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PayPayなどの電子マネーは税務署に把握される?相続・贈与時の注意点

キャッシュレス決済が当たり前となった今、交通系・小売店系・スーパー系など、電子マネーの種類は多岐にわたります。1人で複数の電子マネーを使い分けている方も多く、それぞれに残高があるのも珍しくありません。さらに、2023年4月からは「デジタル給与払い」が解禁され、給与を電子マネーで受け取るケースも登場しました。日常の支払いから給与受取まで、電子マネーの活用範囲はますます広がっています。

しかし、ここで気をつけたいのが「税金」の問題です。電子マネーも立派な財産であり、一定の条件を満たすと相続税や贈与税の課税対象になります。また、取引状況によっては税務署に把握され、調査される可能性もあるのです。

本記事では、電子マネーに関する税務上の注意点や、相続・贈与時に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。これから申告を控えている方や、税務調査に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
電子マネーも「財産」として相続税・贈与税の対象になる
PayPayなどの電子マネーは、なぜ税務署にバレるのか
電子マネーに対する税務調査の流れ
PayPayなど電子マネーを使った所得隠しのリスク
電子マネーで確定申告が必要なケース
電子マネーにおける相続・贈与時の注意点
まとめ

電子マネーも「財産」として相続税・贈与税の対象になる

PayPayなどの電子マネーにチャージされた残高も、現金や預貯金と同じく「財産」として扱われ、相続や贈与の対象になります。例えば、故人が交通系カードに5万円分チャージしていた場合、現金5万円と同じく相続財産に含めて申告しなければなりません。

ただし、電子マネーは種類が多く、運営会社によって規約も異なります。中には、利用規約で「残高の相続を認めていない」サービスもあるため、注意が必要です。まずは、故人が利用していた電子マネーの種類を調べ、残高がある場合は「引き継ぐ方法はあるか」「失効するのか」など、サービスごとの対応を確認しましょう。

タンス預金など自宅に保管されているお金も課税対象

「自宅に置いているからバレないだろう」と思いがちなタンス預金も、もちろん相続税や贈与税の対象です。税務署は預金の引き出し履歴や家計の状況などを通じて、現金の動きを確認できます。申告漏れが発覚した場合、追徴課税やペナルティが課されるリスクもあるため、電子マネーに限らず現金も含めて、適正な申告が重要です。

PayPayなどの電子マネーは、なぜ税務署にバレるのか

PayPayなどの電子マネーが税務署にバレる理由は、以下の4つです。

キャッシュレス決済の監視体制が強化されている
税務調査では銀行口座の入出金記録を遡って調査する
家族や相続人の口座も調査対象になる
開示請求により送金履歴が税務署にわたる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

キャッシュレス決済の監視体制が強化されている

キャッシュレス決済をはじめとした電子商取引への監視体制は、年々強化されています。国税庁は2000年に東京・大阪・名古屋の各国税局に「電子商取引専門調査チーム(通称:サイバー税務署)」を設置し、2001年にはその他すべての国税局にも同様のチームを展開しました。

サイバー税務署は、インターネット上で行われる取引の監視や情報収集を目的としており、現在では24時間体制で運用されています。監視対象にはキャッシュレス決済に加え、以下のような取引も含まれます。

ネット通販
ネットオークション
ネット広告
ネットトレード
コンテンツ配信 など

悪質な申告漏れや多額の所得隠しが疑われるケースには、より厳密で徹底した税務調査が実施されるようになっています。

税務調査では銀行口座の入出金記録を遡って調査する

税務署は、銀行口座の入出金記録をさかのぼって調査できます。例えば、口座にある金額が少ない場合でも、過去に大きな入出金があった場合、その金額がどこから来たのか、どこへ行ったのかを追跡することが可能です。そのため、税務調査では、通常の取引とは別に、頻繁な引き出しや大きな金額の動きがあれば、未申告の所得や隠し持っていた現金の存在を疑われる可能性があります。

家族や相続人の口座も調査対象になる

相続税申告の場合、相続人や家族の個人口座も調査します。タンス預金を相続人や相続人ではない家族(例:長男の妻)が自分の預金口座に入れると、そのお金の出どころを巡って税務調査が必要であると判断されるのです。その結果、タンス預金が見つかる可能性もあります。

開示請求により送金履歴が税務署にわたる

キャッシュレス決済サービス各社は、警察などの捜査機関からの要請に備えて、情報開示に関する方針を定めています。

例えば、PayPayでは、公式に情報開示の方針を公表しており、法令に基づく要請があった場合には、必要最小限の範囲で取引情報を開示すると明記されています。これは税務署のような税務当局に対しても例外ではなく、税務調査の一環として取引の確認が必要と判断されれば、利用履歴が開示される可能性があります。

キャッシュレス決済は一見すると現金とは異なり追跡しにくいように思われがちです。しかし、利用履歴はすべてデジタルで記録されており、必要に応じて税務当局に開示される仕組みが整っているのです。

電子マネーに対する税務調査の流れ

相続税の税務調査は、以下の4ステップで進められます。

1. 事前の情報収集
2. 調査対象者への事前連絡
3. 調査官による実地調査
4. 調査結果の通知と必要に応じた修正申告

調査対象となる財産には、現金や預貯金、不動産、株式、生命保険といった従来の資産に加え、PayPayなどの電子マネーの残高も含まれます。税務署が事前調査を行い、申告内容に確認が必要と判断された場合は、以下の方法で税務調査実施の連絡が入ります。

税理士に申告を依頼していた場合:担当税理士
自分で申告していた場合:相続人本人

なお、原則税務調査は抜き打ちで実施されることはほとんどありません。通常はあらかじめ日程や場所を調整したうえで行われます。

実地調査が終了すると、税務署は調査内容をもとに検討を行い、正式な調査結果を相続人に通知します。通知が届くまでの期間は個別のケースによって異なり、早ければ1ヶ月程度、長い場合は1年以上かかるケースもあります。調査の結果、申告内容に誤りがあり、本来支払うべき相続税が少なかったと判断された場合は、「修正申告書」の提出を求められます。一方、申告内容に問題がなかった場合や課税対象外と判断された場合は、「是認通知書(更正決定等をすべきと認められない旨の通知書)」が送られてきます。

PayPayなど電子マネーを使った所得隠しのリスク

PayPayなどの電子マネーによる相続税逃れが発覚した場合には、以下のようなペナルティが課せられる可能性があります。

無申告加算税
過少申告加算税
重加算税
延滞税
刑事罰

無申告加算税は、税務申告を怠ったことに対する罰則です。本来納付すべき税額に50万円までは15%、それを超える部分には20%が加算されて課税されます。

また、相続税の申告自体はしていたものの、一部の財産を除外していた場合には、「過少申告加算税」が課されます。新たに納めることになった税額のうち50万円までは10%、それを超える部分には15%が加算されます。

さらに、これらの加算税に加えて、相続財産を意図的に隠ぺいした場合は、「重加算税」が適用されます。無申告加算税については40%、過少申告加算税については35%で課される非常に重いペナルティです。加えて、悪質なケースでは刑事罰が科される可能性もあるため、相続税の申告は正確に行うことが重要です。

電子マネーで確定申告が必要なケース

PayPayなどの電子マネーによる収入は、一定の条件を満たすと確定申告の対象になります。例えば、個人でアクセサリーや雑貨などを継続的に販売し、その代金をPayPayで受け取っているようなケースでは、得られた金銭が雑所得や事業所得に該当する可能性があります。そのため、収入の合計が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

ただし、20万円という基準は、PayPay単体での収入に限らず、他の収入源を含めた「雑所得全体」の金額で判断されます。また、事業として行っていると見なされる場合は、所得金額にかかわらず申告が求められます。

一方、電子マネーで受け取ったお金が収入ではなく贈与とみなされるケースもあります。贈与とみなされると贈与税の申告・納税が必要です。受け取った性質が収入なのか贈与なのかを整理し、確定申告が必要な場合には、適切に対応することが重要です。

PayPayポイント運用も年間20万円を超えたら確定申告が必要

PayPayポイント運用で得た利益も、一定の条件を満たすと確定申告が必要です。

運用中にポイントが増えても、引き出さない限りは「利益が確定していない」とみなされ、課税の対象にはなりません。しかし、増えた分を引き出して使える状態にすると、その時点で利益が確定したとされ、雑所得または一時所得として課税対象になる可能性があります。

ポイント運用が「雑所得」として扱われると、以下のような基準で確定申告が必要です。

会社員など給与所得者:副業収入が年間20万円を超える場合
個人事業主やフリーランス:経費などを引いた所得が48万円を超える場合

一方、利益が「一時所得」と見なされる場合は、最大50万円の特別控除が適用されます。ただし、雑所得か一時所得かの判断はケースにより異なるため、判断に迷うときは、管轄の税務署に確認するようにしましょう。なお、ポイント運用は株式や投資信託のような金融商品ではないため、損失が出ても他の利益と相殺する「損益通算」はできません。また、分離課税などの特例制度も適用されません。利益が出た場合は、対象金額や使い方を確認のうえ、必要に応じて確定申告を行うようにしましょう。

電子マネーにおける相続・贈与時の注意点

電子マネーにおける相続や贈与は、以下の2つに注意が必要です。

個人送金する際は、110万円を超えないようにする
電子マネーの所在も含めて、生前整理を進めておく

それぞれを詳しく見ていきましょう。

なお、電子マネーにおける相続の流れについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】PayPayなどの電子マネーは相続税の対象|手続きの流れを解説

個人送金する際は、110万円を超えないようにする

電子マネーによる個人間送金も、年間110万円を超えると贈与税の課税対象となります。ただし、すべての送金が贈与と扱われるわけではありません。以下のようなケースでは、贈与ではなく通常の資金移動とみなされます。

家族や友人との金銭の貸し借りの返済
一時的な立て替えの精算 など

また、送金の内容が少額の祝い金やお礼など、社会通念上「儀礼の範囲内」とされる金銭のやり取りも、通常は贈与税の対象となりません。

電子マネーの所在も含めた生前整理を進める

電子マネーは目に見える形がないものの、相続時には現金と同様に「財産」として扱われます。しかし、家族が存在に気づかず、放置されるケースも少なくありません。相続トラブルを防ぐためにも、生前のうちに「デジタル遺産」を整理し、家族と共有しておくことが大切です。

そもそも、デジタル遺産とは、故人がスマートフォンやパソコンなどを通じて、インターネット上で管理していた金銭的価値のある以下の資産を指します。

電子マネーの残高
ネット銀行の口座
仮想通貨
マイレージ
サブスクリプション契約 など

デジタル遺産は、通常、ログインIDやパスワード、二段階認証などで厳重に管理されており、相続人が簡単にアクセスできるものではありません。そのため、アクセス情報が不明なまま放置されれば、存在自体が把握されず、相続できないまま終わってしまう可能性もあります。

相続人の負担やトラブルを防ぐため、以下の対策をしておきましょう。

不要な電子マネーやネット口座は解約しておく
利用中のサービスや残高を一覧化しておく
スマートフォンやPCのロック解除情報を信頼できる家族に伝えておく
ログインID・パスワードの管理方法を明確にする
エンディングノートや財産目録を作成しておく
必要に応じて遺言書の作成も検討する など

デジタル資産が一般化した今こそ、電子マネーやネット口座などのデジタル資産を見える化し、伝える仕組みを整えることが、今後の相続における大切な備えとなるでしょう。

なお、相続税のクロスティでは、お金のことだけでなく、心とモノの整理術に関するセミナーの開催も今後予定しております。安心して老後や相続を迎えたい方は、ぜひお気軽にご参加ください。

まとめ

電子マネーも現金や預貯金と同じく、税務上の管理が求められる「財産」です。近年、キャッシュレス決済の普及に伴い、税務署では専門部署が設けられ、電子マネー取引の監視体制も年々強化されています。たとえ少額であっても、日頃から取引内容を記録し、必要に応じて適切に申告することが重要です。申告漏れや手続きミスを防ぐことで、将来的なトラブルや追徴課税のリスクを減らせるでしょう。もし申告内容に不安がある場合や判断が難しいと感じるときは、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

最後に

相続税の申告手続きは、相続税のクロスティにお任せください

私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

相続税は税理士にとっても特殊な分野の税目です。相続税の高度な知識だけでなく、民法や都市計画法など幅広い知識が必要な他、年月をかけ培った経験やノウハウが大変重要になる分野です。税額を安くする制度は多数ありますが、その選び方ひとつで大きくお客様の納税負担は変わります。
故人から受け継いだ大切な遺産を、少しでもお守りすべく、私たち相続税のクロスティは各士業(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士など)や国税OBなど各専門家と提携し、お客様におすすめの制度と対策をご提案させていただいております。私たち相続税のクロスティは「相続でお困りの方を一人でも減らしたい」という想いから、初回のご相談は無料で対応いたしております。「相続の仕組みを知りたい」「相続税申告が必要かわからない」「まずは見積りだけほしい」など、まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。ぜひ、お会いできる日を楽しみにしております。

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(所属税理士会:名古屋税理士会 法人番号2634)





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