養子の遺産相続についてのメリットと注意点とは?
今回の内容はvol.188「養子の遺産相続についてのメリットと注意点とは?」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
養子縁組をすると、相続において養子は実子と同じ権利を持ち、同じ割合を相続できます。
一般的な養子縁組の事例
① 孫を養子にする
生前にまとまった財産を一度に渡してしまうと贈与税がかかってしまいますが、財産を確実に孫に引き継ぎ使ってもらいたいという場合は、孫と養子縁組をするという選択肢があります。孫を養子にした場合、法定相続人が増えることになるので、相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)も増えて節税対策にもなります。ただし、養子縁組には相続税の基礎控除等に制限がありますので、注意する必要があります。
② 子の配偶者を養子にする
長年同居し、尽くしてくれた長男の嫁など、長男長女といった実子と同等に財産を譲りたいという場合、普通養子縁組をすれば財産を確実に譲ることが可能になります。そして同時に基礎控除額も増やすことができます。
③ 再婚して連れ子を養子にする
再婚した妻に連れ子がいる場合、その子とは血縁関係がないのでそのままにしておくと、再婚した妻との間の子は相続人になりますが、連れ子は相続人にはなれません。連れ子と養子縁組をすると実子と同じ相続分を持つことになります。
相続における養子縁組で得られるメリット
① 実子と財産を平等に分けられる
養子縁組が成立すれば、実子と同じ権利を持つことが認められます。法定相続分および、主張できる権利もすべて実子と同等になります。
② 法定相続人ではない人へ相続できる
法定相続人ではない孫や第三者(例えば長男の配偶者等)に相続で確実に譲りたい場合には、養子縁組をしておくと実子と同等に財産を引き継いでもらうことができます。血のつながりがなくてもお互いの同意があれば養子縁組は成立し、実子として財産を引き継ぐことが可能になります。
③ 相続税の基礎控除額を増やせる
養子縁組をすることで法定相続人が増えるので、基礎控除額( 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 )が増え、非課税枠が大きくなります。ただし、養子縁組によって相続人が増えた場合、法定相続人としてカウントできる人数には上限がありますので注意が必要です。
亡くなられた方に実子がいる場合
養子は1人まで
亡くなられた方に実子がいない場合
養子は2人まで
なお、以下の場合は養子でも実子扱いになるので、相続人として制限はありません。
・ 特別養子縁組で養子になっている場合
・ 再婚した配偶者の実子が養子になっている場合(連れ子)
・ 亡くなられた方の養子が以前死亡、または相続権を失ったため代襲相続人となった場合
④ 生命保険金の非課税限度額を増やせる
生命保険にも非課税枠があり、「500万円 × 法定相続人の数」だけ控除できます。基礎控除と同じように人数に制限があり、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までと決まっています。
⑤ 死亡退職金の非課税限度額を増やせる
死亡保険金と同じように「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があります。基礎控除と同じように人数に制限があり、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までと決まっています。
養子縁組で注意すること
① 1人当たりの相続財産が減る
養子が増えると法定相続人が増える一方で、1人当たりの財産は少なくなってしまいます。基礎控除等には制限がありますが、養子縁組自体には制限がないので、養子が増えれば増えただけ1人が取得できる財産の割合が少なくなるので、もめる原因になるかもしれません。
② 相続税が2割加算される場合がある
本来は子に相続してそのあと孫に相続するという流れですが、相続する権利を1つ飛ばして財産を相続させることになるので、相続税が2割加算されます。また、法定相続人でない第三者を養子にした場合も同様です。取得できる割合は実子と変わりませんが、相続税は高くなってしまうので注意しましょう。
③ 養子縁組した時期によっては代襲相続ができない
養子縁組した子がすでに亡くなっている場合、実子と同様にその養子縁組した子の子(孫)は代襲相続をすることができます。しかし、孫が養子縁組する前に生まれていた場合には代襲相続ができませんので、養子縁組をするタイミングにも注意が必要です。
④ 養子縁組は個々の縁組なので養親の立場を引き継ぐことはできない
養子縁組した子が結婚し、夫婦よりも先に子が亡くなると後継ぎが途絶えてしまいます。養子縁組した子と結婚した配偶者には相続権は引き継がれないので、子の配偶者を改めて跡継ぎにする場合は新たに養子縁組をする必要があります。
⑤ 相続人の間でもめる可能性がある
養子縁組をしていることを実子が知らず、相続時に初めて知る場合は、想定していた相続分を相続できないことからトラブルになる可能性があります。そのような事態を避けるためにも養子縁組する前に実子にご自身の考えなどを伝えておくことが大切です。
最後に
養子縁組をすることでメリットもたくさんありますが、注意しなければいけないこともあり、慎重に考えなければいけません。私たち、相続税のクロスティは、相続税を専門として取り扱っており、創業以来50年以上にわたって相続手続きをお手伝いしてまいりました。また、各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携をしております。そのため、様々な視点からお客様へアドバイスをすることができます。故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでも多くお守りし、私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。相続を考慮し養子を迎え入れるか迷っている方、どんな些細なことでもまずは一度お気軽にご相談ください。
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