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家族が集まる年末年始に考える相続の話し合い|話題の切り出し方と注意点

年末年始は、久しぶりに家族が顔をそろえ、食事をしながら近況や将来の話をする機会が増える時期です。仕事や健康、これから先の暮らし方など、普段は深く話さない話題も自然に出やすくなります。

一方で、「相続」という言葉が頭に浮かんでも、「縁起が悪いのではないか」と、話題に出すことをためらってしまう人は少なくありません。その結果、気になってはいても何も話さないまま、時間だけが過ぎてしまうのが実情です。しかし、相続は特別な家庭だけの話ではなく、どの家族にも必ず訪れる出来事です。だからこそ、あらたまった場で無理に話そうとするのではなく、家族が自然に集まり、将来の話が出やすいタイミングをきっかけに、少しずつ共有していくことが大切です。

本記事では、年末年始の家族団らんの中で相続の話題をどう切り出し、何を共有しておくべきかをわかりやすく解説します。話し合いを相続準備につなげる際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次
なぜ相続は家族で話し合っておく必要があるのか
年末年始に相続の話題を切り出すコツ
家族で話し合う際に確認しておきたいポイント
相続の話し合いを家族だけで進める注意点
年末年始の話し合いを、相続準備の第一歩につなげるには
まとめ

なぜ相続は家族で話し合っておく必要があるのか

相続というと、遺言書の作成や相続税対策といった「制度面」の準備に目が向きがちです。しかし、実際の相続では「何をどう分けるか」以前に、「どのような考えで財産を残したのか」が共有されているかどうかが、話し合いの進めやすさを左右します。生前の話し合いによって、遺産分割に入る前に判断の前提や価値観を共有でき、相続発生後の協議も冷静に進めやすくなるでしょう。

相続の話し合いは「争族を防ぐ準備」

相続トラブルの多くは、財産額の多寡ではなく、情報不足や認識のズレをきっかけに生じています。特に不動産や非上場株式など、現金化が難しい財産を含む場合は、評価額や分割方法を巡って意見が割れやすくなります。

司法統計によれば、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件は令和6年度で15,379件にのぼり、調停が成立した事件の多くは遺産総額5,000万円以下に集中しています。つまり、遺産分割をめぐる争いは、一般家庭でも現実的に起こり得る問題なのです。

例えば、親が「自宅は配偶者が住み続けたい」「会社に関わる子に株式を集約したい」と考えていても、家族に伝わっていなければ、相続発生後の協議に迷いや不満が生じやすくなります。日頃から相続について共通理解を深めておくことが、トラブル回避の第一歩となるでしょう。

出典:裁判所|司法統計年報(外部リンク)

年末年始に相続の話題を切り出すコツ

相続の話は、内容そのものよりも「切り出し方」で受け取られ方が大きく変わります。家族が集まりやすい年末年始だからこそ、場の雰囲気に配慮した以下の点を意識することが大切です。

話しやすいタイミングとシーンを選ぶ
話し方の工夫で安心感を与える
初回の話し合いで結論まで決めようとしない

それぞれを詳しく見ていきましょう。

話しやすいタイミングとシーンを選ぶ

相続の話は、改まった場で切り出すほど、身構えられてしまうものです。むしろ効果的なのは、日常会話の延長線上にある、ごく自然なタイミングです。食後の雑談や近況報告、昔話に花が咲いた瞬間など、「これから」「今後」といった言葉が会話に混じるタイミングこそ、将来の話題へつなげやすくなります。あらかじめ話題を決め込むのではなく、流れに乗せて言葉を添える意識が、会話を穏やかに進めるポイントです。

話し方の工夫で安心感を与える

相続の話題は、内容そのものよりも「どう受け取られるか」で印象が大きく左右します。

親の立場からすると、死や財産に関わる話を子から切り出されること自体に、身構えてしまう場面も少なくありません。そのため、最初から結論に踏み込むのではなく、相手がどう受け止めるかを意識しながら話を進めることが大切です。

例えば、「相続の話をしなければならない」という言い方ではなく、「これから先のことを、一緒に考えられたら安心だと思って」と伝えるだけで、会話の温度は大きく変わります。また、「決めてほしい」「確認したい」といった表現を多用すると、無意識のうちに相手を追い込んでしまいがちです。「どう考えているかを聞かせてほしい」「今日は方向性を聞ければ十分だよ」と余白を残すことで、相手は自分のペースで言葉を選べるようになるでしょう。

初回の話し合いで結論まで決めようとしない

相続は、一度の家族会議で整理できるほど単純なテーマではありません。むしろ、最初から結論を求めてしまうと、情報や感情が絡み合い、話が重くなりがちです。そのため、最初の話し合いは「何が気になっているのか」「どこに不安があるのか」を共有する場と位置づけるだけでも十分です。次の機会に意見をすり合わせ、その先で具体的な対応を検討する。こうした段階を踏む前提で進めることで、無理なく話を続けられます。

家族で話し合う際に確認しておきたいポイント

相続の話し合いでは、感情面に配慮しつつも、以下のような事実関係を一つずつ整理していくことが重要です。

相続財産の種類と全体像
重要書類やデジタル資産の保管場所
遺言書やエンディングノートの有無
介護や葬儀に関する希望

それぞれを詳しく見ていきましょう。

2025年中に相続対策を検討している方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】年末にできる相続対策まとめ|今年のうちに見直したい5つのポイント

相続財産の種類と全体像

最初に確認しておきたいのは、どのような財産がどれくらいあるのかという全体像です。

相続財産とは、亡くなった時点で保有していたすべての権利や義務を指します。現金や預貯金、不動産といった形ある財産だけでなく、借入金や損害賠償請求権、知的財産権など形のない権利や債務も忘れずに確認しましょう。特にマイナスの財産は表面に出にくいため、元気なうちに本人から直接確認しておくことが、将来のトラブル防止につながります。

また、相続開始前7年以内の贈与や特別受益と認められる贈与も相続財産に含めて計算されます。いわゆる7年ルールは段階的に引き上げられており、2025年現在は従来通り3年が適用されます。贈与と相続の区分を正しく理解し、整理しておくことが大切です。

重要書類やデジタル資産の保管場所

家族が相続手続きで困らないように、重要書類とデジタル資産の保管場所を共有しておきましょう。

まず、相続が発生すると、預金通帳や保険証券、不動産の権利証や登記簿、固定資産税の通知書など、多くの書類が必要になります。そのため、重要書類の場所が整理されていないと、手続きのたびに家族が探す手間や混乱が生じ、心理的な負担も大きくなります。

さらに、現代ではパソコンやスマートフォンで管理される資産も増えているため、デジタル遺品の確認も必要です。そもそもデジタル遺産は、大きく以下の2つに分けられます。

資産自体がデータで存在するもの:音楽・画像・動画・仮想通貨 など
財産を管理するためにデータ化されているもの:ネットバンキング・ネット証券 など

デジタル遺品は物理的な書類や現物と違い、存在を知らなければ見落としてしまうリスクがあります。特に通帳レスのネットバンキングやネット証券は、ログイン情報がないと残高を確認できません。もし家族が知らないまま相続手続きを進めると、遺産分割の対象から抜け落ちや、相続税の申告漏れが起こる可能性があります。そのため、年末年始の集まりで「どこに何があるか」「誰が管理しているか」を本人から直接確認し、家族で共有しておくことが大切です。

遺言書やエンディングノートの有無

遺言書やエンディングノートは、相続や人生の最終的な希望を家族に伝える重要な手段です。

遺言書は法的効力を持ち、相続で実現したい内容を確実に反映できます。一方、エンディングノートに法的拘束力はありませんが、日常の希望や思いを伝えることで、遺族が故人の意思を尊重した判断をしやすくなります。内容を詳しく話さなくても、作成されているかどうかや保管場所を確認しておくだけで、必要なときに手続きをスムーズに進められるでしょう。

介護や葬儀に関する希望

介護や葬儀に関する話題は、「亡くなった後の段取り」を決めるためだけではありません。これから先、どのような生活を送り、どんな場面で家族に判断を委ねるのかを整理する意味も持っています。

葬儀については、形式や規模、遺影に使ってほしい写真、お墓の考え方、特定の葬儀社や事前契約の有無など、人によって希望が大きく異なります。近年は「身内だけで静かに見送ってほしい」「形式にこだわらなくてよい」と考える人も増えているため、従来の慣習を前提にせず、一度立ち止まって話してみると良いでしょう。

あわせて、終末期の医療や介護についても、方向性だけでも共有しておくと家族の迷いを減らせます。例えば、将来、在宅での生活を続けたいのか、施設の利用も視野に入れているのか。すべてを決め切る必要はありませんが、「考えていることがある」という事実が伝わるだけでも、いざというときの判断は大きく変わります。言葉にして共有する時間そのものが、家族にとっての備えになると言えるでしょう。

相続の話し合いを家族だけで進める注意点

ここでは、年末年始に相続の話し合いをする際に気をつけたいポイントを紹介します。

感情論に引きずられやすい点を前提にする

相続の話し合いは、財産や制度の整理というよりも、家族それぞれの立場や感情が色濃く反映される場です。例えば、親と長年同居してきた人と、遠方で暮らしてきた人とでは、家族への貢献や負担に対する捉え方が大きく異なります。また、介護を担ってきた立場からは、「自分の負担がどう評価されるのか」という思いが自然と強くなりがちです。

こうした背景の違いがある中で、いきなり財産の分け方や遺言の有無に踏み込むと、「自分の立場が軽く扱われた」「思いを理解してもらえていない」といった感情が先に立ち、話し合いが止まってしまうケースも少なくありません。

年末年始の話し合いで意識したいのは、分け方や判断を決めるのではなく、現状を整理し、次に何を確認すべきかを明らかにすることです。話し合いのゴールを「結論」ではなく「次の行動」に置くことで、無理なく話を前に進められ、家族間の温度差も調整しやすくなります。

情報の偏りで不信感を生まないようにする

年末年始の話し合いでは、誰か一人が判断や情報を抱え込むのではなく、確認できた事実や親の意向を、できる範囲で家族全体に共有していくことが大切です。限られた時間だからこそ、「何が分かっていて、何がまだ分かっていないのか」をそろえておく意識が、後の話し合いを左右します。

例えば、同居している子だけが財産の状況や親の考えを把握しており、別に暮らす兄弟姉妹は詳しい話を聞かされていない、というケースは珍しくありません。その場では穏やかに進んでいても、後になって「そんな話は初めて聞いた」「なぜもっと早く共有してくれなかったのか」と疑念や不満が一気に表面化する可能性もあります。

話した内容や今後の確認事項を簡単にメモとして残しておくだけでも、認識のズレは防ぎやすくなります。全員が同じ前提を共有していれば、年末年始の話し合いを「その場限り」で終わらせず、次の行動へつなげやすくなるでしょう。

年末年始の話し合いを、相続準備の第一歩につなげるには

年末年始の話し合いは、「すべてを決め切る場」ではなく、相続について考え始めるきっかけと捉えることが大切です。ただ、将来の話を漠然と交わすだけでは、相続準備は前に進みません。

そこで意識したいのが、話題を判断や結論ではなく、事実の確認に絞ることです。例えば、財産や負債の大まかな範囲、重要書類や契約情報の保管場所などに絞ると、感情的な衝突を避けながら整理を進めやすくなります。あわせて、「誰が」「何を」「いつまでに」確認するのかを整理しておくだけでも、次につながる動きが生まれます。

なお、整理を踏まえても、財産評価や税金、法的な判断が必要になる場面は避けられません。家族だけで結論を急がず、早い段階で税理士に相談することで、家族の意向を尊重しながら、現実的で無理のない相続準備を進めやすくなるでしょう。

相続税のクロスティは、社内在籍の司法書士をはじめとする専門家が連携し、一人ひとりに寄り添ったサポートを提供します。生前対策や家族での話し合いの進め方に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

相続の話し合いは、人生の終盤を見据えた準備であると同時に、これからの暮らしや家族との向き合い方を考える機会でもあります。特に、年末年始や連休など、家族が自然に集まりやすい節目は、相続について言葉を交わしやすいタイミングです。家族の負担を減らし、自分自身が納得して生きていくためにも、まずは無理のない一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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運営:名古屋総合税理士法人
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監修者:細江 貴之

名古屋総合税理士法人 代表税理士 / 行政書士 / 宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

監修者プロフィール:
相続税に関するセミナー講師を年間100回程度務めるほか、大手信託銀行・不動産管理会社等の税務顧問や、日経新聞社講師、南山大学非常勤講師を務めている。
現在代表を務める名古屋総合税理士法人は、資産家の生前節税対策・法人化節税を得意とし、累計 1,000 件を超える名古屋最大級の相続税申告実績を誇り、相続税相談についての面談数は年間 500 件を超えるほか、数多くの不動産オーナーの顧問税理士を務めている。
【主な活動実績】
・著書「知識ゼロからの相続の教科書」は相続税/贈与税カテゴリーにて、出版週で第1位を獲得
・プロフェッショナルな会計ファームに授与される「Best Professional Firm」を3年連続で受賞
・書籍「相続に強い頼れる士業・専門家50選」に選出
・南山大学の非常勤講師


本記事のよくある質問

Q. なぜ年末年始に家族で相続の話し合いをする必要があるのですか?
A. 相続トラブルの多くは、財産の額に関わらず情報不足や認識のズレで起こるためです。家族が集まる機会に「親の想い」や「財産の全体像」を共有しておくことで、将来の争族(そうぞく)を防ぎ、手続きをスムーズにする効果があります。

Q. 相続の話題を角が立たずに切り出すコツはありますか?
A. 改まった場ではなく、食後の雑談など自然な流れで切り出すのがコツです。「これから先のことを一緒に考えたい」と相談ベースで話し、初回から結論を急がず、相手の安心感を優先する姿勢が重要です。

Q. 家族での話し合いで確認しておくべき項目は何ですか?
A. 主に「相続財産の種類と全体像(負債含む)」「重要書類やデジタル資産の保管場所」「遺言書・エンディングノートの有無」「介護や葬儀の希望」の4点を中心に、事実関係を整理・共有しましょう。

Q. 相続における「デジタル遺産」の整理で注意すべき点は?
A. ネット銀行やネット証券など、通帳がなくログイン情報が必要な資産は、家族が存在に気づかないリスクがあります。相続漏れや手続きの遅れを防ぐため、サービス名やID・パスワードの管理方法を本人から直接確認しておく必要があります。

Q. 家族だけで相続の話し合いをする際に気をつけることは?
A. 相続は感情論になりやすいため、過去の経緯や立場の違いに配慮し、「結論」ではなく「現状確認」をゴールにすることです。また、一部の親族だけで情報を抱え込まず、メモに残して全員で共有することで不信感を防げます。

Q. 話し合いの後、具体的な相続対策に進むための第一歩は何ですか?
A. まずは「誰が・何を・いつまでに確認するか」を決め、財産や書類の場所などの事実確認を進めます。その上で、評価や法的な判断が必要な段階になったら、早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。


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