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2022.01.11
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海外に住んでいる相続人の遺産分割 また、亡くなった場合の相続手続き

相続が発生した場合に、相続人が海外に住んでいる、亡くなった人が海外在住であるということがあります。このような場合の相続・遺産分割に関する手続きにはどのような配慮が必要でしょうか。このページでは、海外に住んでいる相続人がいる場合の遺産分割や、被相続人が海外に住んでいる場合の相続手続きについてお伝えします。

目次
海外に住んでいる相続人がいる場合の遺産分割
海外に住んでいる人が亡くなった場合の相続手続き
まとめ

海外に住んでいる相続人がいる場合の遺産分割

まず、相続人が海外に住んでいる場合の遺産分割手続きについて解説します。

海外に住んでいる人も相続人である

誰が相続人になるかについては民法により、配偶者・子・親・兄弟姉妹などが相続人になることが規定されています(民法886条以下)。この相続人について、海外に住んでいるからといって、相続人ではなくなるという規定はありません。そのため、海外に住んでいる人も相続人になるため、共同相続をした場合には遺産分割協議が必要となります。

外国の国籍を取得した場合でも相続人となる

海外に住んでいる方が外国の国籍を取得した場合、その人は日本国籍を失うことになります。この場合、相続においてどの国の法律が適用されるかという問題が発生します。どの国の法律が適用されるかを定める法の適用に関する通則法36条において、相続に関しては被相続人の本国法によることが規定されています。そのため、被相続人が日本国籍の場合、日本の相続法が適用され、相続人の国籍が変わった場合にも変わらず相続人となります。

海外に住んでいる相続人抜きで遺産分割協議をしても無効

海外に在住している相続人がいる場合に、その人抜きで遺産分割協議をして手続きを進行した場合、その遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。海外に住んでいるからといって、その相続人抜きで話し合い作成された遺産分割協議書を使って不動産登記や銀行預金の解約などを行おうとしても、その遺産分割協議書には相続人全員の名前がないため、手続きを進めることができません。海外に住んでいる相続人であっても、同時に提出を要求される戸籍謄本等の書類によってその存在がわかりますので、手続きは進まないと考えましょう。

海外に住んでいる相続人との遺産分割協議のコツ

海外に住んでいる相続人との遺産分割協議にはどのようなコツがあるでしょうか。遺産分割協議は、単にモノやお金のやりとりをする取引ではなく、亡くなった人の遺産をどのように配分するか、という手続きです。近場ですぐに集まれるような環境にあれば良いのですが、なかなか他の相続人と集まれないところに住んでいるような場合、他の相続人で協議をして押し付けるようなことをしてしまうと、やはりトラブルの種になりかねません。昨今ではスマートフォンなどでテレビ電話を利用したりすることも可能ですので、なるべく話し合いの場にリモートでも参加してもらって、時には亡くなった被相続人の思い出話を交えながら、和やかに話し合いを進めるのが良いでしょう。また、メールなどで送る場合でも、単純に遺産分割協議案だけを送るというのではなく、どうしてそのような分割案になったのか、話し合いには誰と誰が参加してどのような話をしたのか、誰か一人が有利・不利になるような場合にはどういう事情がありどんな配慮をしたのかなど、できる限り「話し合いの輪の中に居る」と感じられるよう配慮することを心がけましょう。

日本に住所がない場合に印鑑証明書の代わりに「サイン証明書」が必要となる

遺産分割協議書を作成する場合には、遺産分割協議書に実印を押して、手続きをする際に印鑑証明書(印鑑登録証明書)が必要です。印鑑証明書は、住所のある市区町村で取得することが可能です。外国に居住していても、日本に住所がある場合には、その住所地で印鑑証明書を発行してもらえますので、通常通りに押印・印鑑証明書を発行してもらって手続きを行います。もし日本に住所がない場合には、印鑑証明書を取得することができませんし、実印を登録することができません。この場合、かわりのものとして「サイン証明書(署名証明書)」というものを取得します。サイン証明書は、遺産分割協議書を外国にある日本総領事館に持参して、領事の前で遺産分割協議書にサインをし、発行されるサイン証明書と併せて領事が割り印を行います。これにより実印およびサイン証明書を使って相続に関する手続きを行います。

住所を証明する情報としての在留証明書

不動産を相続する場合には、登記申請書を提出して相続登記を行います。この際に添付書類として、住所情報証明情報が必要で、通常は住民票を提出します。登録証明書と同様に、日本に住所がない場合には、住民票にかわるものとして、在留証明書を取得します。在留証明書も日本領事館で取得が可能です。

海外に住んでいる人が亡くなった場合の相続手続き

次に、海外に住んでいる人が亡くなって相続が開始する場合について確認しましょう。

外国籍を取得して日本国籍を失っている場合にはその人の本国法による

上述しましたが、相続については、被相続人の本国法によるとされています。外国籍を取得して日本国籍を失っている場合、その人の国籍がある国の相続法によって相続が開始されます。ここから先は被相続人が日本国籍を有していることを前提にお伝えします。

物の所在が外国にある遺産については現地の法律が適用されるケースもある

所在地が外国にある遺産も相続の際には相続財産として遺産分割や相続税申告の対象となります。このときに、物の所在が外国にある遺産については、現地の法律が適用されるため、手続きが面倒になるケースがあります。代表的なものとしては、アメリカに不動産を持っている場合、プロベートと呼ばれる裁判所による検認の手続きが必要となります。不動産は一旦遺産財団(エステート)と呼ばれるものに移されて、裁判所が人格代表者を選任して、不動産の算定や債務や税金などを支払うなどの精算の手続きを行うことになっていて、その後に相続人に分配されることになります。このプロベートには早くても1年、長いと3年程度の期間が必要となっており、日本で相続税の申告をする際にどのように申告すればよいかという問題が発生します。このように、財産が海外にあったり、多数の国の法律が関係する相続のことを、国際相続と呼びますが、国際相続が発生する場合には、必ず専門家に依頼して遺産分割・相続税申告を行うことを心がけましょう。

死亡届の提出

相続ではないのですが、亡くなったときに同時に問題となる、死亡届について知っておきましょう。日本国籍を保有している人が海外で亡くなった場合でも、死亡届を提出する必要があります。死亡届は、通常は亡くなったことを知った日から7日以内に提出しなければなりません(戸籍法86条)。しかし、外国で亡くなったときには、その期間は3ヶ月に設定されています。死亡届を提出するときには、添付書類として死亡診断書・死体検案書などの添付書類が必要です。外国で亡くなったときには、現地で作成される公的な書類を作成してもらって提出することが一般的です。外国語で作成されている場合には、翻訳ものを作成して提出することもあります。
公的な書類には、次の記載を求めることが一般的です。

死亡者の氏名
性別
生年月日
死亡年月日及び時間
死亡したところ

なお、アメリカでもミネソタ州やミズーリ州では死亡診断書に時間が記載されていませんが、死亡時間は相続等の身分法上及び財産法上の重要事項です。別途Certificate of Deathという書類と死亡証明書抄訳文を提出することがあります。まずは、市区町村の市民課に確認してみましょう。アメリカのように在外公館に届け出ることができる場合もありますので、在外公館にも問い合わせをしてみて、手続きしやすい方で手続きを行うと良いでしょう。

相続放棄・限定承認に特別な規定はない

相続放棄や限定承認にあたって、被相続人が海外で亡くなった場合の特別な規定はありません。相続人は相続開始を知ったときから、原則として3ヶ月以内に相続放棄・限定承認を行うことになります。生活の本拠が外国にある場合、資産・負債の調査に時間がかかることがあります。3ヶ月以内に相続放棄・限定承認ができない場合には、熟慮期間の伸長という手続きをとることによって、この期間をのばしてもらう必要があります。

相続税申告については外国にある資産に関する規定が複雑

相続税申告をする際には、外国にある資産の取り扱いを巡って、複雑な規定があることを知っておきましょう。原則として、相続などで財産を取得した時に外国に居住していて日本に住所がない人については、日本国内にある財産だけが課税の対象となります。しかし、以下のいずれかに該当する場合には、国外の財産も相続税の計算上の相続財産に参入されます。

財産を取得したときに日本国籍を有している人で、被相続人の死亡した日前10年以内に日本国内に住所を有したことがある場合か、同期間内に住所を有したことがなく被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人でない場合。
財産を取得したときに日本国籍を有していない人で、被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人でない場合。

(参考:「相続人が外国に居住しているとき|国税庁ホームページ」(外部リンク)

どの資産が外国に存在すると判定されるかも含めて、非常に難しいケースがあります。ただ、外国でも相続税が課された場合で、日本の相続税と二重に課税されるようなケースでは、外国税額控除として控除をしてもらえます。

まとめ

相続人が海外に住んでいる場合、被相続人が海外に住んでいる場合などは、相続手続きが複雑で時間を要することがあります。(参考:「受贈者が外国に居住しているとき|国税庁ホームページ」(外部リンク))の表を参考にしていただき、このような相続が発生している場合には、税理士に依頼して相続税申告を行うようにしましょう。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)





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