ノートに書かれた遺言でも法的効力を持つの?
今回の内容はvol.289「ノートに書かれた遺言でも法的効力を持つの?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
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亡くなった方が、財産のことや最期について考えていたことをノートなどに書き残されている場合があります。ノートに書かれた遺言内容が法的な効力を持つのかどうかは、遺言書としての法的な要件を満たしているかどうかで判断します。
要件さえ満たしていればノートに書かれた遺言も遺言書になる
遺言書というと、封筒に入った厳粛なイメージがありますが、たとえノートに書かれた遺言であっても、遺言書として法的な要件(法律で決められている書き方)を満たしていれば、遺言書としての効力が認められます。法的な要件を満たしていなければ効力のある遺言とはなりませんが、亡くなった方の最後のメッセージとして、相続人同士で話し合い、その内容を尊重することは可能です。
ノートに書かれた遺言が法的な効力を持つかを判断するポイント
ノートに書かれた遺言は、「自筆証書遺言書」と同じ意味合いのものと言えます。自筆証書遺言書を書く用紙に法的な指定はありませんので、ノートでも構いません。法律で決められている書き方を満たしていれば、遺言書とみなされます。
✓ 亡くなった方の直筆であること
✓ 亡くなった方の意思で書かれていること
✓ 書いた年月日付が書かれていること
✓ 財産が特定され正確に記述されていること
✓ 署名・捺印がされていること
① 遺言書の本文が手書き
ノートに書かれた遺言は、最初から最後まで全て亡くなった方の直筆で書かれている必要があります。2019年の法改正で、添付する財産目録のみパソコンで作成したり、登記簿謄本のコピーや預貯金通帳のコピー、もしくは代筆でも良いとされることになりました。ただし、添付した財産目録には、全てに署名捺印が必要です。遺言本文については、改正後も直筆でなければなりませんので注意しましょう。
② ご自身の意思で書かれている
遺言書は、ご自身の意思で書かれているものでなければなりません。誰かに強制的に書かされたり、誘導されて書いたものは無効となります。直筆で書かれた遺言書であっても、生前の思いや亡くなった方の考え方とあまりにもかけ離れているものや違和感のあるものは慎重に対応し、場合によっては専門家に相談することをオススメします。
③ 財産が正確に記載されている
ノートに書かれた遺言の財産内容は、正確に財産を特定できるように記載されている必要があります。例えば不動産の場合、地番表記、もしくは住所表記までの正確な記載が必要です。「自宅の土地」や、「○○町の家」などといった書き方では、財産内容を正確に特定することはできませんので、遺言書としては無効となってしまいます。
④ 作成日の記載がある
ノートに書かれた遺言も、いつ書いたものかが判断できるように、作成日を記載しておく必要があります。複数のページに遺言が書いてあったり、ノートとは別で遺言書が見つかった場合には、日付が一番新しいものを「有効な遺言書」とみなします。
⑤ 署名・捺印がされている
遺言書の部分に鮮明な署名・捺印がされていなければなりません。なお、捺印は実印で押印する必要はありません。
家庭裁判所の検認が必要
正式な遺言書として認められるには、上記の法律で決められた書き方に沿っていることも大切なのですが、亡くなった方の最後の住所地を管轄している家庭裁判所での検認の手続きを受ける必要があります。検認とは、家庭裁判所において、遺言書が亡くなった方の意思で作成されたものであるかどうか、直筆のものであるかどうかを確認し、証明する手続きです。本来封印されている遺言書であれば検認を受ける前に開封してはいけませんが、ノートに書かれている遺言書は封印が初めからないものなので、偽造や変造を疑われてしまう可能性があります。家庭裁判所で検認を受ければ、ノートの遺言書は効力を正式に認められることとなります。
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最後に
ノートに書かれた遺言でも、法的な要件を満たしてさえいれば遺言書として効力を発揮します。遺言を書く用紙に決まりはありませんので、ノートに書かれているからと無下にせず、記載された内容を丁寧に確認してみてください。遺言書を作成される方は、法的な効力を持つポイントを参考にし、作成されることをオススメします。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
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