土地や家屋などの不動産の評価方法とは?
今回の内容はvol.216「土地や家屋などの不動産の評価方法とは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続財産の評価は、相続開始時点の時価で評価します。相続税は申告納税制度なので相続人が相続財産を評価することになりますが、相続財産の中には時価を正確に把握することが難しいものもあります。現金預貯金は金額がそのまま評価となるので難しくありませんが、たとえば土地や家屋などの不動産を評価するのは簡単ではありません。では、評価が難しい土地や家屋はどのように評価すればいいのでしょうか?
土地の評価方法
土地の評価方法は2種類あります。
○ 路線価方式:路線価が定められている地域の評価方法
○ 倍率方式:路線価が定められていない土地の評価方法
このどちらかの方法で評価します。路線価とは、その道路に面する土地1㎡当たりの評価額のことを言い、国税庁のホームページで確認することができます。
路線価方式の計算式
路線価方式の計算式は以下の通りです。
路線価 × 土地の面積 = 土地の相続税評価額
【例】土地の面積が500㎡で、その土地が面する道路の路線価が10万円の場合
10万円 × 500㎡ = 5,000万円となるので、その土地の評価額は5,000万円となります。
倍率方式の計算式
倍率方式の計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額 × 倍率 = 土地の相続税評価額
【例】土地の固定資産税評価額が2,000万円で、倍率が1.2倍の場合
2,000万円 × 1.2 = 2,400万円となるので、その土地の評価額は2,400万円となります。
土地を貸していた場合の評価方法
故人が所有していた土地に第三者が家や事務所を建てていた場合、その土地のことを「貸宅地」、第三者に貸していない土地のことを「自用地」といいます。貸宅地には借地権(借りた土地に建物を建てて自由に使える権利)が設定されているので、相続税評価額は自用地の評価額と比べて安くなります。
貸宅地の相続税評価額の計算式は次のとおりです。
自用地評価額 ×(1 - ※借地権割合)= 貸宅地の相続税評価額
※自用地評価額に占める借地権の割合。国税庁のホームページで確認できます。
【例】借地権割合が50%で、自用地評価額が2,000万円の場合
2,000万円 ×(1 - 50%)= 1,000万円となるので、その貸宅地の評価額は1,000万円となります。
土地を借りていた場合の評価方法
第三者が所有する土地を借り、その土地に家や事務所を建てていた場合、借主は借地権を持つことになります。この借地権も相続財産に含まれ、相続税が課税されるので注意しましょう。
借地権の相続税評価額の計算式は次のとおりです。
自用地評価額 × 借地権割合 = 借地権の相続税評価額
【例】借地権割合が60%で、自用地評価額が2,000万円の場合
2,000万円 × 60% = 1,200万円となるので、その借地権の評価額は1,200万円となります。
賃貸物件が立っている土地の評価方法
所有している土地に貸家や賃貸アパート、賃貸マンションなどの賃貸物件を建てていた場合、その土地のことを「貸家建付地」といいます。土地の所有者と賃貸物件の所有者が異なる場合は貸家建付地ではありません。また、賃貸物件を無償で貸している場合も貸家建付地ではないので注意しましょう。
貸家建付地の相続税評価額の計算式は次のとおりです。
自用地評価額 ×(1 - 借地権割合 × ※1借家権割合 × ※2賃貸割合)= 貸家権付地の相続税評価額
※1:建物の借家権の割合。全国一律30%と定められています。
※2:貸し出されている部屋の床面積の割合。
【例】自用地評価額が2,000万円、借地権割合が50%、借家権割合が30%、賃貸割合が50%の場合
2,000万円 ×(1 - 50% × 30% × 50%)= 1,850万円となるので、その貸家建付地の評価額は1,850万円となります。
家屋の評価方法
家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額に倍率1.0を乗じて計算します。家屋の相続税評価額の計算式は次のとおりです。
固定資産税評価額 × 1.0 = 家屋の相続税評価額
賃貸物件の建物の評価方法
賃貸物件の相続税評価額は以下の計算式で算出します。
建物の固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 × 賃貸割合)= 建物の相続税評価額
【例】賃貸アパートの固定資産税評価額が1億円で、借家権割合が30%、賃貸割合が70%の場合
1億円 ×(1 - 30% × 70%)= 7,900万円となるので、その賃貸アパートの建物の相続税評価額は7,900万円となります。
最後に
土地や家屋の評価は様々な計算を行わなくてはならず複雑です。相続専門の税理士に依頼することで、評価額を調べてくれますので、仕事が忙しくて調べることが困難な方は、早い段階から相談しましょう。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしており、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。ぜひお気軽にお問合せください。
運営:名古屋総合税理士法人
(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)