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相続税対策で合同会社を設立するときに気をつけるべきポイント

私たち相続税のクロスティは、税理士として愛知県名古屋市を中心に不動産賃貸業の節税対策を行っております。不動産賃貸業を行っている方のなかには、相続税対策として合同会社を設立するという方法があることをご存知の方も多いと思います。よくご相談いただくのが、「合同会社の設立が、実際どのような相続税対策になるのか?その仕組が複雑で分かりづらい」ということです。そこでこのページでは、合同会社の設立によって、どのような相続税対策になるのか、なぜ合同会社であり株式会社ではないのか、合同会社を利用した節税の注意点などについて 、税理士の視点でお伝えします。

目次
合同会社で相続税を節税する仕組み
株式会社ではなく合同会社なのはなぜ?
相続税の節税に合同会社を利用するメリット
合同会社を設立する場合の注意点
合同会社の設立による節税が適切か、税理士に相談しよう

合同会社で相続税を節税する仕組み

まず、合同会社で相続税を節税する仕組みを確認しましょう。

相続税の節税方法の基本

相続税節税の基本は、遺産の額を少なくすること相続税が軽減される制度の利用をするという2つのポイントが挙げられます。相続税は、相続が発生したとき(被相続人が亡くなったとき)に、基礎控除額以上の遺産がある場合に課税されます。そして、遺産の額が多ければ多いほど税率が上がる、累進課税制度を採用しています。そのため、相続税節税の基本は「正味の遺産」を基礎控除額以内にすること、あるいは基礎控除額を超える場合でも、なるべく少なくなるようにするのが相続税節税の基本の1つです。すなわち、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、未成年者控除などの税額控除の制度をきちんと利用をすることが相続税節税の基本となります。

合同会社の設立を利用した相続税の節税

合同会社の設立を利用した相続税の節税の基本としては、遺産の額を少なくすることにあります。

【例】
家族構成:父、母、長男、次男
不動産賃貸(父所有)の収入:年間1,000万円

上記の場合、年間1,000万円の収入が父に入り、後に遺産となります。生前贈与として母、長男、次男に分配する場合、年間110万円を超える贈与をする場合には贈与税の対象となります。このような場合に合同会社を設立して不動産賃貸を営み、合同会社として収益を上げることで、父個人の遺産を減らすことが可能です。また、妻や長男、次男を会社役員にして役員報酬とすることで、家族に分配することができます。

株式会社ではなく合同会社なのはなぜ?

ここで、会社を作るのであればなぜ株式会社ではないのか?と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?会社を作るのに株式会社ではなく、あまり馴染みのない合同会社とする理由を確認しましょう。(ここは税理士の中でも、実はしっかりと理解をしていない方もいるくらい複雑な分野です。以下に丁寧に解説いたします。)

合同会社とは?会社の種類にはどのようなものがあるのか

合同会社とは、日本における会社形態の1つで、社員の責任が有限所有と経営が一体であるという特徴を持っています。2006年に施行された会社法によって新たに設けられた制度で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとして取り入れたものです。

社員の責任が有限

会社には、合名会社・合資会社・株式会社・合同会社があります。
合同会社の特徴である社員の責任が有限とは、会社が負った債務についての責任が、出資した財産の範囲に限られるということを意味します。この対義語が「無限責任」ですが、無限責任を負う場合には会社が負った債務について社員となった人が全額返済する義務を負います。合名会社・合資会社(無限責任社員のみ)の場合、社員は無限責任を負うのに対して、合同会社と株式会社は出資した額のみで責任を負う「有限責任」であるという特徴があります。

所有と経営が一体

一方で株式会社との違いは、出資者が経営に関する権限を有するか否かです。株式会社は経営を執り行う取締役と、出資者である株主の役割が切り離されており、「所有と経営が分離」の状態です。これに対して合同会社は、出資をする人が経営者であることが前提となります。そのため、合同会社は家族経営のような小規模な法人を前提としており、手続きが簡単で運用コストを抑えることができます。

合同会社と株式会社を比較

合同会社と株式会社を比較すると次のようになります。

債務に対し有限責任である点は共通する

共通点としては上述のとおり、いずれも有限責任であることです。合同会社の場合は出資分を失うのみ、株式会社の場合は取得した株式分を失うのみで、会社が負った債務をすべて負うことはありません。なお、会社が倒産したときに、よく代表者個人も自己破産することがあるのですが、これは会社の債務について代表者が連帯保証をするためです。合同会社を設立した後に、賃貸経営を広げるために借り入れをして、その債務の連帯保証をしたというような場合には、連帯保証債務として責任を負うことになります。

所有と経営が一致するか分離するか

所有と経営については、合同会社の場合には必ず一致します。つまり出資者が経営者になります。一方、株式会社の場合には所有と経営が分離しており、株主が必ず経営者になるわけではありません。ただ、現実には、多くの割合を占める小規模な株式会社においては、出資した株主がそのまま取締役になることが多いです。

議決権

合同会社では、経営者である社員が業務の執行にあたり、社員が2人以上いる場合には、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数で決定することになっています。つまり、出資の割合が違っても1人1票が原則で、別の定めをするには定款に記載しなければなりません。これに対して、株式会社の株主が意思決定をする場合には、取得している株式の保有割合によります。

利益配当

利益配当に関しては、合同会社・株式会社ともに出資の割合にもとづきます(合同会社については定款で異なる定めを置くことも可能です)。

設立をするときの設立登記に必要な登録免許税

会社を設立するときには設立登記をするのですが、設立登記をするには登録免許税がかかります。登録免許税は株式会社の場合は15万円(または資本金の0.7%のいずれか高い方)であるのに対して、合同会社は6万円(または資本金の0.7%のいずれか高い方)となっており、合同会社のほうが設立のコストが安くなっています。

設立時に定款の認証が必要か

会社の設立時、株式会社については定款を公証人に認証してもらう必要があります。しかし、合同会社の場合は定款の認証が不要です。定款の認証をするには、資本金の額に応じて以下の認証手数料が必要です(電子定款を認証する場合を除く)

任期

社員の任期を定める規定はありませんが、取締役については2年(定款で定めることによって最長10年)の任期があります。任期を迎えたとき、株式会社では株主総会を開催して再度取締役を再任する手続きが必要となります。合同会社は手続きが簡略化されています。

決算公告

株式会社の場合、会社の決算を毎年公告する必要があります。一方で合同会社の場合には、決算公告の必要がありません。合同会社の方が手続きが簡易で、決算公告のための費用が節約できます。

相続税の節税に合同会社を利用するメリット

相続税の節税に合同会社を利用することのメリットとして、次のようなものが挙げられます。

遺産が合同会社の持分・払戻請求権となるので安くなる可能性がある

たとえば不動産賃貸で収益を得ている場合、個人で不動産を所有して賃貸している場合、遺産となるのは不動産です。一方で、不動産賃貸業を合同会社を設立して行う場合、遺産として相続するのは合同会社の持分もしくは払戻請求権という権利です。所有する不動産がどのような不動産かにもよるのですが、一般的には合同会社の持分・払戻請求権の方が、個人所有の不動産を相続した場合より安くなる可能性が高いです。相続財産が安くなるということは、相続税が安くなることになります。

生前贈与を利用しなくても財産を分散できる

個人で不動産を賃貸している場合、賃料は個人で受け取ることになり、財産が個人に集中してしまいます。相続人などに分配をする場合には生前贈与などを行う必要があり、贈与税を支払うことになる場合があります。合同会社を設立して、家族を役員にして役員報酬という形で支払うことで、個人に財産を集中することなく、役員にした家族に財産を分散することができます。

他の事業で出た損失と合同会社で得た利益を合算できる

他にも、会社を作って事業をしている場合で、その事業で損失が出た場合に、合同会社で得た利益を合算することが可能です。

相続・贈与をする際の登録免許税

不動産を所有している場合、亡くなった後には不動産の登記を相続人に移す必要があります。相続による所有権移転登記をするには、登記自体に登録免許税などの費用を支払う必要があります。一方で、合同会社を設立している場合には、社員の変更登記となり、登録免許税は前述の相続による不動産の所有権移転登記よりも安くなります。

合同会社を設立する場合の注意点

合同会社を設立する場合には、以下の点を注意しましょう。

合同会社が消滅しないように規定を整備する

合同会社の社員が1人である場合、その1人が亡くなると社員がいないことになるため、合同会社は解散することになります。こうなると、上記のようなメリットを全く受けられなくなってしまうので、きちんと準備をしておく必要があります。方法としては、「亡くなったときの引継ぎに関する規定を準備しておく」、「複数の社員を選任しておく」といった方法が考えられます。

社員の意見が1:1で分かれないように注意する

上述のとおり、社員が複数いる場合には、業務の執行はその過半数で決定することになります。社員が2人の場合で特別な規定を準備していないと、2人の意見が分かれてしまった場合、1:1となるので過半数を獲得できず、業務執行ができない事態に陥ります。「社員の数を奇数にしておく」、「社員の議決権の割合に変更を加えておく」などして、1:1で分かれてしまわないようにしておきましょう。

相続人が持分を引き継ぐことができるようにしておく

合同会社を設立した場合、相続人が相続するのは、合同会社の持分か払戻請求権のどちらかです。持分を相続するときには、取引相場のない株式の評価方法に準じて評価します。一方で払戻請求権を相続するときには、合同会社のすべての資産を相続税評価額で計算したものから、合同会社が負っている負債を控除した金額に、相続人が承継した持分の割合を考慮して計算します。この2つを比べた場合、持分を承継したほうが一般的には安くなる傾向があります。持分と払戻請求権を比べた場合にどちらが安くなるかを算出し、どちらを承継するかを決め、規定の整備を行いましょう。

合同会社の設立による節税が適切か、税理士に相談しよう

合同会社の設立による相続税の節税についてお伝えしました。相続税の節税方法の中でも、とくに不動産賃貸で収益を得ている場合に検討することが多いのですが、他の節税方法と比べても非常に複雑です。合同会社の設立による節税が適切か、合同会社の設立をする場合に、どのような規定の整備が必要かなど、 税理士など専門家に相談しながら行うとよいでしょう。

最後に

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私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
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