相続放棄した方がよいのかすぐに判断できない場合
今回の内容はvol.84「相続放棄した方がよいのかすぐに判断できない場合」です。
相続税は難しい言葉が多く、内容も複雑です。「相続マメ知識」は、そんな複雑で難しい相続税の知識を毎日少しずつ学べるよう1つ5分程度で読める内容にまとめたものです。これから相続について知りたいと思っている初心者から税理士試験受験者、税理士事務所や会計事務所の職員まで、まずは軽い気持ちで読み進めてください。
もっと詳しく知りたいと思われましたら過去の「相続マメ知識」や、更に詳しく解説した「ブログ」も見てみてください。
相続人は相続開始があったことを知った日から3か月以内に、相続をするか相続放棄をするかを決めなければなりません。しかし、その3か月の間にどうするか決められなかった場合はどうしたらいいのでしょうか。
限定承認
被相続人にプラスの財産もマイナスの財産も相当あり、最終的にプラスになるかマイナスになるか分からないとき、相続財産限りで借金を清算し、もしプラスがあれば相続をするということを可能にする制度を「限定承認」と言います。マイナス財産を相続したくないという相続人にとってはきわめて合理的な制度ですが、実際にはあまり利用されていません。
限定承認のデメリット
限定承認をするには、相続開始を知った日から3か月以内に財産目録を作成し、相続人全員で家庭裁判所に限定承認をする旨の申し出をし、その後5日以内に被相続人の借金の貸主に対して借金の金額などを申し出るよう催告しなくてはいけません。しかし、相続開始を知ってから3か月以内にそれらを行うのは相当な負担です。また限定承認手続きで、もし不当な返済があったとされると、被相続人の借金の貸主などに対して損害賠償責任を負うことになります。このような危険を冒してまで面倒な限定承認手続きをする人は少なく、熟慮期間伸長の申立てにより対応することがほとんどです。
熟慮期間伸長の申立て
相続の開始を知ってから3か月以内に相続人の相続財産の状況を調査しても、単純証人、限定承認、相続放棄のいずれかを決められない場合、家庭裁判所に「相続の承認または放棄の期間の伸長の申立て」をし、審判を受けます。熟慮期間伸長は比較的容易に認められることが多いため、相続放棄した方がよいのか3か月以内に決められない場合には、この方法により財産調査期間を延長して慎重に判断することができます。
最後に
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