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後妻業と遺言・相続トラブルの実態とは|相続探偵が暴く真実

相続を巡るトラブルは、誰にでも起こり得る身近な問題です。本来、相続のルールは民法で定められており、誰がどれくらいの遺産を受け取るのかも明確に決まっています。特に配偶者は、相続において非常に強い権利を持ち、法律でしっかりと守られています。その権利の強さゆえに、配偶者を亡くした資産家が後妻(後夫)を迎えた際、財産を狙われるリスクが高まることもあります。近年、離婚や再婚によって家族のかたちが多様化し、親族関係が複雑になるケースが増えています。そのため、望む形で資産を引き継ぐためには、早い段階からしっかりと対策を講じることが重要です。

本記事では、後妻業が引き起こす遺言・相続トラブルの実態や、相続欠格制度などについて分かりやすく解説します。遺留分についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次
ドラマ「相続探偵」第2話から学ぶ遺言・相続トラブル
そもそも後妻業とは
公正証書遺言があった場合、前妻の子の遺留分はいくら?
公正証書遺言の無効主張は難しい
まとめ

ドラマ「相続探偵」第2話から学ぶ遺言・相続トラブル

「相続探偵」第2話では、資産家が突然亡くなり、「全財産10億円を後妻に相続させる」という遺言書が発見されました。しかし、前妻の娘は「後妻が父を殺したのではないか」と疑い、相続探偵・灰絵七生(赤楚衛二氏)に調査を依頼します。筆跡鑑定の結果、遺言書は本人の筆跡であると証明されましたが、調査が進むにつれ、後妻には過去に複数回の結婚・死別歴があり、そのたびに多額の保険金を受け取っていたことが判明します。

ここで注目すべきポイントは、以下の3つです。

離婚した妻や子の相続権
筆跡模倣における遺言書偽造の真偽
相続欠格に該当

それぞれを詳しく見ていきましょう。

離婚した妻や子の相続権

離婚すれば夫婦の関係は法律上解消され、元配偶者には一切の相続権がなくなります。つまり、元夫や元妻が亡くなっても、相続人にはなれず財産を受け取れません。しかし、離婚しても親子関係は変わりません。子は父母それぞれの法定相続人であり、どちらの親が亡くなった場合でも相続する権利を持ちます。親権の有無や同居の状況は関係なく、たとえ何十年も疎遠だったとしても、法律上の相続権は変わりません。例えば、亡くなった方が再婚して後妻がいた場合、遺言書がなければ法律の規定に従い、財産は後妻と前妻の子がそれぞれ2分の1ずつ相続します。

法的な親子関係について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】令和6年民法改正、離婚300日問題における相続税への影響

筆跡模倣における遺言書偽造の真偽

遺言書を偽造すれば、相続欠格事由に該当するため、その瞬間に相続権は失われ、一切の財産を受け取れなくなります。それでも、一部の人間は巧妙な手口で筆跡を模倣し、遺言を自分に有利に書き換えようとします。

ドラマ「相続探偵」では、後妻が交換日記を通じて亡くなった方の筆跡を完全にコピーし、遺言書を偽造するという衝撃的な手口が描かれました。ただし、たとえ見た目がそっくりでも、専門家による筆跡鑑定で偽造は見破られることが多く、過去の手紙やメモと比較すれば、わずかな違いが浮き彫りになります。

もし故意に筆跡を模倣し、遺言内容を自分に有利なものに書き換えた場合、民法第891条第5号(遺言書の偽造・変造)により、「相続欠格事由」に該当します。たとえ偽造が成功したかのように見えても、発覚すれば相続権の剥奪や刑事罰という重い代償を払うことになるでしょう。

相続欠格事由に該当

相続欠格とは、亡くなった方や他の相続人に対して不正行為を行った者が、自動的に相続権を失う制度です。民法第891条には、相続欠格事由として以下の5つの行為が挙げられています。

1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

これらの行為を行った者は、単に相続権を失うだけでなく、遺贈を受ける資格もなくなります。

引用:民法第891条

そもそも後妻業とは

後妻業とは、高齢の資産家男性に近づき、結婚や内縁関係を利用して遺産を狙う行為を指します。表向きは「献身的なパートナー」として振る舞いながら、遺産を手に入れることを目的に巧みに関係を築くのが特徴です。特に、妻を亡くして孤独を抱えている後期高齢者の男性が狙われやすく、家族との関係が希薄な場合は、より標的にされやすい傾向があります。

なお、もともと「後妻」という言葉自体には否定的な意味はありません。しかし、2014年に発表された小説『後妻業』が映画やドラマ化されたことで、「後妻業=財産目当ての結婚」というイメージが定着したように思います。

後妻業は本当にいるのか

後妻業は、ドラマや映画のような衝撃的な事件だけではなく、実際に存在する社会的な問題です。その代表例が「関西青酸連続死事件」です。犯人である筧千佐子氏は結婚相談所で知り合った男性と交際し、次々に結婚。生前に公正証書遺言を作成させ、自分に有利な形で財産を相続できるよう仕組みを整えていました。そうやって彼女が男性たちから得た金額は、トータルで8億から10億とも言われています。

この問題の背後には、現代の核家族化と親族間のつながりの希薄化があります。かつては、家族同士の絆や支え合いが強かったものの、今では個々の生活がバラバラになり、親との交流が少ない家庭が増えています。この社会的な変化が、後妻業の女性たちがターゲットとなる高齢者を見つけやすくしているのです。

特に、後妻業の女性に心を奪われている状態では、子たちの意見を無視して遺言を残すケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためにも、周囲の家族や地域社会が定期的に関わりを持ち、相続・贈与について事前に親子間で話し合うことが重要です。

公正証書遺言があった場合、前妻の子の遺留分はいくら?

公正証書遺言があれば、遺言書に従って遺産を分けるため、基本的に遺産分割協議は不要です。つまり、遺言で「後妻に全ての遺産を相続させる」と記載されていれば、遺産を受け取る権利が前妻の子に直接伝わることはありません。ただし、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認の手続きが必要となるため、前妻の子に通知が行くことになります。

一方、公正証書遺言では家庭裁判所で検認手続きは不要なため、前妻の子に通知が行くこともなく、後妻から連絡する必要もありません。しかし、前妻の子は遺留分を有しているため、遺言書によって遺留分が侵害されていれば、遺留分侵害額請求を通じて、遺産の一定割合を請求できます。

法律上、通知義務はありませんが、もし遺留分の請求権を行使できなかった場合、損害賠償責任を負う可能性もあります。最終的に損害賠償が発生するかどうかは別としても、通知しなかったことが原因で相続人同士の関係が悪化し、トラブルに発展するリスクが高まります。リスクを避けるためには、たとえ形式的であっても、遺言の内容をあらかじめ通知しておくと良いでしょう。

遺留分とは

遺留分とは、亡くなった人の兄弟姉妹を除く法定相続人に最低限保障される相続財産の取り分です。たとえ遺言で「全財産を特定の人に渡す」と指定されていたとしても、配偶者や子は遺留分を請求することで、一定の財産を確保できます。

遺留分が認められる相続人と遺留分割合

遺留分が認められる相続人は、下表の通りです。

一方、兄弟姉妹や甥姪に遺留分は認められていません。

遺留分の時効

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求権は、相続が開始してから10年以内に行使する必要があります。もし侵害があったことを知ってから1年以内に請求しないと、遺留分を請求する権利が消滅してしまいます。

また、遺留分侵害額請求を行使した後、金銭を請求する権利は別の権利として新たに消滅時効が進行します。金銭請求権は5年間の時効期間が適用されます。つまり、遺留分侵害額請求を行っても、その後5年間何もしなければ、金銭を取り戻せなくなります。遺留分請求後、早急に金銭請求を行うことが重要です。

遺留分侵害請求方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】両親が離婚した子どもの相続権は?遺産分割方法や相続割合を解説

公正証書遺言の無効主張は難しい

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思をしっかりと確認し、法的な要件に基づいて作成されるため、通常、後から無効とされることはありません。しかし、以下のケースではその有効性に疑問が生じ、相続人が「遺言無効確認訴訟」を申し立てる可能性も考えられます。

遺言者に遺言能力がなかった
証人に欠格事由があった
口授要件が満たされていなかった など

それでも、公正証書遺言の有効性が争われることは珍しく、無効にするハードルは高いのが現実です。そのため、公正証書遺言が作成されると、前妻の子などの相続人は遺留分を請求するしかなくなります。遺言者と相続人がそれぞれの権利と義務を理解し、適切に調整することで、スムーズな遺産分割が実現できるでしょう。

ただし、公正証書遺言の作成や遺留分の計算には専門的な知識が必要です。遺言の有効性を確保するためにも、税理士や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。

なお、相続税のクロスティでは、遺言作成から相続税申告までトータルでサポートしております。相続に関して不安や疑問がある方は、お気軽にご相談ください

遺言の有無が決める、家族の未来

遺言の有無が家族の未来に与える影響は計り知れません。遺言があれば、遺言者の意思が明確に示されるため、相続時の混乱や対立を避けられます。一方、遺言がない場合、家族間での意見の相違が感情的な対立を引き起こし、相続手続きが難航する可能性があります。このような事態を防ぐためには、事前に親子間でしっかりと話し合い、遺言に反映させることが重要です。家族とのコミュニケーションを大切にし、それぞれの意見や希望を尊重しながら、遺言の内容を慎重に決定することで、円滑で公平な相続が実現できるでしょう。

まとめ

相続は経済的な利益を伴い、時には親族間で深刻な争いに発展することもあります。しかし、民法第891条に基づき、不正な手段で遺産を得ようとすると、法的に相続権を失うリスクが生じます。相続欠格制度は、相続に関わる全ての人が公正なルールを守るための重要な制度です。相続に関わる人は、相続欠格制度の仕組みをしっかり理解し、適切に対処することが大切です。

最後に

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