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株の相続税はいくら?上場・非上場別に評価方法や手続き、節税を解説

相続税は、亡くなった方から受け継いだ株式を含む全ての財産が、一定の金額を超えた場合に課税されます。しかし、株式の評価は市場の動きによって変わるため、どの時点の価格を基準にするかによって、相続税額が大きく異なります。そのため、株式を含む相続財産を持つ方は、「どれくらいの税金がかかるのか」「どのように節税できるのか」といった不安や疑問を感じているのではないでしょうか。本記事では、株式の相続税がどのように計算されるのか、また、税負担を軽減するための節税対策について詳しく解説します。事前に知識を持っておくことで、相続手続きや税金に関する対応をスムーズに進められるでしょう。

目次
株の相続税はいくらかかる
上場株式の相続税評価方法
非上場株式の相続税評価方法
株を相続する際の流れ
株式相続で活用できる節税対策
まとめ

株の相続税はいくらかかる

株式の相続において、税金の額を大きく左右するのは、相続時に用いる株式の評価額です。株式の価格は常に変動するため、評価額としてどの時点の価格を使うかによって、相続税額も変わります。そのため、税金を抑えるには、できるだけ低い評価額を使って計算することが重要です。

株式の相続税評価額は、以下の手順で計算します。

1. 1株あたりの評価額を算出
2. 保有株数をかけて全体の評価額を算出
3. 株式を含めたすべての相続財産と合算して総額を算出
4. 基礎控除などを差し引いて課税対象額を算出
5. 課税対象額に規定の税率をかけて相続税を算出

ただし、評価額の計算方法は、上場と非上場で異なります。なかでも、株式は相続財産の中でも高額になりやすく、確認漏れがあると申告漏れや追徴課税のリスクが高まります。ペナルティを避けるためにも、正しい結果を導き出すことが大切です。

相続税について振り返りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】相続税はいくらから申告する?無税となる金額は?

上場株式の相続税評価方法

上場株式の相続税評価額を算出する際は、相続発生日を基準に、以下の4つの価格から選びます。

相続発生日の終値
相続発生月の終値平均
相続発生月の前月の終値平均
相続発生月の前々月の終値平均

選択肢が用意されているのは、株価が突然大きく変動する可能性があるためです。そのため、評価額を算出する際には、過去の株価の傾向や景気、業績の変動を考慮して、4つの基準価格の中で最も低い金額を選んでも良いとされています。複数の基準価格から選べることで、過度な税負担を避けられるでしょう。

市場が開いていない場合

株式市場は土日や祝日に開いていません。相続発生日が土日や祝日に当たる場合、相続が発生した日に最も近い終値が基準となります。例えば、亡くなった日が土曜日の場合は前日の金曜日の終値を、日曜日の場合は翌月曜日の終値を採用します。もし、相続発生日が連休の中日だった場合は、連休前の最終取引日と連休後、最初の取引日の終値平均を相続発生日の株価として扱います。

非上場株式の相続税評価方法

非上場株式の相続税を計算する際は、株式を発行している企業の売上や資産をもとに、以下の2つの方法で評価します。

原則的評価方式
配当還元方式

ただし、非上場株式の評価方法は専門的な知識が必要であり、自分で計算するのは非常に困難です。専門知識を持った税理士や弁護士に相談するのが賢明でしょう。

税理士選びで失敗しないためのポイントを詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご確認ください。
【関連記事】相続税申告は税理士の選び方が重要!依頼先を決める際の9つのポイントとは

原則的評価方式

原則的評価方式では、企業規模に応じて異なる評価方法を用います。企業規模は、以下の3つに分類され、それぞれに適した評価方式が採用されます。

大会社:類似業種比準方式
中会社:2つの方法を組み合わせた方式
小会社:純資産価額方式

総資産、従業員数、売上高などの要素をもとに、企業規模を判断し、適切な評価方法を選択することが重要です。

類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、同じ業種で上場している企業の株価や業績を基準にして評価する方法です。以下の要素を多角的に比較して、非上場企業の株式価値を決定します。

配当
利益
純資産 など

なお、類似業種比準価額を算出するには、単なる計算だけでなく、企業規模や資産額を正確に判断するための高度な専門知識が求められます。

2つの方法を組み合わせた方式

中会社の非上場株式を評価する際には、類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせた「併用方式」が用いられます。併用方式では、企業規模に応じて「Lの割合」と呼ばれる比率を用いて評価額を決定します。

Lの割合とは、類似業種比準方式の影響をどれだけ反映させるかを示す比率です。企業規模が大きいほど、割合が高くなります。例えば、大会社の場合、類似業種比準方式が100%適用され、中会社では75%、小会社では60%と割合が低くなります。各評価方法の適用割合を調整し、より正確な評価額を算出しましょう。

純資産価額方式

純資産価額方式は、企業の貸借対照表に記載された純資産(資産から負債を引いたもの)をもとに、1株あたりの価値を計算する方法です。使われる純資産額は単純な帳簿上の数字ではなく、実際に企業が解散した場合に残る価値を見積もるために、資産や負債を時価に換算して評価します。そのため、資産を現金から不動産に変えることで評価額の調整が可能です。ただし、法人が保有する非上場株式に関しては、算出された評価益に対して、法人税の控除(37%)が適用されない点に注意が必要です。また、株主が同族でない場合には、純資産価額方式ではなく、配当還元方式が使われます。

配当還元方式

配当還元方式は、非上場株式の評価において同族株主以外が保有する非上場株式に適用される方法です。企業規模にかかわらず、株式が配当目的で保有されていることに基づいて評価します。評価額の計算は、過去1年間の配当金額をもとにし、一定の利率(通常10%)で還元して求めます。仮に、資本金額が不明な場合は、株式を発行した会社に問い合わせて確認する必要があります。

株を相続する際の流れ

株を相続する手順は、以下のとおりです。

1. 株式の確認
2. 上場株式の残高証明書の取得
3. 遺産分割協議
4. 株式の名義変更手続き

注意点を押さえながら、慎重に進めていきましょう。

株式の確認

まずは、亡くなった方が利用していた証券会社の口座や株式の保有状況を確認しましょう。株式の保有状況は、取引報告書や配当金の振込履歴などの郵送物などで把握できます。仮に、利用している証券会社がわからない場合は、郵送物である取引残高報告書や年間取引報告書などから推測します。それでも特定できない場合は「証券保管振替機構」を利用して調査を依頼することが有効です。また、複数の証券会社やネット証券を利用していた場合、相続漏れのリスクが高まります。そのため、すべての口座を把握し、取引報告書や配当金の入金履歴などを確認して漏れがないようにすることが重要です。なお、平成21年1月の株券電子化によって、株式は証券会社などで電子的に管理されています。しかし、それ以前の紙の株券が自宅や金融機関の貸金庫に保管されている場合もあるため、注意が必要です。

上場株式の残高証明書の取得

次に、証券会社に連絡し、亡くなった方が保有する株式の銘柄名、数量、時価が記載された残高証明書を発行してもらいましょう。残高証明書は、亡くなった時点での金融資産を正確に把握できるだけでなく、遺産分割協議や相続税の申告時に必要な書類です。多くの証券会社は、相続手続きキットを提供しています。相続の連絡後に手続き案内が送られてくるため、指示に従って書類を用意しましょう。ただし、証券会社の残高証明書には単元未満株(端株)が含まれていない場合があります。単元未満株があるかは、以下の方法で確認しましょう。

配当金計算書
株主名義人
証券保管振替機構

端株は少額であることが多いものの、相続手続きが手間と感じられ放置されがちです。しかし、手続きをしないままでいると、大切な財産を失う恐れがあります。面倒だと感じても、しっかりと手続きを行うことが重要です。

遺産分割協議

相続人全員で、誰がどの株式を相続するかを決定します。その際、未受領の配当金の受け取り方法についても、あらかじめ決めておくと良いでしょう。なお、亡くなった方が保有する株式のなかでも非上場株式は、後継者が相続するのが一般的です。しかし、後継者が株式をすべて取得する場合、評価額が相続人間の分配に大きく影響するため、トラブルの原因となることがあります。少数株主であっても、相続税や遺産分割協議に影響を与えるため、評価額の算定については税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

株式の名義変更

名義変更手続きは、相続した株式を正式に自分のものとして所有するために欠かせないステップです。相続する人が決まったら、速やかに名義変更手続きを行いましょう。証券会社の証券口座は、銀行口座とは異なり、名義を直接相続人に変更できません。そのため、相続人が証券口座を持っていない場合には、新たに口座を開設する必要があります。名義変更と合わせて、新しい口座開設に必要な書類についても事前に証券会社に確認しておくと、手続きがスムーズに進むでしょう。上場株式の場合は、相続人の証券口座を開設後、亡くなった方の証券口座から株式を移管し、「株券名義書換依頼書」を提出します。一方、非上場株式の場合は、株式を発行している会社に連絡して、必要な書類と手順を確認し、名義変更を行います。ただし、非上場会社の株式については、売却に制限がかけられているケースも少なくありません。株式の現金化を考えている場合は、売却の可否や株式の買い取りについて確認する必要があります。

株式相続で活用できる節税対策

株式相続で活用できる節税対策は、以下の3つです。

生前贈与する
自社株の株価引き下げ
特例の活用

それぞれを詳しく見ていきましょう。

なお、相続対策を検討している方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】相続税と贈与税どっちが得?税率、特例の活用や相続税を減らす3つのポイントを解説

生前贈与する

株式を生前に贈与することで相続財産を減らし、節税効果を狙えます。例えば、株価が低い時期に贈与すれば、その時点での評価額で税金が計算されるため、将来株価が上がった場合でも、税負担を軽減できます。また、配当金を受け取る権利も同時に贈与できる点がメリットです。ただし、この方法が有効となるのは、贈与者に十分な判断能力があると認められる場合に限られます。認知症などで判断能力が低下していると、贈与が無効になる可能性があるため注意が必要です。

なお、贈与の方法は以下の2つです。

暦年贈与
相続時精算課税制度

2つの制度は併用できないため、どちらを選ぶかは事前によく検討することが大切です。

生前贈与について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみましょう。
【関連記事】生前の相続対策の重要性

自社株の株価引き下げ

非上場企業のオーナーが自社株を後継者に引き継ぐとき、事前に株価を引き下げることで相続税を軽減できます。株価が高いと相続税が増え、後継者が税金の支払いに困る可能性があるため、以下の方法で株価を引き下げることが重要です。

配当金を減額する
役員報酬を引き上げる
含み損のある不動産を売却する
発行済株式数を増加させる など

対策を講じることで、純資産価額や類似業種比準価額を引き下げ、株価を抑えられるでしょう。ただし、事業運営に影響を与えない範囲で実施することが重要です。不適切な方法を取ると、税務上の認定が得られず、節税効果が期待できない場合があるため、注意が必要です。

特例の活用

以下の特例を活用することで、株式の相続や譲渡にともなう税金の負担を減らし、後継者が事業をスムーズに継承できるでしょう。

法人版事業承継税制
相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 など

例えば、法人版事業承継税制を活用すると、非上場株式の贈与や相続時の税金が猶予・免除され、相続時の負担を大幅に軽減できます。特例の適用条件や手続きについては、事前に確認し、必要な準備を整えておくことが大切です。

まとめ

株式投資を行っている方や中小企業の経営者が亡くなった場合、相続が発生します。上場株式を相続する場合、簡単に現金化できるため、売却するかそのまま保有するかの選択が可能です。一方、非上場株式は売却が難しく、相続税の負担が大きくなりがちです。相続税を軽くするためには、株式の評価額を低く抑え続ける努力が大切になるでしょう。また、自社株の相続では、誰が経営を引き継ぐかも重要な要素です。株式の相続は、手間や時間がかかるだけでなく、予期しない損失や家族間の争いを引き起こす可能性も少なくありません。そのため、事前にしっかりと準備をし、事業承継や税務に詳しい税理士に相談することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。相続税のクロスティでは、豊富な経験と実績に基づいた専門知識を持ち、日経新聞社主催の新・事業承継税制セミナーで講師を務めるなど、新・事業承継税制に精通した事務所として高く評価されています。事業承継や相続に関する悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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