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相続マメ知識

税理士が教える遺留分侵害額請求とは?

今回の内容はvol.175「税理士が教える遺留分侵害額請求とは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。


遺言では必ずしも法定相続分によらず、遺言者の意思によって「誰に、どの財産を、どのように」引き継ぐのか決めることができます。ですが、法定相続人(本来相続人となる人)が遺言によって相続人から外されていた場合はどうなってしまうのでしょうか。

遺留分とは

相続人の相続財産持ち分については、法律上一定の保護がされていて、これを「遺留分」といい、相続人に法律上認められた相続財産の相続割合のことを言います。

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは遺留分を侵害された人(遺留分権利者)が本来取得できる相続割合を限度に、遺留分を金銭として取り戻すための請求をすることです。不公平な遺言や生前贈与が行われると、相続人であっても遺産を一切受け取れない可能性があります。この場合、遺留分が侵害されることになるので侵害された相続人は遺贈や贈与を受けた侵害者へ金銭の返還請求を行うことができます。

遺留分侵害額請求ができる人

遺留分侵害額請求ができる人は以下の通りです。
〇 配偶者
〇 子ども
〇 孫
〇 ひ孫
〇 親
〇 祖父母
〇 曾祖父母

※兄弟姉妹や甥・姪は法定相続人になる場合は遺留分はありませんので、遺産を一切取得できなかったとしても、遺留分侵害額請求を行うことはできません。

遺留分侵害額の計算方法

① 遺留分の割合を計算する

遺留分の割合は、「誰が遺留分権利者になるのか」で変わります。親などの直系尊属のみが法定相続人になる場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1になります。

・配偶者のみの場合
 2分の1

・子どものみの場合
 2分の1

・配偶者と子どもの場合
 配偶者:4分の1
 子ども:4分の1

・親のみの場合
 3分の1

・配偶者と親の場合
 配偶者:3分の1
 親:6分の1

・配偶者と兄弟姉妹の場合
 配偶者:2分の1
 兄弟姉妹:なし

② 基準となる財産額を確認する

遺留分の対象となる基準の財産額は以下の計算式で求めます。

 相続財産 + 一定の範囲の贈与財産※ - 債務額 = 基準となる財産額

※・相続開始前1年以内の贈与
 ・贈与者と受贈者が遺留分権利者に侵害を与えることを知っているのに行った贈与
 ・相続人への特別受益に該当する、相続開始前10年以内の贈与

③ 基準となる財産額から遺留分侵害額を算出する

基準の財産額に遺留分割合を掛け算すると、個別の相続人の遺留分侵害額を計算できます。

 基準となる財産額 × 遺留分割合 = 遺留分侵害額

【例】基準の財産額が5,000万円で、配偶者と子1人が相続する場合
 5,000万円 × 4分の1 = 1,250万円
 それぞれ1,250万円ずつが遺留分となります。

遺留分侵害額請求の時効と除斥期間

時効

相続開始と遺留分侵害の2つの事実を知ってから1年以内に遺留分侵害額請求をする必要があります。この期間を過ぎてしまうと遺留分侵害額請求ができなくなります。なお、請求さえすれば権利が守られるので、1年以内に遺留分侵害額を払わせる必要はありません。

除斥期間

相続開始から10年がたつと自動的に遺留分侵害額請求権は消滅します。権利者が相続開始や遺留分侵害の遺言、贈与を知らなくても権利が失われてしまうので注意が必要です。

遺留分侵害額請求の手順

① 話し合いを行う

相手と話し合い、合意ができたら合意書を作成します。

② 内容証明郵便で請求する

話し合っても合意できない場合は、内容証明郵便を使って遺留分侵害額請求書を送ります。遺留分侵害額請求の時効が迫っている場合にも、話し合いを行う前に内容証明郵便で相手に通知をしておくと、日付が記載され時効を止められるのでオススメです。請求書を送ったら相手と遺留分侵害額の清算方法を取り決め、支払いを受けます。

③ 遺留分侵害額請求調停を申し立てる

内容証明郵便で請求しても無視される場合や、いくら話し合っても合意できない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てます。調停は、調停委員会が仲介に入り、相手と話し合いを行います。合意ができたら調停が成立し、約束通り支払ってもらいます。

④ 遺留分侵害額請求訴訟を起こす

調停で話し合っても解決しない場合は、地方裁判所で遺留分侵害額請求訴訟を起こします。訴訟で遺留分の主張と証明ができれば、裁判所が相手に遺留分侵害額の支払い命令を出してくれます。相手が支払わなければ差し押さえも可能です。

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最後に

遺留分侵害額請求とは遺留分を侵害して相続が行われても、相続割合を限度に遺留分を金銭として取り戻すことができる制度です。時効など期限があり、争族トラブルにもなりかねません。生前のうちから遺留分を侵害しないような贈与や遺贈の計画を立てましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っております。各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携しておりますので、どのようなお悩みでもまずは一度ご相談ください。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。お会いできる日を心よりお待ちしています。

運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)

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