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税理士ショートストーリー 遺産相続~生前対策の重要性~第2話

遺産相続とは突然訪れるものです。終活という言葉が巷ではよく聞くようになったり、死についてや残された家族たちのことを考えて早い段階から生前対策をしている人も増えてきています。なかなか切り出しづらいことかもしれませんが生前に家族で話し合いをしたり、税理士などの専門家に早くから相談をしておくことをおすすめします。この物語はごく平凡な毎日を送っていた橘家に突如訪れた遺産相続の話を、全3話で分かりやすく、長男の嫁目線のストーリー仕立てでご紹介していきます。前回の第1話では親が亡くなった直後から遺品整理についての流れを、今回の第2話では遺産分割協議で言い争いが発生してしまった場合について、次回の第3話では専門家に相談し、相続税の申告を行うところや相続税計算にスポットを当てています。

第1話では葬儀が終わりひと段落しましたが、いざ遺産分割をしようとした際に遺言書が見つからないという問題が起きました。第2話では遺言が無いが故に橘家がどのように遺産について話し合うかに注目してみてください。相続が大変なこと、特別なことだととらえず、必ずやって来るいつかの為にこの物語を参考にしていただけると嬉しいです。また困ったことがあれば相続税の無料相談も行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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第1話 伝馬の突然の死、その時橘家は・・・

※この物語はフィクションです。登場する人物・名称等は名古屋の地名を使用しておりますが、実在の物とは関係ありません。


お義父さんが亡くなって数日が経った頃、家族全員がリビングルームに集まると、向陽は真剣なまなざしで私たちに向かって話し始めた。

向陽「遺書は?」

向陽の一言で家族の顔は曇った。何故曇ったのか、それは絶対にあるだろうと思っていた遺言がどれだけ探しても見つからなかったからだ。

芳野「まだ探していないところがあるかもしれないわ。もう一度探してみましょう。」

向陽「もう十分探しただろ。父さんは遺言を用意してなかったんだよ。」

向陽は強い口調だった。芳野は悲しそうな顔をしてうつむいてしまった。本当に遺言はないのだろうか。葬儀のことだってあれだけ準備してあったしお義父さんの性格なら絶対に作っていると思っていたのに…。私がそう思っていると大地は大きなため息をひとつつき、うなだれる向陽をなだめるように話し出した。

大地「ないものは仕方ないんだ。とりあえずもう一度状況や金額をおさらいするぞ。」

大地の言葉を最後に私たちは一旦家に帰ることにした。そして数日後、再び家族みんなが集まると、すぐに話し合いが始まった。

泉「この家が700万、土地が9000万ね。生命保険が3000万、美術品が2200万、宝飾品が800万、株が1600万、預貯金が8000万と…。総額は2億5300万円ね。」

大地「あとはこの前の葬式代が100万だったからそこからマイナス100万で合計が2億5200万ってところだ。」

向陽「この生命保険の3000万は誰が受取人なんだ?」

大地「これは俺と向陽と泉の3人にそれぞれ1000万ずつだったよ。」

向陽「なるほどな…。じゃあもう1000万は確実か。」

私は話の展開についていけずただただ大地たちを見ていることしかできなかった。するとそれに気づいた大地が私に1枚の紙を渡してきた。

大地「これが財産目録だよ。これだけうちには遺産がある。」

見てみるとどこの銀行にいくら入っているかとかどの株を持っているかなどが細かく書かれていた。

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「財産目録」の重要性と注意点


大地が葵に渡した財産目録があると相続財産の内容が一目でわかり、遺産分割の話し合いの際にあると遺産分割協議をスムーズに進めることが出来ます。隠し財産の有無など無用なトラブルを避けることにも繋がります。ただし相続税の申告後に遺産の漏れが発覚してしまうと、追加納税や延滞税などが発生してしまう場合がありますので作成の時に見落としが無いよう注意が必要です。


芳野「じゃあ伝馬さんが残してくれたものだから兄弟みんなで均等に分けましょう。」

大地「そうだな。まあでも株や美術品もあるし、とりあえず家や土地は母さんで、残りは全部現金にしてみんなで分けるか。」

泉「ちょっとまって!」

突然何かにとりつかれたかのように大声をあげる泉に、皆の視線が注目した。

泉「売るなんてありえない!父さんが苦労して集めたコレクションよ?価値のあるものなんだから絶対に売らずに持っているべきよ!」

確かに伝馬のコレクションは大したもので値の張る品ばかりだった。私からしても売ってしまうのは正直もったいない気もした。

大地「おいおい。美術品なんてみんなで均等に分けれないだろ。売って現金化して分ければいいじゃないか。」

泉「いや!絶対に売らないで!」

向陽「それなら株だって売らないでくれ。」

大地「おいおい、向陽まで何言いだすんだよ。」

向陽「この株は今上り調子なんだ。売らずに寝かせておけばもっと大きなお金になる。まあ株をやったことない兄さんにはわかんないだろうけど。」

向陽が大地に向かってそう投げかけると、ぴくりと大地の眉が動き、こらえていたものがあふれ出てくるかのように間髪入れずに話し出す。

大地「金額が上下したらちゃんと均等に分けられないじゃないか!今の金額できっちり分けてその後で株なり美術品なり集めてくれよ。」

泉「それって私たちの貰ったものの価値が上がって兄さんが損したくないだけじゃない!」

大地「価値が上がると思ってるならお前たちはそれぞれ美術品と株を受け取って残りの現金は俺にすればいいだろう。」

泉と向陽は大地の発言に一瞬ぽかんと口を開けて呆気にとられた。だがすぐに顔を見合わせると2人の猛反発が始まった。

泉「それじゃあどれだけ価値が上がったとしても最初の兄さんの取り分が多すぎるわ!」

向陽「それにいくらか分からないが相続税も払うんだ。保険金だけじゃなく現金だってくれないと困る。」

話し合いはどんどんヒートアップしていき口を出す余裕もない。
あんなに仲の良かった家族なのにお互いが意見を言い合ってなかなか話し合いはまとまりを見せなかった。

葵「じゃあ株と美術品はそれぞれ泉さんと向陽さんが持って行って現金で帳尻を合わせばいいんじゃない?」

恐る恐る大地に話しかけると私の腕を握り訴えるように話した。

大地「葵、何言ってるんだ。株も美術品も価値が今後上がってきたら俺たちが一番少なくなって損をするんだぞ!」

葵「そんな…」

泉「ほらやっぱり兄さんが損したくないだけじゃない!売るなんて許さないんだから!」

芳野「いい加減にしなさい!」

目に涙を溜め、今にも泣きそうな顔で芳野は震えるように声をあげた。

芳野「あなたたち兄弟なんだから仲良く話し合いも出来ないの?」

芳野はふらふらと席を立つと扉に手をつきながらよろけるように部屋を出て行ってしまった。


「遺言」がない場合


このように遺言が無い場合、

① 遺産分割をせずに法定相続分に従って分割するもの
② 相続人の全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割を必要とするもの

の2種類の方法で分配方法を決めます。

大地は①の方法にのっとりすべてをきっちり分けられるよう現金化して法定相続通り兄弟は3等分しようと言っていますが、泉と向陽は納得いかず反発していました。このままでは①の方法は行えず、どうにか②のとおり家族で話し合いをしていかなければいけません。よく「うちの家族は仲がとってもいいからもめることなんてない」という人がいますが、家族が仲がいいから争いが起こらないとは言い切れません。最悪の場合司法の場で調停を申し立てるということにもなりかねません。そうした事態を招かないよう常日頃からコミュニケーションを取り、遺言が無い時の為に、生前のうちに親子兄弟間で相続の話に触れておくことが大切です。


芳野が泣きながら出ていくのを見た3人は、時が止まったかのように固まってしまい、誰も後を追いかけることが出来なかった。私はすぐに部屋を出て芳野の後を追うと、伝馬の書斎の奥から小さくすすり泣く声が聞こえた。

葵「…お義母さん。」

芳野「葵さん…。見苦しい姿を見せてしまってごめんなさいね。あんなことになるなんて思っていなくて。」

彼らが喧嘩をしてるところなんて誰も見たことが無い。いつも仲睦まじい兄弟だと思っていたのにまさかあんなに言い合いになるとは私も想像していなかった。どうして遺言が見つからないのだろう、実はどこかに保管してあるのではないだろうか。お義父さんなら家族がバラバラになってしまうようなことはしない…。そう思いながら顔をあげると本棚にあるやけに古い1冊の本が目に入った。

葵「これは…アルバム?」

私の声に芳野も本棚に目を移す。

芳野「これ、懐かしいわね。」

そう言うと芳野は涙をぬぐい、さっきまでの悲しみに満ちた顔とは打って変わって、口元を緩ませながらそっとアルバムを手に取った。

芳野「これ、大地たちが小さいころに旅行先で撮影した家族写真なの。伝馬さん写真が苦手だからなかなか一緒に撮ってくれなくて、唯一の家族写真なのよ……あれ?何かしらこれ。」

そっと取り出すと1枚の名刺だった。

葵「税理士の…細江さん?」

書かれていたのは一人の税理士の名前だった。こんなところに税理士の名刺?不思議に思いながらも私は一つの望みを見つけた気がした。

葵「お義母さん、この細江さんに連絡を取りませんか?」

芳野は私と顔を合わせ、重い足取りながらも少しの期待を胸に、大地たちの元に戻った。

細江「はい、細江です。」

電話をかけると細江はすぐに出てくれた。

大地「橘伝馬の息子の大地と申します。この度父が亡くなりまして…」

細江「伝馬さん、亡くなられたのですか!?」

近くにいた私にも聞こえるくらい大きな声をあげた細江はそのまま続ける。

細江「ご冥福をお祈りいたします。伝馬さんから僕のこと何かお聞きしてますか?」

不安な顔つきで大地はみんなの顔をぐるりと見渡した。
誰一人うなずくことはない。

大地「いえ、何も…」

細江「そうですか。では大変でしたね…。」

細江は今までのことが全部見えていたかのような、全てを知っているかのような口ぶりだった。

細江「電話だと皆さんにお話しできないので直接会って話しましょう。すぐにご自宅に伺いますね。」

細江のペースで話が進んでいった。あまりのハイスピードに大地たちは言い合っていたことも忘れていた。その様子に私は少しだけほっとした。まだ全然解決はしていないけれど、いい方向に向かっていくような気がしたからだ。

細江「僕と伝馬さんは以前からやり取りをしていたんです。」

そう語る細江は懐かしむような優しい口調で話し出した。

細江「伝馬さんはとっても家族思いの素敵な方でした。最後にお会いできなくて残念です。伝馬さんはいつも家族が苦労しないようにと気遣っていらしたので、いろいろとアドバイスをさせていただいてたんです。」

葵「じゃあ葬儀場が決めてあったのは…」

細江「はい、僕の提案です。葬儀場を決めるのって意外と大変じゃないですか?いつ亡くなるかもわからないし、いざ突然亡くなった時すぐに葬儀場を探して一からプランを決めるなんて、しかも遺影も決めなきゃいけない。すごく労力のいる作業だと思うんです。伝馬さんは葬儀は自分で決められないものと考えていたようなので驚かれていましたが、葬儀場の見学会を行っているところがたくさん有りますし、行ってみてはどうですか?と伝えたんです。」

細江はさらに続けた。

細江「だから遺言もちゃんと効力を持った、無効にならないものを書いたんです。」

その言葉に私は目を見開いた。遺言は見つからなかったはずだ。

向陽「遺言はどこ探しても見つからなかったんですが…」

細江「あ、そうですよね!家にはおいていないんですけど、実は遺言はちゃんとあるんです。

やはり伝馬は遺言を用意していたようだ。

その言葉にほっとしたのもつかの間、次の疑問が浮かぶ。じゃあ一体遺言はどこにあるのだろう。全員が細江の言葉の続きを待つ。

細江「伝馬さんの遺言は公正証書遺言というものなので、遺言は公証役場というところにあります。大地さん、葵さん、公証役場に取りに行きましょう。」

公証役場なんて聞いたことが無かった。どんなところなのだろうか。そんな疑問を残しながらも細江に連れられて公証役場に向かった。


「遺言 には種類がある」ことをご存知でしょうか?


ただ書いておけばいいというものではなく、正式な書式で書かなければ効力が発揮されず無効の遺言書になり故人の意向が反映されません。遺言の種類は以下の通りです。

①自筆証書遺言

これは遺言者が遺言を自書して作成する遺言です。遺言というとこの遺言をイメージされる方が多いと思います。筆記用具や紙に条件もないですし、費用もかからないので最も手軽に作成できます。ただし、紛失するリスクが高かったり隠蔽や破棄されるリスクもあり、争いの種になりやすいですし、遺言を執行する際に、家庭裁判所の検認が必要になります。また書き方によっては無効になってしまう場合があります。

②公正証書遺言

これは公証人に作成してもらう遺言です。公証人が関与して作成するので確実性が高く無効になりにくいです。また開示の際に家庭裁判所の検認も不要ですし、公証役場で保管をするため紛失や隠蔽のリスクもなく争いの種にもなりにくいです。ただし作成には費用と公証人が2名必要です。

③秘密証書遺言

これは内容を秘密にしたまま存在のみを公証役場で認証してもらえる遺言です。遺言があるという事実だけを確実にする目的があり、遺言の内容を誰にも知られず作成できますが、内容を確認してもらってるわけではないため無効になる可能性がありますし、①と同様に遺言を執行する際に家庭裁判所の検認が必要になります。

ではこの3種類の中でどの遺言がオススメなのでしょうか?
答えは②公正証書遺言です。

費用は掛かってしまいますが無効になりにくく、家庭裁判所の検認が不要などのメリットが大きい為です。そして検認が不要なので受け取った後はいつ開封しても構いません。検認が必要な①と③は検認前に開封することが出来ず、もし開封してしまうと5万円以下の過料を科せられる可能性があります。

遺言についての詳しい内容は
揉めごとやトラブルを避け、残される親族により多くの財産を遺す方法とは!?
遺言の作成
を参考にしてみてください。


葵「ここが公証役場…」

細江は窓口の方に進んでいく。

細江「橘伝馬さんの遺言を確認したいのですが。」

そう伝えると、窓口の方は一度席を外すと書類を持ってきた。

細江「この遺言は相続人や遺言執行者しか請求することが出来ないんです。ちなみに遺言執行者は僕が伝馬さんから頼まれているので何でもサポートしますね!」

葵「ありがとうございます!それは心強いです。」

そう言うと細江はにっこりとほほ笑み大地に遺言を渡すと、大地は鞄に大事そうにしまった。私は遺言が見つかった安心感と、遺言に何が書かれているのかというドキドキ感の中、芳野たちの待つ家に戻った。


遺言執行者という言葉が出てきましたが、遺言執行者とは遺言の内容に従い、亡くなった方の意思を実現する人です。遺言執行者になれる人には条件があり、遺言者が亡くなった時に未成年や破産者でなければなることが出来ます。伝馬も税理士の細江に生前から依頼をしていたようですね。このように個人にお願いすることも出来ますが、法人も指定することが出来るので専門家に依頼される方が増えてきています。

第2話で橘家は細江と出会ったことにより遺言も見つかり、遺産分割で言い争いをしていたところから話が前へと進んでいきました。ですが肝心の遺言の内容がまだ明らかになっていないですね。果たして遺言には何が書かれているのでしょうか。また遺産はどのように分割するのでしょうか。まだまだ疑問が残りますが次回の第3話ですべてが解決します。

そしていよいよ相続税の支払いについても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

→ 第3話 遺言の内容は?それぞれの相続税額と申告

最後に

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私たち、相続税のクロスティは、税理士法人の相続税を専門とする事業部から発足し、母体である名古屋総合税理士法人は創業以来50年以上、愛知県名古屋市にて東海エリアを中心に相続税専門の税理士として、皆さまの相続手続きをお手伝いしてまいりました。

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