デジタル遺言とは?普通の遺言とは何が違うの?
今回の内容はvol.186「デジタル遺言とは?普通の遺言とは何が違うの?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
近年「デジタル遺言」というサービスが増えてきています。動画をクラウド上に保存できるサービスなどを使い、誰にも改ざんされず永久保存できるサービス、LINEを活用して遺言書をトーク形式で作成できるサービスなど、様々なデジタル遺言サービスがリリースされています。
そもそもデジタル遺言とは?
デジタル遺言とは、パソコンやスマホのアプリ等を利用してオンライン上で遺言を作成するものです。
法的効力はあるの?
デジタル遺言には法的効力はありません。
現在、日本で法的に有効とされている遺言書は以下の3つです。
① 自筆証書遺言
② 公正証書遺言
③ 秘密証書遺言
公正証書遺言と秘密証書遺言については、デジタルでの作成は一切できません。自筆証書遺言の財産目録部分など一部に限り、運用の見直しが始まっています。2019年1月13日に施行された「相続改正における自筆証書遺言の一部デジタル化」の改正法では、パソコンで作成した財産目録や預金通帳のコピー、登記事項証明書も有効になりました。ただし、パソコンで作った場合は印刷し、全てのページに署名・捺印をする必要があります。
海外ではデジタル遺言が有効となる場所もある
上記でもお話した通り、日本ではデジタル遺言に法的な効力がありませんが、米国の一部の地域では有効です。2019年7月にアメリカで「統一電子遺書法(e遺書法)」が承認されました。フロリダ州では認定保管者が保管したデジタル遺言であれば、実際の相続で有効とされます。
デジタル遺言の活用
法的効力のない遺言だから作成する意味がないのでは?という疑問が生じるかと思いますが、作成する意味がないかというと、そうではありません。法的に遺言書を作成した場合、書き方の形式が決まっていて、「誰にどの財産を残すか」といった内容がメインになります。「付言」といって、家族に対するメッセージや思いを遺言書の内容に入れることは可能ですが、公正証書遺言で作成する場合は公証人や証人に内容を聞かれてしまいますし、自筆証書遺言の場合はメッセージが長くなってしまうと書くのが大変になります。遺言書だけでは伝わらない、伝えられない大切なメッセージを簡単で便利なツールを活用することで、好きなように残すことができるという点で、デジタル遺言は画期的といえるでしょう。ですが、実際の相続手続きでは効力がないため使えないので、法的効力のある上記の3つの遺言と併用して作成することをオススメします。
また、近年ではオンラインのクラウドで金銭の管理をしたり、登録したりすることが増えてきていますので、IDやパスワードをそのままネット上で管理し、それをデジタル遺言と紐づけることで遺族の負担を軽減することができます。
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最後に
近年ペーパーレスが進み、様々な場所でデジタルに移行していく流れが出てきています。まだ日本では、遺言書はデジタル化されていませんが、米国のように近い将来遺言書がデジタルで作成できるようになるかもしれません。デジタル遺言を作成するうえで一番注意しなければならない点は「法的効力がない」ということです。デジタル遺言だけを作成するだけでは、実際に相続が発生した時に有効ではありませんので、必ず公正証書遺言などの法的効力のある遺言とともに作成しましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。遺言書の作成方法など、どんな些細なことでもまずは一度お気軽にご相談ください。
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