土地や建物は相続のときにはどのような扱いになるのか?
今回の内容はvol.169「土地や建物は相続のときにはどのような扱いになるのか?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続した財産に不動産が多く含まれていて、人に貸していたり、抵当権がついている土地がある場合、相続ではどのような扱いになるのでしょうか?
遺産分割との関係
土地や建物などの不動産は遺産分割の対象です。評価額は、遺産分割時点での時価で評価することが原則ですが、相続人間で合意が整うのであればどのような評価でも構いません。実際は、相続税課税価格や固定資産評価額、あるいは不動産業者による簡易査定などを参考にして決定する例が多くみられます。評価額について相続人間で合意が整わなければ、最終的には遺産分割調停・審判で決定します。
相続税課税との関係
土地や建物などの不動産は課税対象です。評価額は「時価」とされていますが、その評価方法は通達で決められており、相続人間の協議で自由に決めることはできません。
土地
路線価あるいは、固定資産税評価額の評価倍率での評価が基本です。小規模宅地等の特例を活用することで大きく評価減となる可能性があります。
建物
固定資産税評価額での評価が基本です。
不動産を人に貸している場合の注意点とは
土地や建物を賃貸として人に貸している場合でも、その土地が遺産分割の対象になる点、相続税課税の対象となる点は変わりません。ですが、賃借権の負担がある分、自用地よりも相続税課税評価額は下がります。算式は以下のとおりです。
貸宅地の評価
① 借地権設定時に通常の金額の権利金を受領している場合
自用地評価 × (1 - 借地権割合)
※借地権慣行のない地域の貸宅地の場合は、借地権割合を20%として計算する。
② 借地権設定時に管理金を受領しない代わりに、賃料を通常より高い水準(相当の地代)で受領している場合、あるいは、法人が借主で、かつ、土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合
自用地評価 × 80%
③ 借地権設定時に通常の権利金を受領せず、賃料も上記②の「相当の地代」に満たない場合等
A:自用地評価から、この場合の借地権評価額を控除した金額
B:自用地評価 × 80%
上記A、Bのどちらか低い方の金額
貸家建付地の評価
自用地評価 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
貸家の評価
建物の価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
賃貸人としての地位は、遺産分割協議によって相続人のうち誰が承継するかを定めます。
不動産が担保に供されている場合の注意点とは
不動産の取り扱いへの影響
土地建物に抵当権や質権がついている場合でも、その土地が遺産分割の対象となる点、相続税課税の対象となる点に違いはありません。担保に供されている不動産は、被担保債権額を差し引いた金額が不動産の実質的な価値になります。相続税課税との関係では評価額に影響はなく、担保権のついていない不動産と同じ評価になります。
被担保債権の取扱い
被担保債権が被相続人自身の債務なら、遺産分割との関係では相続割合通りに分割されます。相続税課税との関係では、課税価格から差し引かれる形で考慮されることになります。不動産が第三者の債務の保証に供されたものであって(物上保障)、被担保債権が被相続人自身の債務でない場合は、該当の被担保債権は相続の対象ではないので、遺産分割との関係でも相続税課税との関係でも影響がありません。また、相続税課税の際に被担保債権額が課税価格から差し引かれることもありません。
最後に
土地や建物などの不動産は、相続財産として遺産分割・相続税課税の対象となります。抵当権がついていたとしても、課税対象財産としての評価額は変わりません。不動産の相続は、現金と違い分割するのが難しい財産です。早めに対策を取っておくことがオススメです。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様にあったプランを丁寧に説明させていただきます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にご相談ください。
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