名古屋市の税理士法人、相続税申告なら相続税のクロスティ「相続税の課税対象とならない遺族年金とは?」ページ

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2021.10.20
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相続税の課税対象とならない遺族年金とは?

遺族が年金を受け取ると、相続税の課税対象になる場合とならない場合があります。遺族が生活費などとして使える金額は、相続税がかからない場合は年金額、相続税がかかる場合は年金額から納税額を引いた後の金額です。相続税の課税の有無や年金額の計算方法を理解しておくと、仮に家族が残された場合にどれだけ生活資金を確保できるのか、検討がしやすくなり万が一の事態に備えやすくなります。一家の稼ぎ手が亡くなってから慌てないように、遺族年金の受給額の計算方法や年金を受け取る際に必要な手続きについて、理解しておくようにしましょう。

目次
遺族が受け取る年金と相続税の関係
家族が亡くなったときの年金手続き
残された家族に遺族年金が支給されるケースとは
遺族基礎年金の受給額の計算方法
遺族厚生年金の受給額の計算方法
遺族年金を受け取れない場合
遺族年金と他の年金の併給調整
まとめ

遺族が受け取る年金と相続税の関係

公的年金の受給者が亡くなった時に遺族に支給される遺族年金は、原則として所得税も相続税もかかりません。また、亡くなった時に支給されていなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取った場合は、その方の一時所得となり相続税はかかりません。それではどのような年金が相続税の課税対象になるのでしょうか?それは受け取る年金の種類によって異なります。主な年金のうち、相続税がかかる年金・かからない年金をそれぞれ挙げると以下のとおりです。

相続税がかかる年金

亡くなった人が保険料を負担していた個人年金
確定給付企業年金 など

相続税がかからない年金

遺族基礎年金
遺族厚生年金
未支給年金 など

家族が亡くなったときの年金手続き

国民年金や厚生年金の加入者等が亡くなった場合、一定の要件に該当すると残された遺族に遺族年金が支給されます。遺族年金を受け取るためには手続きが必要で、書類を揃えて年金事務所に提出しなければいけません。年金手続きの流れや必要書類を事前に確認しておけば、家族が亡くなった後にスムーズに手続きを進められます。手続きが遅れて遺族年金の受け取りが遅れると生活に困る場合があるので、遺族年金の手続き方法についてあらかじめ確認しておきましょう。

受給権者死亡届の提出

公的年金を受給中の人が亡くなった場合、受給権者死亡届を年金事務所に提出する必要があります。ただし日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は、原則として受給権者死亡届の提出を省略できるため届出は不要です。

参考:受給権者死亡届(日本年金機構HP)(外部リンク)

届出の際には「亡くなった人の年金証書」と「死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、死亡診断書のコピーなど)」の2点を受給権者死亡届に添付して提出します。

遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求手続き

遺族が遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取るには、年金請求書に必要書類を添付して年金事務所に提出する必要があります。

参考:年金請求書(日本年金機構HP)(外部リンク)

年金の請求手続きで必要になるのは主に次の書類です。

年金手帳
戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
世帯全員の住民票の写し
死亡者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)
請求者の収入が確認できる書類
子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要)
市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
受取先金融機関の通帳等(本人名義)

※ 年金請求書にマイナンバーを記入した場合は一部の書類の提出を省略できます

なおケースによっては他にも書類の提出を求められる場合があります。実際に手続きをする際は事前に年金事務所に確認するようにしてください。

未支給年金の請求手続き

年金受給中の人が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、死亡日より後に振込みされた年金のうち亡くなった月分までの年金は、未支給年金として遺族が受け取れます。

未支給年金を受け取れる遺族とは、受け取れる順位が高い順に(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫 (5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他の3親等内の親族です。

未支給年金を受け取るには、未支給年金・未支払給付金請求書に必要書類を添付して年金事務所に提出する必要があります。手続きで必要になる主な書類は以下のとおりです。

参考:未支給年金・未支払給付金請求書(日本年金機構HP)(外部リンク)

亡くなった人の年金証書
亡くなった人と請求する人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)
亡くなった人と請求する人が生計を同じくしていたことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票等)
受け取りを希望する金融機関の通帳

残された家族に遺族年金が支給されるケースとは

公的年金から支給される遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類の年金があります。自営業者の家族に支給されるのが遺族基礎年金、会社員や公務員の家族に支給されるのが遺族厚生年金です。いずれの遺族年金も支給要件が細かく決まっていて、国民年金や厚生年金の加入者等が亡くなった場合に必ず遺族年金が支給されるわけではありません。残された家族が遺族年金を受け取るには一定の要件を満たす必要があります。

遺族基礎年金の支給要件

自営業者をはじめとした国民年金の被保険者等が亡くなると、一定の要件に該当する場合、家族に遺族基礎年金が支給されます。まず支給対象になる遺族とは亡くなった人に生計を維持されていた人で、次のいずれかに該当する人です。

子(※)のある配偶者
子(※)

ここで(※)の子とは婚姻していない者で、「18歳になった年度の3月31日までの間にある子」または「20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子」を指します。つまり自営業者が亡くなった場合でも、条件に該当する子がいないケースでは遺族基礎年金は支給されません。そして遺族に遺族基礎年金が支給されるためには、亡くなった人が一定の要件に該当することが必要です。具体的には、国民年金の被保険者が亡くなったこと、または保険料を納めた期間等が25年以上ある人が亡くなったことが、遺族基礎年金が支給される要件のひとつになります。また、亡くなった人に保険料の未納期間がある場合は、未納だった期間やその長さによっては遺族基礎年金は支給されません。すべての要件を満たす場合、子が要件に該当する期間にわたって遺族基礎年金が支給されます。子が18歳になる年度の3月31日を過ぎた場合や障害状態にある子が20歳になった場合は、遺族基礎年金の支給は終了となるためそれ以降は受給できません。

遺族厚生年金の支給要件

会社員や公務員など厚生年金の被保険者等が亡くなると家族に遺族厚生年金が支給されます。支給対象になる遺族とは亡くなった人に生計を維持されていた人で、次のいずれかに該当する人です。

子・孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
55歳以上の夫・父母・祖父母

遺族厚生年金の受給権には順位があり、上位の順位の人がいない場合に次順位の受給権者が年金を受け取れます。

第1順位:子のある配偶者(夫は55歳以上)または子
第2順位:子のない妻または55歳以上の夫
第3順位:55歳以上の父母
第4順位:孫
第5順位:55歳以上の祖父母

55歳以上の夫・父母・祖父母が遺族厚生年金を受け取る場合は60歳から支給されます。ただし夫に関しては遺族基礎年金を受給中の場合に限り遺族厚生年金も受給が可能です。また子のない30歳未満の妻が遺族厚生年金を受給する場合は5年間のみの給付となります。そして遺族に遺族厚生年金が支給されるためには、亡くなった人が一定の要件に該当することが必要です。具体的には、厚生年金の被保険者が亡くなったときや、保険料を納めた期間等が25年以上ある人が亡くなったときなどに、遺族厚生年金が支給されます。また、亡くなった人に保険料の未納期間がある場合は、未納だった期間やその長さによっては遺族厚生年金は支給されません。

遺族基礎年金の受給額の計算方法

遺族基礎年金の年金額は子の人数によって変わります。令和3年度の受給額は次の式で求めた金額です。

遺族基礎年金の受給額

780,900円 + 子の加算額

子の加算額

第1子・第2子は各224,700円、第3子以降は各74,900円

例えば夫が亡くなり子2人を育てる妻が遺族基礎年金を受け取るケースであれば、受給額は780,900円に加算額449,400円(224,700円×2人)を足した1,230,300円です。遺族年金を受け取る場合は偶数月の15日に2ヶ月分がまとめて振り込まれるため、およそ20万円の遺族基礎年金を2ヶ月に1回受け取れる計算になります。また子が遺族基礎年金を受け取る場合は子の加算が行われるのは第2子以降で、子1人が受給する場合の年金額は780,900円です。子が2人以上いる場合は、780,900円に加算額を足して子の人数で割った金額が子1人あたりの受給額になります。

遺族厚生年金の受給額の計算方法

遺族厚生年金の受給額は亡くなった人の厚生年金被保険者期間の長さなどで変わり、一定の要件に該当する場合は中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算によって年金額が上積みされます。

年金額

遺族厚生年金の年金額は原則として次の式で求めた金額です。

遺族厚生年金の受給額

{平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × (平成15年3月までの被保険者期間の月数) + 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × (平成15年4月以後の被保険者期間の月数)} × 3/4

平均標準報酬月額

平成15年3月以前の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額

平均標準報酬額

平成15年4月以降の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額

ただし被保険者期間が300月(25年)に満たない場合は300月と見なして計算します。つまり厚生年金に加入したばかりで被保険者期間が数ヶ月しかない人が亡くなった場合でも、計算式には300を当てはめて年金額を求めるため、実際の被保険者期間で計算して年金額が極端に少なくなることはありません。例えば厚生年金の加入期間が3年で標準報酬月額が加入当初から変わらず20万円の場合を考えると、この人が亡くなったときに遺族に支給される遺族厚生年金額は以下のとおりです。(話を簡単にするためボーナスの支給などはないものとして計算します)

遺族厚生年金の受給額 = 20万円 × 5.481/1,000 × 300月 × 3/4 = 24万6,645円(年額)

年金額を厳密に計算するには過去の標準報酬月額や標準賞与額を確認しなければいけません。ただ現在や過去の月収をもとにおよその見当を付けた上で、計算式の中の平均標準報酬月額や平均標準報酬額に仮の値を当てはめれば、年金額の概算額を求めることはできます。

中高齢寡婦加算

中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金の支給要件となる子がおらず遺族基礎年金の支給を受けられない妻を対象とした制度です。一定の要件に該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間に中高齢寡婦加算として585,700円が加算されます。中高齢寡婦加算が支給される妻とは、次のいずれかに該当する人です。(ただし一定の場合には加算が行われない場合があります)

夫が亡くなったとき40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻で、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなった妻

経過的寡婦加算

65歳以降は中高齢寡婦加算が行われなくなるため、代わりに経過的寡婦加算が行われる仕組みです。次のいずれかに該当する場合には経過的寡婦加算として遺族厚生年金に一定額が加算されます。(ただし一定の場合には加算が行われない場合があります)

昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき
中高齢寡婦加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき

遺族年金を受け取れない場合

たとえば自営業者などの第1号被保険者が亡くなって遺族である妻に子がいない場合、遺族基礎年金の受給要件を満たさないため妻は遺族年金を受け取れません。しかしこのような場合でも、一定の要件を満たすと寡婦年金や死亡一時金を受け取れる場合があります。

それぞれ支給要件が細かく決まっているため、実際に受給できるかどうかは確認が必要ですが、遺族基礎年金を受給できない場合は寡婦年金や死亡一時金を受け取れないか、以下の日本年金機構HPで確認するようにしてください。

参考:
寡婦年金(日本年金機構HP)(外部リンク)
死亡一時金(日本年金機構HP)(外部リンク)

遺族年金と他の年金の併給調整

国民年金や厚生年金から支給される年金には様々な種類があり、複数の年金の受給権を取得した場合には、いずれも受給できる場合といずれかを選択して受給する場合があります。たとえば65歳以上の人が老齢基礎年金と遺族厚生年金の2つの年金の受給権を満たした場合は、両方の年金を受け取ることが可能です。しかし複数の年金の受給権を得た場合に、年金の種類の組合せによっては併給が認められず、いずれかの年金のみを選択して受給することになるケースがあります。年金の種類によって併給が可能なものと併給が不可で選択受給となるものがあるので、複数の年金の受給権を満たした場合は、併給が可能か年金事務所に確認するようにしましょう。

まとめ

家族が亡くなった場合、一定の条件に該当すると遺族は遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れます。遺族基礎年金や遺族厚生年金に相続税はかかりません。

年金を受け取るには手続きが必要で、年金の請求手続きで必要な書類や受給できる年金の種類はケースによって異なります。万が一家族が亡くなった場合には早めに年金事務所に問い合わせて、どのような年金が受け取れるのかや手続きの流れを確認するようにしましょう。

最後に

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