山林の相続税評価を相続に強い税理士が解説!

今回の内容はvol.250「山林の相続税評価を相続に強い税理士が解説!」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
山林の相続税評価額は、所在地や形状等で異なります。
そもそも山林とは
そもそも山林とはどのような土地のことを言うのでしょうか?山林の定義は耕作の方法によらないで竹木の生育する土地と定められています。
① 畑との違い
畑とは、「農耕地で用水を利用しないで耕作する土地」のことを指します。例えば、木が生い茂っている果樹園などは一見山林のように見えますが、果樹を耕作しているため山林ではなく畑となります。木がたくさんあったとしても「耕作目的のものであれば畑」、「耕作目的でなければ山林」です。
② 原野との違い
原野とは、「耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地」のことを指します。山林も原野も耕作目的の土地ではないという点では同じですが、その土地の上に生育している植物の種類に違いがあります。「人の背丈を超えるような竹や木が生育している土地は山林」で、「人の背丈程度で根本付近から枝分かれしているような植物が生育している土地は原野」です。
③ 立木との違い
山林は土地の種類の一種で、立木は土地の種類ではなく山林の上に立っている木そのもののことを指します。ただ、上記は相続税での考え方で、所得税では「山林は木そのもの」を定義しているので注意が必要です。
山林かどうか確認する方法
土地の種類を判断するには以下の資料を確認します。
● 登記事項証明書:表題部の地目の箇所
● 固定資産税課税明細書:現況地目または課税地目の欄が山林かどうか
相続税評価上の種類
山林は、相続税上3つの種類に分けられます。
① 純山林
市街地から遠く離れたところにあり、宅地の影響をほとんど受けることない山林。
② 中間山林
純山林と市街地山林の中間に位置する山林。市街地周辺や別荘地にある山林が想定される。
③ 市街地山林
市街化区域内に存在する山林や宅地に介在する山林。山林よりも宅地として存する方が有効活用できると想定される地域に存在する。
評価単位
山林を評価する際にまず評価単位を判定する必要があります。評価単位とは、土地を評価する土地ごとに分ける作業のことです。評価単位は山林の種類ごとに異なります。
● 純山林・中間山林:1筆(登記簿上の地番)ごと
● 市街地山林:利用の単位となっている一団の山林ごと
相続税評価額
山林の相続税評価額は、山林の種類ごとに下記のように評価します。
● 純山林:倍率方式
● 中間山林:倍率方式
● 市街地山林:宅地比準方式または倍率方式
① 純山林・中間山林
倍率方式とは、固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を乗じて計算する方法で、以下の算式で求められます。
相続開始年度の固定資産税評価額 × 評価倍率
② 市街地山林
宅地比準方式で評価する場合
倍率方式で評価しない市街地山林はすべて宅地比準方式で評価します。算式は以下の通りです。
(その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額 ― 1㎡あたりの宅地造成費) × 地積
倍率方式で評価する場合
市街地山林を倍率方式で評価する場合とは、その山林が宅地への転用が見込まれない場合です。算式は以下の通りです。
近隣の純山林の1㎡あたりの固定資産税評価額 × 地積 × 純山林としての評価倍率
近隣の純山林は、評価対象の市街地山林から最も近くにある純山林を指します。県境に評価対象地があった場合、他県の純山林が採用される場合もあります。また、宅地への転用が見込まれない山林は以下の2つが想定されます。
● 急傾斜地などにより、物理的に宅地造成ができないとき
● 「その山林が宅地であるとした場合の1㎡あたりの評価額」より「1㎡あたりの宅地造成費」が大きくなるとき
伐採制限がある山林の相続税評価額
森林法などの法令によって伐採の禁止や制限を受ける場合があります。伐採制限がある山林については、以下の算式で計算します。
伐採制限のない山林の評価額 × (1 - 保安林等の立木の控除割合)
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最後に
相続財産の中に山林があった場合、相続税の計算が複雑になる場合がありますので、早いうちに相続に強い税理士に相談しましょう。相談する際は登記事項証明書や固定資産税課税明細書などで確認を行いますので、ご相談の際には持っていくと安心です。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
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