相続税の税務調査と流れの実態。事前準備や税務調査を受けにくい申告書とは?
相続税の申告・納付をした後に税務調査が行われる場合もあります。税務調査により相続税の申告・納付のミスが発覚するとペナルティが発生します。そのため、「正しく相続税の申告・納付ができているか不安」「相続税の申告をしたけれど税務調査で指摘されるのが心配」という方も多いでしょう。今後、初めて相続を経験する方も、「どのような事前準備が必要なのか」、「税務調査を受けにくい申告書とはどのようなものなのか」など、知っておいて損はありません。そこで今回は、相続税の税務調査の流れの実態と、税務調査の事前準備や申告書の作成方法について詳しく解説していきます。
目次
・相続税の税務調査の内容
・相続税の税務調査の種類
・相続税の税務調査の実態
・税務調査が行われる場合の事前準備
・税務調査の当日の流れと質問事項
・税務調査を受けにくい申告書
・まとめ
相続税の税務調査の内容
相続税の税務調査の内容は、相続税を正しく申告・納付しているかどうか、税務署がチェックするという内容です。税務署は相続に関わる様々な情報を入手することが可能です。預貯金の流れや、不動産の保有状況、有価証券や国債などの保有状況や履歴などから、相続税の申告内容にズレがないかチェックを行います。そこで、不審な点がある場合は税務調査を行い、相続税の申告・納付に間違いがあった場合は指摘します。指摘を受けた場合は追徴課税などのペナルティが発生するので、相続税は正しく申告・納付するようにしましょう。
相続税の税務調査の種類
税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります。「任意調査」と「強制調査」について、それぞれどのような違いがあるのか、詳しく解説します。
任意調査
「任意調査」は「強制調査」と違い、調査対象となる方にあらかじめ税務署から連絡があります。その際、調査日時を決めて、その日時に沿って税務調査が行われることとなります。調査が行われる場所は、被相続人(亡くなった方)が最後に住んでいた自宅が多いです。調査には他の相続人や税理士の立会いも可能です。税理士が相続税申告を代行する場合は、税務署から税理士に連絡があります。調査では、通帳や権利書の確認など税務署員からの質問に対して相続人が答えるというようなことが多いです。無理やり家の中に押し入るということはありません。
強制調査
「強制調査」は明らかに悪質な脱税が見受けられる場合に行われる調査となります。「任意調査」と違い、事前に連絡なく抜き打ちで調査に入ります。しかし、実際には強制調査に入るケースは非常に少ないです。任意調査を断った場合や、明らかに不正がある場合などは強制調査となる可能性があります。
相続税の税務調査の実態
相続税の税務調査について、どのような実態があるのでしょうか?どのくらいの頻度で税務調査が行われているのか気になるところですよね?そこでここでは、税務調査の実態と追徴課税が課される確率について詳しく解説していきます。
10人に1人が税務調査を受けている
国税庁が発表している「平成30事務年度における相続税の調査などの状況」(外部リンク)によると、平成28年において12,463件の実地調査が行われたと発表されています。国税庁の「平成30年分相続税の申告事績の概要」(外部リンク)では、平成28年に相続税申告書の提出をしたのは約11万人です。相続税申告した人の約10人に1人が税務調査を受けていることになります。この確率は所得税などの調査に比べては高い割合となっています。そのため、相続税申告の際には、後に税務調査が入ることも考慮して、不正が疑われないように正しい申告を行いましょう。
追徴課税になる確率は85.7%
国税庁が発表している「平成30事務年度における相続税の調査などの状況」(外部リンク)によれば、「申告漏れ等の非違があった件数」は約1万件とされています。つまり、相続税の税務調査対象者の85.7%が追徴課税を受けているということです。税務調査が入ると高い確率でペナルティを受けると考えてよいでしょう。そのため、まずは税務調査が入らないような、相続税の申告・納付を行うことが重要です。
税務調査が行われる場合の事前準備
実際に税務調査が入る場合、まずは事前準備として税理士に立会いを依頼しましょう。その後、申告内容を見直すことも重要です。ここでは、税務調査が行われる場合の事前準備について詳しく解説していきます。
立ち合いは税理士に依頼しよう
税務調査が決まった場合、税理士に立ち合いを依頼しましょう。相続税申告の際に依頼した税理士がいれば、その税理士に立会いをお願いしましょう。自身で相続税申告を行った場合も、税理士に立ち合い依頼した方が良いでしょう。ほとんどの方は税金や相続について専門的な知識を持っていません。そのため、税務署からの指摘を受けた場合、反論ができず税務署の言い分を聞く一方となってしまいます。税金に関する専門的な知識や経験があれば、税務署からの指摘に対して私たちにわかりやすく説明してくれるため、正しく理解でき、税理士が論理を正して正確に対抗してくれるのです。
また、税理士に立ち合いを依頼すれば、税務調査にあたりどのような書類を用意しておけば良いのか、どのような対応が必要なのかということを教えてくれます。税理士に立ち合いを依頼すると報酬を払わなければなりませんが、事前準備や追徴課税になるリスクを考えると依頼した方が良いでしょう。
申告内容を見直しておく
税務調査が決まった際、相続税の申告内容を見直しておくことも重要です。申告内容に間違いがないか、どの部分に指摘が入る可能性があるのかということを確認しておきましょう。自分では気づかない箇所に間違いがある場合もあります。そのため、申告内容の確認は税理士と共に行いましょう。
申告ミスや漏れがある場合は事前に修正申告をする
相続税の申告内容に申告ミスや漏れがあった場合は事前に修正申告をしましょう。税務署からの指摘を受ける場合と、自ら修正申告する場合では課税される金額が異なります。税務調査で申告ミスや漏れが発覚した場合の方が課税される金額は多くなります。事前に修正申告した場合は「延滞税」のみで済む場合もあります。税務調査前に間違いに気付いていながら修正をしなかった場合は、「意図的に異なる申告をした」「財産を隠した」と判断される場合もあります。そのため、事前に申告内容を確認し、申告ミスや漏れに気付いた場合は速やかに修正申告を行うようにしましょう。
税務調査の当日の流れと質問事項
税務調査が入る場合、当日の流れと質問事項はどのように行われるか気になりますよね?事前に把握しておくことにより、税務調査の際にもスムーズに対応することができます。そこでここでは、税務調査当日の流れと質問事項について詳しく解説していきます。
税務調査の当日の流れ
税務調査は朝の10時からスタートすることが多いです。まず、調査官による質問が行われます。その際はいきなり質問に入るのではなく、世間話や故人、相続人についてなどの世間話から徐々に質問に入ることが多いです。午後からは、資料の内容についての調査など具体的な質問が行われます。ほとんどの場合は1日で終わることが多いです。しかし、調査事項が多くなると2日にかけて行われる場合もあります。
相続税の税務調査でよく聞かれる質問
相続税の税務調査でよく行われる質問は以下の点です。
被相続人の出身地や職業
被相続人の趣味や月々の生活費など
被相続人が亡くなったときの状況
被相続人の入院の有無・時期や病院名など
被相続人の財産状況
被相続人や相続人は貸金庫を持っているか
被相続人や相続人が取引のある金融機関
被相続人の介護や入院にかかった費用
被相続人の配偶者の財産状況
相続人の職業、住まいなどについて
相続人の家族について
相続人の持ち家の有無
相続開始直前で下ろした現金の具体的な使い道
生前に贈与の有無
事前に上記内容を確認して正確に答えることができるよう準備しておきましょう。
税務調査の質問に対して嘘をついてはいけない
税務調査が入った際に、調査員の質問に対して嘘ついてはいけません。しかし、自分が不利になるような回答する必要はないです。「適切な回答の仕方」が重要ですが、専門的な知識がなければ難しくなります。そのためにも、税務調査が入った場合は税理士に立会いを依頼した方が良いでしょう。一般的に「このように回答すればよい」というものはなく、それぞれの相続状況により回答も異なります。税理士に依頼し、自身の状況を踏まえた上でどのように回答すれば良いのか相談しましょう。
税務調査を受けにくい申告書
多くの方はなるべく税務調査に入られたくないと思っているでしょう。税務調査を受けにくい申告書を作成する方法として以下の方法があります。
正しく申告する
相続税申告に強い税理士に依頼する
書面添付制度を活用する
ここでは、上記それぞれの方法について詳しく解説していきます。
正しく申告する
相続税申告を行う際にまずは正しく申告することが重要です。全ての財産をしっかりと調査し、相続財産の見落としがないか確認しましょう。また、計算ミスについてもしっかりと確認しなければなりません。相続税申告の計算は非常に複雑なので、自身で行うと申告漏れや計算ミスが発生しやすくなってしまいます。
相続税申告に強い税理士に依頼する
相続税申告は自身で行うことも可能です。しかし、税理士に依頼することにより申告漏れやミスを防ぐことができます。その際、相続税申告に強い税理士に依頼するよう心がけましょう。税理士と言っても専門分野は様々です。相続税申告の経験が少ない税理士もいるので、税理士選びは慎重に行いましょう。
相続税申告に強い税理士に書面添付制度の活用を依頼する
税理士の書面添付制度を活用することにより、税務調査を受けにくくなります。書面添付制度とは相続税申告の際に、申告内容を詳しく記した書類を添付することをいいます。税務署側も詳細に申告内容を知ることができるため、明らかな申告ミスや漏れがない限りは税務調査も行わないでしょう。しかし、書面添付制度を活用すれば税務調査に入られないわけではありません。あくまでも、税務調査を受ける確率が下がるというものです。ただ、実際に税務署から申告内容に疑義が生じた場合の手続きも異なります。通常の税務調査では疑義があった場合は即、ご自宅などの現地調査ですが、書面添付制度を活用した場合は現地調査の前に税理士への意見聴取が入ります。ここで疑義が解消された場合は現地調査はなくなります。税務署職員から難しい質疑を受けなくてよくなるのです。
税理士によっては書面添付を行わない場合があります。全ての税理士が書面添付をしているわけではないので、相続税申告を依頼する場合はその点も前もって確認しておきましょう。
まとめ
今回は相続税の税務調査と流れの実態や、事前準備や税務調査を受けにくい申告書の作成について解説しました。相続税の税務調査は10人に1人行われており、他の税金と比べても調査に入る確率が高いです。そのため、相続税の申告は正しく行いましょう。相続税の申告が非常に複雑で、申告漏れやミスなどが起こるとペナルティが発生するので、相続税に強い税理士に依頼するようにしましょう。また、税務調査が入る場合、自身での対応が難しいことが多いため税理士に立会いを依頼することをおすすめします。
最後に
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私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。
相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
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