相続を開始したら預貯金は全く引き出せないのか
今回の内容はvol.78「相続が開始したら預貯金は全く引き出せないのか」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
遺産分割が始まる前に入院費用や葬儀費用などを工面するために、被相続人名義の預貯金を引き出したいと思っても、基本的には引き出すことができません。そのような場合は、「遺産分割前の払戻し制度」というものを使うことで一定額の預貯金を引き出すことができます。
そもそも遺産分割前の払戻し制度が創設された理由とは?
例えば、被相続人が入院したまま亡くなってしまった場合、亡くなる前までの入院費用などを支払う必要があります。また葬儀費用も必要です。これまでは、遺産分割前には、相続人が被相続人の預貯金を引き出すことができないため、これらの支払いは相続人の金銭から行われていました。または、被相続人が亡くなった直後、銀行から引き出せなくなる前にまとまった金額を引き出すということがあったそうです。この制度が創設されることで、家庭裁判所の判断を受けることなく、相続人が被相続人の預貯金から一定限度額を引き出せるようになりました。
制度の内容
共同相続人の一人が単独で金融機関から被相続人の預貯金を引き出すことができます。この制度はあくまでも相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いに困ることが無いようにするためなので、引き出せる金額には上限があります。引き出せる金額は以下の計算式で算出された金額です。
相続開始時の預貯金債権の額 × 1/3 × 当該払い戻しを求める共同相続人の法定相続分
※計算式は各口座ごとに上記の計算式で求められる金額としていますが、同一の金融機関で引き出せるのは、最大150万円までとされています。
最後に
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