回の相続開始まで10年以内であること。
③ 前回の相続で今回の相続の被相続人が相続財産を取得し、相続税が課税されていること。
この控除の対象者は亡くなった方の相続人であることが要件とされていますので、遺言により財産を受け取っていても相続人でなければこの控除を受けることはできません。
相次相続控除の計算
各相続人の相次相続控除額は以下の計算式で算出します。
相次相続控除額 = A × ( C /( B - A ) ) × ( D / C ) × (( 10 - E ) / 10 )
A:今回の被相続人が前回の相続で取得した財産に課税された相続税額
B:今回の被相続人が前回の相続により取得した財産の価額(純資産価額)
C:今回の相続で相続人や受遺者の全員が取得した財産の価額(純資産価額)
D:相次相続控除の適用を受ける相続人が相続した財産の価額(純資産価額)
E:前回の相続から今回の相続までの期間(1年未満切り捨て)
※純資産価格とは、取得した相続財産や相続時精算課税を適用した財産の価格から、借金などマイナスの財産および葬式費用を差し引いた金額です。
【例】祖母が2018年3月23日に亡くなり、その際に相続税を納付していた父が2020年11月17日に亡くなった場合、下記の条件で長男が相続税を納付する際の相次相続控除の計算
A:祖母の相続の際に父が課税された相続税額 1,000万円
B:祖母から父が相続した財産の価額 1億1,000万円
C:父の相続財産を引き継いだ全員が取得した財産の価額 8,000万円
D:長男が相続した財産の価額 6,000万円
E:経過年数 2年7ヶ月 → 2年
長男の相次相続控除額
= 1,000万円 × ( 8,000万円 / ( 1億1,000万円 - 1,000万円 ))×( 6,000万円 / 8,000万円 )×(( 10 - 2 )/ 10 )
= 480万円
相次相続控除の注意事項
① 相続人でない場合に適用できない
相続放棄をした人や、「欠格」「廃除」などで相続権を失った人が遺贈により財産を取得した場合でも、この控除は適用できません。
② 前回の相続で相続税が課税されていない場合は適用できない
配偶者控除等で相続税が課税されていない場合は適用できません。
③ 兄弟間の相続でも適用できる
父から子の世代間の相続でなくても、要件さえ満たしていれば兄弟姉妹間の相続でも適用できます。
④ 相続税の申告後でも適用できる
相続税の当初の申告で相次相続控除の適用を忘れてしまっていても、申告期限から5年以内であれば更正の請求により適用を受けることができます。
⑤ 未分割でも適用できる
相続税の申告期限までに遺産分割が決まらない場合は、法定相続分で分割したと仮定して相続税の申告をすることになりますが、この場合でも相次相続控除を受けることができます。
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最後に
短い期間の間に連続して相続が発生してしまうと、かなり重い税負担になってしまいます。ですので、要件をしっかり確認し、忘れずに相次相続控除の適用を受けましょう。相続は税理士にとっても特殊な分野の一つです。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続税申告、相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携しており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。どんなことでも、おひとりで悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
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